ビジネス課題への解決策(アイディア)と、新たな発想(+α)が見つかるIT情報メディア

Menu
  1. TOP
  2. データ活用
  3. ETLとは?EAIとの違いから考えるデータ活用基盤のアプローチ ~“2025年の崖”が警鐘を鳴らしたのは「データが活用できない」こと~

ETLとは?EAIとの違いから考えるデータ活用基盤のアプローチ ~“2025年の崖”が警鐘を鳴らしたのは「データが活用できない」こと~

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

筆者が担当するプロダクト「Waha! Transformer」は、自社開発:純国産のETL:データ連携ツールです。

ところが、ETLの類似カテゴリー:EAIツールについても他社製プロダクトを取り扱っていることから、お客様からそれぞれの特徴や選び方についてご相談いただくことが少なくありません。

今回は、そんなETLとEAIとの違いについて、外部サイトの情報などをまとめて比較しつつ、ETLとEAIに共通するであろう「データ活用」という目的について考えを深めてみたいと思います。

ETLとEAIの違いについて比較情報の要点をまとめてみる

ETLとEAIの違いを語るコンテンツはすでに多くありますので、要点だけ抜粋してみます。

ETLとEAIいずれも、ERPやHRMなどと同様のITプロダクトのカテゴリー名なので、両カテゴリーの定義は大きく異なっていないようです。

  • ETLとは:Extract(データ抽出)、Transform(データ変換・加工)、Load:(データ送出)の略
    メインフレームをはじめとするERP:基幹系システム、EIPやグループウェアをはじめとする情報系システムなど各種業務アプリケーションに入力・保管されているデータを、BI・DWHに代表されるデータベースに直接書き込んだり、CSVファイルなどに書き出したりするために誕生し、大量データを高速に処理できるかがカギ。
  • EAIとは:Enterprise Application Integration「企業内アプリケーション統合」の略
    ダウンサイジングやオープン化の流れを受け、増え続ける業務アプリケーションのデータを統合するために誕生し、連携可能な業務アプリケーションの数がカギ。

以下、公開されている両カテゴリーの比較情報を抜粋してみましたので、詳細・最新情報はそれぞれのサイトをクリックしてご確認ください。

【ユニリタプラス】ETLとEAIの違い、知っていますか?

トップバッターは、idearuを運営しているユニリタのグループ会社で西日本エリアのお客様をサポートしているユニリタプラスの記事から、比較の要点をピックアップしてみましょう。

【ユニリタプラス】ETLとEAIの違い、知っていますか?

ETLが向いてる業務

  • 基幹システムから情報系システム(データウェアハウス)のデータマート構築
  • システム再構築(ダウンサイジングなど)に伴うシステム間のデータ移行
  • システム間のデータ移行や連携(5分ごとや1時間ごとに処理をするような業務)
  • 取引先とのEDIデータ連携(データの到着監視で運用)
  • 決算時における連結決算データの収集加工業務
  • 監査ログデータの収集加工業務

企業内において「データを加工・編集」が伴う業務には全て活用できるのがETLとなります。

EAIが向いてる業務

  • システム間のマスター連携
  • 受発注業務における在庫の引き当て
  • 取引先とのEDIデータ連携

秒単位レベルのリアルタイムで連携する必要がある業務に活用できるのがEAIとなります。

これから「データ連携ツール」の導入またはリプレースをお考えの方は、以下のポイントを整理しながら検討する事をおすすめします。

  1. 対象の業務は何か
  2. 導入の目的は何か
  3. ※様々なシステム(アプリケーション)との連携か、データの加工・編集か
  4. 連携するデータ量はどのくらいか
  5. 連携するタイミングはリアルタイムかバッチでも良いか

※リアルタイム:秒単位、バッチ:データの到着監視も含む

この比較に1点だけ補足しておきましょう。

  • 例えば、RDBに格納されているデータを他の業務アプリケーションと連携させる場合、ETLが処理のたびに対象範囲のデータをすべて更新するのに対し、EAIは前回処理後の増分データだけでも更新できるので、例えば株価データのようにコンマ秒単位のリアルタイム性が求められるようなデータ処理であればEAIが得意です。(すなわち、EAIサーバーは差分更新のための処理対象データを保持するので、差分チェック処理には一定の負荷があり、データセキュリティ面ではETLの方が安心ではある)

