製造業が自社製品を直接売るには?DXを実現しお客様に選ばれるECサイトを構築しましょう
2020年は、withコロナによって余儀なくされた「テレワーク」や「脱ハンコ」により、日本国内のパブリッククラウドシフトも一気に進んだ1年だったと感じていますが、皆さまの組織ではいかがでしょうか?
本記事では、クラウドシフトで見過ごされがちな目的と手段の話し、特に経済産業省による「DXレポート」でも注意喚起された「データを活用できない」状態に陥ることがないよう、問題提起と解決の方向性について提言させていただこうと思います。
まずは、いつもお世話になっているGoogleトレンドで、2004年以降の日本における検索動向を見てみましょう。
クラウド, saas, paas, iaas - 調べる - Google トレンド
比較対象の中では圧倒的な”クラウド”の検索ボリュームですが、〇〇クラウド〇〇のように社名や商品名になっていることを踏まえても、個々の”xaaS”と比べるのは無理がありましたね。
比較対象を削除して”クラウド”単独で見ると、2008年から上昇トレンドに入り、withコロナに入った2020年3月・4月に頂点を極めたことがよくわかります。
情報システム部門やIT担当者の皆さんにとっては、もはや一般用語と化した感のあるIT用語「SaaS/PaaS/IaaS」ですが、略語で示された内容にはどんな違いがあるのか、xaaS以前に主流だったデータセンターにサーバーを預けるホスティング・ハウジングを加えて、マネージメントの視点で比較表にしてみました。
◎ベンダー管理/〇ユーザー管理/△一部ユーザー管理
管理区分 | SaaS | PaaS | IaaS/VPS | ホスティング |
データ | △ | 〇 | 〇 | 〇 |
アプリケーション | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 |
データベース | ◎ | ◎ | 〇 | 〇 |
OS | ◎ | ◎ | 〇 | 〇 |
仮想環境 | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 |
物理サーバー | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 |
ストレージ | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 |
ネットワーク | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 |
土地 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
SaaS/PaaS/IaaSに加えてデータセンター利用との比較表
管理区分がいわゆる「OSI参照モデル」と異なるのは、何よりも大事な「データ」を最上位に配置したところ、もう一つは組織内のサーバールーム・マシンルーム運用における「ラック設置スペースの土地代(家賃・水道光熱費)」を追加したところです。
クラウド移行、すなわちサーバールームを大胆に縮小しようとお考えの組織であれば、キャッシュフロー経営における減価償却型から費用計上型への移行という財務要因はあるものの、その最大のメリットは何といっても「土地の管理」が不要になる点でしょう。
ちなみに、お若い方々はご存知ないと思いますが、現在の情報システム部門・IT部門はメインフレーム主流だった90年代頃まではEDP:Electronic Data Processing/電算システム部門と呼ばれることがあり、また、メインフレームのハードウェアが空冷ではなく水冷だった経緯もあり、比較表にある”土地”のことをサーバールームではなくマシンルームと呼んでいた時代がありました。
xaaSやデータセンターに共通するのは、この”土地”(スペース)の管理が不要になることですが、その費用がサービスの利用料に含まれている点は、覚えておいていただくとよいでしょう。
それでは、SaaSから順に特徴的なところを洗い出してみましょう。
その名の通り、インターネットに接続されてさえいれば利用できるインフラからソフトウェアおよびデータまで一体提供・管理してくれるWebサービスが SaaS と言えます。
裏を返せば、ユーザー側にはアプリケーションレベルのカスタマイズなどには自由度がほぼなく、洋服であれば「既製服」に身体を合わせる利用が前提と言えるものです。
情報システム部門のない中堅・中小企業向けのグループウェアなどが主流でしたが、SFAやBIツール、IoTにいたるまで、特定用途に特化したサービスが大企業の現場主体で導入されるケースも少なくありません。
ただ、「データ」の項目を「△一部ユーザー管理」としたのは、Web APIやCSVファイルのダウンロードといったインターフェースを通じて、SaaSに格納されているユーザーデータの一部が入手できる点にあります。
次項のIaaSとの区分がわかりにくい場合がありますが、OS(仮想環境におけるゲストOS)およびミドルウェア(実際はほぼデータベース)が含まれるので、ユーザーはインストール型のアプリケーションとそのデータの管理に集中できます。実際の利用シーンとしては、アプリケーション開発に取り組むIT産業による利用が主流かと思われますが、インフラ管理者・サーバー管理者を手当てできない事業部門やコーポレート部門が主体となって、ITベンダーに個別アプリケーションを開発委託するようなシーンで利用されることもあるでしょう。
AWSに代表されるクラウドインフラが該当します。併記したVPS:Virtual Private Serviceとの大きな違いは、主としてレンタルサーバー事業者によって提供されるVPSが旧来からある固定課金型のサービスであるのに対し、IaaSはデータ量などによる従量課金型のサービスが主流な点ではないでしょうか。
PaaSとの違いを私たちが使っているPCに置き換えてみると、ソフトウェアを含まないPC本体の機能を提供してくれるのがIaaS、WindowsやMac OSなど、PC本体とOSまでセット提供してくれるのがPaaSと覚えておいていただくとよいでしょう。