【マイナビニュース】EAIとは?ETLの違いや機能・メリットをわかりやすく解説

【マイナビニュース】EAIとは?ETLの違いや機能・メリットをわかりやすく解説

EAIはシステム間のデータ連携をスムーズに行うことが目的で、ETLはシステムからデータを集約して分析することが目的という違いがあります。

EAIは業務効率化のため、システム間のデータ連携をリアルタイムで処理することを重視しています。スピード優先のため一度に扱うデータ量はできるだけ少ないほうが望ましく、在庫の数値変動処理や金額の計算といった細かい処理は、EAIが適しています。

例えば、在庫管理システムに受注した数を入力したら、そのデータが伝票管理システムに反映されて見積り金額がリアルタイムで算出されるといった連携処理は、EAIの得意とするところです。

ETLはシステム間でデータをやり取りすることは同じですが、一箇所に集めた大量のデータをひとつのルールに沿って一括処理するという点で、EAIと異なります。

月末の精算・請求締めの一括処理などプロセスを一本化して、大量のデータを処理する使い方がETLに向いています。

ETLの説明に登場する「一カ所に集めた大量のデータ~」については、もしかするとELTと混同されていそうな感じがしますね。ETLとELT、ややこしいですね。

【ITトレンド】EAIとETLの違いってなに?ツールの使用目的・メリットを比較!

【ITトレンド】EAIとETLの違いってなに?ツールの使用目的・メリットを比較!

EAIのメリット:多種多様なデータを連携できる

企業内で利用しているシステムは多種多様で、データ連携が難しい場合があります。しかし、EAIツールのアダプタ機能でほぼ対応できるでしょう。

アダプタとは、各システムとEAIツールをつなぐ接続口です。ほとんどのEAIツールでは、種類豊富なアダプタを搭載し、さまざまなシステムと連携できます。クラウド型EAIツールを使えば、クラウドサービスとの連携も容易になります。

ETLのメリット:大量のデータを整理できる

大量のデータをひとつにまとめる、というのは技術的に難しいことでした。データを集約するにあたり、やるべきことが多く、担当者の負担が大きかったのです。複数のシステムからデータを収集し、それをクレンジングして、まとめなければなりません。

こういった面倒な作業は、ETLツールによって簡潔化されます。ノンプログラミングで大量のデータを整理できることは、ETLツール最大のメリットといえるでしょう。

僭越ながら補足するとすれば以下の2点でしょうか。

  • 【EAI】クラウド型EAIツールを使えば、クラウドサービスとの連携も容易になります。
    各種クラウドサービス:SaaSとのデータ連携を容易にするツールが、必ずしもクラウドサービスである必要はないはずですよね。
  • 【ETL】複数のシステムからデータを収集し、それをクレンジングして、まとめなければなりません。
    ETLにおける Load:データ送出は、必ずしも「1カ所にまとめる・集約する」ことではなく複数箇所に送出できるわけですから、この箇所についてはDWHやデータレイクに付帯する機能:ELT を指しているようですね。

ETL:Waha! Transformer から見たEAIとの違い

参考にした各サイトにおける一般論に、ユニリタのETL:データ連携ツール「Waha! Transformer」とEAIツールとの比較ポイントを補足します。

  • REST APIオプション
    EAIツールはその名の通り、連携対象の業務アプリケーションの数がカギですが、アプリケーションごとにオプション機能:接続アダプター/コネクターが必要になるはずです。
    それに対し、Waha! Transformerはその特長の一つでもある「処理性能」を損なう恐れのある機能追加はできるだけ避けるようにしており、REST APIに対応しているアプリケーションであれば、オプション一つだけで複数のアプリケーションとデータ連携できるようになることで「利便性」を高めています。
    また、Waha! Transformer でデータ処理フロー(ジョブと呼びます)を設定するのは、大抵の場合は各種業務アプリケーションに管理者権限でアクセスできるシステム管理者かと思います。例えば、RDBのデータを抜き出して定型のExcel帳票に書き出すジョブを設定したとしましょう。
    ところが、実際にExcel定型帳票を編集・加工・分析するのはシステム管理者ではなく組織のデータ利用者であることが多いでしょうから、その利用者がデータを必要とするタイミングで、ジョブの実行を好きなタイミングで自ら指示できるような機能も提供しています。
  • RPAツールの活用
    連携対象アプリケーションが REST API に対応していない場合には、RPAを使ってアプリケーションの管理画面などからデータをアップロード/ダウンロードする方法をお薦めしています。
    EAIツールで業務アプリケーション一つひとつの接続アダプター/コネクターをオプション購入することに比べて、大幅なコストダウンが実現できるはずです。
    特に、対象アプリケーションの利用が打ち切られるような場合に、せっかく購入した接続アダプター/コネクターは死蔵されることになってしまいますが、RPAを1本用意しておけば、RPAで作成したシナリオ/フローが不要になるだけで済みますので、死蔵してしまうオプション購入コストを大幅に減らせることでしょう。

いかがでしたでしょうか?

そもそも、ETLやEAIをERPやHRMなどと比べれば、主としてシステム管理者だけが操作するサーバーアプリケーションであり、ビジネス現場からは直接見えないバックエンドのニッチなITプロダクト(業界内ではミドルウェアなどとも呼ぶ)ですから、インターネット上の情報もそんなに大量にはなく、その内容についても大差ないことがおわかりいただけたかと思います。

一方、ほんの数年前には「電子契約」などもそれほど普及しておらず、紙に印刷・押印・製本・割り印された契約書が飛び交っていたことからもわかるように、日進月歩の業務アプリケーションはその対象領域と共にデータの保管場所も広がり続けています。

システム管理者は、エンドユーザー:データ利用者から日々寄せられるデータ処理・抽出依頼に四苦八苦されているはずであり、EAIにしてもETLにしても、そんな作業を機械化・自動化するツールという点では「同じ釜の飯を食う仲間」であるとも言えるでしょう。

実現したいのはツールの先にあるデータ活用やデータドリブン経営のはず

以前の記事で、「DX」カオスの元凶は「提供者視点のIT脳」に侵された人々?などと「DXレポート」による影響をひもときましたが、「顧客」や「市場」を主語にした外向きの事業変革:トランスフォーメーションが提唱されたところまではよかったはずです。

ところが、最初のアナウンス「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」というタイトルが、なぜか内向きのIT化・業務効率化・情報セキュリティにおける完全性などの話に矮小化されて捉えられてしまい、IT媒体が先頭に立ってDX化やDX2.0といったカオスに陥ってしまったことが筆者は残念でなりません。


事業変革に向けた戦術だったはずの「DX」が「レガシーマイグレーション」になってしまうの図

内向きの話:技術的負債をどのように償却・廃棄するかは、個々の事業者が個別最適でご判断いただいて問題ないはずですし、顧客や市場から見れば「お宅様の好きにしてください」としか言いようがないはずです。

DXレポートで注目すべきは、根拠も検証方法も曖昧な「最大12兆円/年の損失」というホラーストーリーではなく、有用な問題提起でもあるこの一文ではないでしょうか?

爆発的に増加するデータを活用しきれず~

もう一つ、筆者も聴講したカンファレンスの取材記事が公開されていたのでご紹介します。

DX担当者が知っておきたい、データドリブン経営を阻む4つの障壁と、それを乗り越える方法

  1. データマネジメント
    データがサイロ化によって部門に閉じてしまい、情報収集ができず、よいインサイトが得られない状況
  2. 組織文化と人財
    データを価値ある資産ととらえて全社で共有するマインドが醸成できておらず、人財に対して実践的な教育ができていないためにデータを活用できなくなっている状況
  3. 技術
    既存システムを改修してデータ活用に取り組むが費用だけかさみ投資対効果が生み出しにくい状況
  4. 組織間連携
    データ活用の目的が組織を超えて伝わらず要約されてしまい重要な細部や本質が抜け落ちている状況

3番目の技術:テクノロジー関連でよく聞くのは、例えばメインフレームからのダウンサイジングやERP刷新などのようにパッケージソフトを導入する際、他の業務アプリケーションとのデータ連携のためのアドオン開発といったカスタマイズ費用が、下手するとパッケージソフト本体より高額になってしまうようなケースがあげられるでしょう。

経営戦略・成長戦略・競争戦略・事業戦略を遂行する上での戦術:手段としてDXに取り組んだとしても、インターネットテクノロジーによって日々蓄積されていく膨大なデータが、既存の業務アプリケーションなどとも組み合わせて有効活用できないのであれば、データドリブン経営もへったくれもないはずです。

以上、今回も筆者のたわ言にお付き合いいただき、衷心より御礼申し上げます。

データ活用に関する具体的なご相談までは考えがまとまっていないよという方は、無料のホワイトペーパーなども用意していますので、勝ち組になるストーリーをお考えいただく際のご参考としていただければ幸いです。

 

ETL:データ連携ツール比較表(RFP添付用)