SaaSのネットワークは基本的にインターネット網でのHTTPS接続(*1)になりますが、PaaSやIaaS/VPSについては、組織内のプライベートネットワーク:WANに組み入れてしまうという選択肢もあります。
一方、withコロナでテレワーク:在宅勤務が浸透する中で、自宅の商用インターネット回線や4G回線経由で業務アプリケーションを利用する場合にプライベートVPN経由での接続が求められた結果、VPNがボトルネックとなってアプリケーションのパフォーマンスが発揮できないといった事象が話題になりました。
これは、エンドユーザーがオフィスに出勤してLAN経由で利用する限りは顕在化しなかった問題であり、物理的なネットワークの構成には注意が必要な点は覚えておいていただくとよいでしょう。
*1 SaaSであっても接続元のIPアドレスを特定できるものがあります。
サーバールームの縮小をトリガーとしたクラウドシフトは、情報システム部門にとって「土地」の運用に関する管理工数の削減につながるものですが、計画段階ではそれ以外のメリット・デメリットも考慮が必要です。
特に、経理・財務部門にとっては固定資産・減価償却費の削減=費用の増加につながり、場合によっては組織の会計基準の変更につながることがありますから、事前の摺り合わせは必須と言えます。
そんなクラウドシフトを計画するにあたって何よりも大事なことは、エンドユーザーの「利便性」と「作業効率」の向上でしょう。
やりたいことはエンドユーザーの「利便性」と「作業効率」の向上
ここで一つ、最近筆者がクラウドによる「作業効率の向上」を体感した事例をご紹介します。
Windowsファイルサーバーによるファイル共有に別れを告げ、Google Workspaceに完全移行したことで、Googleドライブと関連アプリケーションの利用によって劇的に作業効率が向上したのです。
複数メンバーが Microsoft Word で文書校正を繰り返していた頃は、ファイル名の末尾につけていた”yyyymmdd-hhmm+イニシャル.docx”のような識別子による版の管理が、Googleドキュメントを使うことで一切不要になりました。
Googleドライブ上のアプリケーションには、[ファイル|変更履歴(最新の版に名前を付ける)]機能があり、文書中の校正箇所などに[コメント]を付けることができますが、初版ファイルのリンクを関係者に送付した後は、[コメント]とその返信の更新通知だけで校正作業を完了させることができてしまいました。
電子稟議・申請ツールが導入されていない組織であれば、Googleドキュメントとメールだけで稟申プロセスを完遂させてしまうことさえ可能になってしまうのです。
テレワーク環境から重いVPN経由で社内LANに接続し、Windowsファイルサーバーのファイルをダウンロードしてから編集もしくはメール添付でやりとりしていたことを考えると、自宅の高速インターネット回線のポテンシャルそのままに SaaS にアクセスすることで、1文書の校正完了までに要する工数は最低でも1時間、校正のやり取りが繰り返されるようであれば数時間の作業工数が削減できるのではないでしょうか。
SaaS に代表されるクラウドアプリケーションのユーザー課金は、それだけを見ると費用・キャッシュアウトの増加ではありますが、作業効率の向上によって過重労働や残業時間の解消にもつながる≒TCO:Total Cost of Ownershipの観点であれば、充分なROI:費用対効果が見込める投資分野と言えるのではないでしょうか。
一方、ユニリタが提供するETL:データ連携ツール「Waha! Transformer」のようにシステム管理者だけが利用するサーバー・アプリケーションは、サーバールームにあった頃の用途のままのクラウド移行だと、エンドユーザーの作業効率向上には直接つながらないことが多いはずです。
そのような場合は、データ連携対象のアプリケーションや取り扱いデータといった利用範囲の拡張により、エンドユーザーの利便性や作業効率を高める施策とセットにすることで、クラウドシフトによる恩恵を享受していただけるようになるでしょう。
現在起きているクラウドシフトの流れを見ると、財務会計や販売管理・生産管理などERP・基幹系システムのクラウド移行が主体になっているケースが多いようですが、オンプレミスにあった頃に動作していたアプリケーション間のデータ連携機能にエラーが発生しないよう、データ連携を含めたシステム構成図をクラウド移行の前に作成し、before/afterを視覚化できるようにしておきましょう。
見過ごされがちな「データ活用」における注意点
特に、BI・DWHツールなどを用いてエンドユーザーによるデータ活用を推進している組織では、BI・DWHツールをクラウド移行する際に、取得していたデータソースとの接続が切れてしまわないよう注意が必要です。
ユニリタでは、BI・DWHツールの積極活用とパフォーマンス向上のお役に立つデータ連携基盤としてETL:Waha! Transformer を開発・販売しています。
2021年3月には、BI・DWH+ETLを一体でPaaS提供する「『超高速データ活用プラットフォーム:Waha! Analysis Platform』」も提供を開始しましたので、DXの前提となるデータドリブン経営の推進施策をご検討の際は、どうぞお気軽にご相談ください。
『超高速データ活用プラットフォーム:Waha! Analysis Platform』のデータフロー
『超高速データ活用プラットフォーム:Waha! Analysis Platform』のインフラ構成例
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DX:デジタルトランスフォーメーションのはじめの一歩はデータ連携から
20年以上の実績に裏打ちされた信頼のデータ連携ツール「Waha! Transformer」で、自社に眠るデータを有効活用。まずは無料のハンズオンセミナーや体験版で効果を実感していただけます。
執筆者情報:
ユニリタ Waha! Transformer チーム
株式会社ユニリタ ITイノベーション部
PM・SEに限らず多様な経験・知見を持ったメンバーが、「データ活用」という情報システム部門の一丁目一番地でお役に立つべく集められました。
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