1999年にWaha! Transformerの提供を開始して以来、ETL:データ連携ツールの導入を検討されている数多くのお客様からRFIやRFPをご提示していただきご回答してまいりました。
その内容を整理・再編して、複数の製品・サービスの比較表としてご利用いただけるシートをご用意しましたので、ETL:データ連携ツールを比較・検討していただく際のお役に立てれば幸いです。

>> 無料ホワイトペーパーの詳細・お申し込みはこちら

データ活用ツールの違い・比較資料

ETL ツールと周辺ツール3種(EAI / BI・DWH / RPA )との比較表およびツールごとの解説をまとめたホワイトペーパーをダウンロードしていただけます。

>> 無料ホワイトペーパーの詳細・お申し込みはこちら

無料ダウンロード
Waha! Transformer の利用者増から見えた!データ活用・分析人材の視野と視座

Webメディアのビジネス+IT主催「データ活用・分析 2022 冬」で講演したプレゼンテーション・スライドです。
マーケティング部門をはじめとするビジネス人材向けのカンファレンスにつき、内容についてはツールよりもデータ分析に取り組む人材や、データドリブン経営を推進するための組織・風土について、Waha! Transformer をご利用いただいているお客様から学んだことを中心に紹介しています。

  • なぜ、データ活用が必要なのか?
  • データを活用できる組織と活用できない組織の違い
  • データ活用文化をインストールするステップ
  • 使いこなせるデータ活用ツールを選ぶ
  • 何よりも先に、データ連携基盤を整備する

>> 無料ホワイトペーパーの詳細・お申し込みはこちら


参考文献・ニュース

DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~(METI/経済産業省)

DX担当者が知っておきたい、データドリブン経営を阻む4つの障壁と、それを乗り越える方法


関連コンテンツ

デジタル人材ならおさえておきたいニーズとウォンツの違い ~ 営業パーソンの必須スキルは市場調査? ~

なぜ部分最適がダメで個別最適ならよいのか? ~ 組織を滅ぼす全体最適難民と決別する方法 ~

デジタル人材のいない御社が「アジャイル」でうまくいかない理由 ~ アジャイルとプロトタイピングの違い ~

鳥の目・虫の目・魚の目から学ぶ ~ デジタル人材に求められる「情報デザイン:設計」スキルとは? ~

見える化・可視化してそれからどうするの? ~ ただ見てるだけなら視覚化と呼びませんか? ~

できてますか?ダイバーシティ ~ デジタル人材ならおさえておきたい社会人と経済人の違い ~

DXカオスから抜け出すならIT方言とはお別れしたい ~ 「上流」や「業務」って何? ~

まだPPAPメールで消耗してるの? ~ デジタル人材がおさえておきたい情報セキュリティの基礎 ~

レガシーIT人材がデジタル人材に進化するための第一歩 ~ わりと知らない URL の豆知識 ~

ジョブ型雇用で整理・淘汰される「仕事してるフリ」社員にならないための特効薬

DXがわかりにくいのはCX:生活者の視点で考えていないからではないか?

わりと知られていない「レガシーIT人材」≦「デジタル人材」

IT業界のPM・SE・PGとは?周辺業界との比較から役割・ミッションを考察

基幹系システムと基幹システムの違いとは?情報系システムとは?

クラウドシフト:SaaS/PaaS/IaaSの違いとデータ活用における注意点

DX:デジタルトランスフォーメーションのはじめの一歩はデータ連携から


Waha! Transformer 製品サイトの関連コンテンツ

BI:データ分析ツールの導入失敗をリカバリーするために必要な3つのポイント

IoTで集めたデータを活用できる組織に共通する着眼点

【ネタバレ注意】データ活用人材の祭典「Waha! Day 2021」開催報告

API とは 2025年の崖と未来をつなぐ架け橋

データドリブン経営やDX推進の壁を突破する「データ活用」のススメ型

“データ民主化”の即効策、Waha! Transformer「Query オプション」とは

 


データの抽出や加工、連携にお悩みではありませんか?

20年以上の実績に裏打ちされた信頼のデータ連携ツール「Waha! Transformer」で、自社に眠るデータを有効活用。まずは無料のハンズオンセミナーや体験版で効果を実感していただけます。

> 純国産ETLツール「Waha! Transformer」

Waha! Transformer
Waha! Transformerロゴ

執筆者情報:

ユニリタ Waha! Transformer チーム

株式会社ユニリタ ITイノベーション部

PM・SEに限らず多様な経験・知見を持ったメンバーが、「データ活用」という情報システム部門の一丁目一番地でお役に立つべく集められました。

メールマガジンの登録はこちらから
メルマガ登録 お問い合わせ