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中小製造業において人手不足が生む3つの課題とは?デジタルトランスフォーメーション(DX)で実現する生産性向上や技術伝承

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少子高齢化が進行し、日本の生産年齢人口(15~64歳)は減少をつづけています。労働力の中核を担う生産年齢人口が減少すれば、深刻な人手不足につながる恐れがあります。企業競争力を失わないためには、データやデジタル技術を積極的に活用し、生産性向上や若手人材の確保、確実な技能伝承に取り組むことが大切です。この記事では、人手不足が生む3つの課題や、経営者視点でのデジタル化の必要性を解説します。

業界全体の動向と中小製造業における問題

コロナ禍をきっかけとして、中小企業を中心にビジネス環境が大きく変化しました。中小企業の業況は2020年4月~6月期に大きく悪化し、リーマンショックを下回る水準となっています。[注1]特に中小製造業は事業所数の減少や深刻な人手不足など、さまざまな問題を抱えているのが現状です。ここでは、コロナ禍の企業を取り巻く問題について解説します。

問題1:生産年齢人口の減少

企業が直面する課題の一つが「生産年齢人口の減少」です。総務省の統計によると、2022年2月 時点の生産年齢人口は7,426万4,000人です。[注2]このままのペースで少子高齢化が進行した場合、生産年齢人口は2065年に約4,500万人へ減少し、2020年の国勢調査と比較して約2,900万人の労働力が失われる見込みとなっています。[注3]将来的な生産年齢人口の減少に対応するため、早期の対策が求められます。

問題2:事業所の減少

生産年齢人口だけでなく、中小企業を中心とした事業所数の減少も問題の一つです。特に事業所数の減少がみられる業界が製造業です。経済産業省の「令和3年経済センサス」によると、2021年の製造業の事業所数は410,864社で、2016年の調査から43,936社が減少しました。[注4]こうした事業所数の減少の要因として、雇用の維持拡大に向けた取り組みの失敗や、市場環境の変化に適応できない企業の増加などが挙げられます。

産業大分類 2016年(平成28年) 2021年(令和3年)
事業所数 合計に占める割合 事業所数 合計に占める割合
製造業 454,800社 8.5% 410,864社 8.1%

問題3:人手不足

少子高齢化の進行や生産年齢人口の減少により、さまざまな業界で人手不足が顕在化しつつあります。帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2022年4月)」によると、人手不足を感じている企業の割合は45.9%で、前年同月比8.7ポイントの増加となりました。[注5]コロナ禍における緊急事態宣言やまん延防止等重点措置によって営業活動が制限された結果、一時的に人手不足感が解消されたものの、業界全体がアフターコロナに舵を切りつつあるなかで、徐々にコロナ禍以前の水準に戻りつつあります。産業別の従業員数過不足DI(人員過剰な企業の割合から人員不足な企業の割合を引いたもの)を見ても、製造業の指標は-10.5ポイントと人手不足が深刻な懸念材料となっています。[注6]

中小製造業における業務課題と経営課題とは

こうした業界の動向を踏まえて、企業はどのような業務課題や経営課題に取り組むべきでしょうか。特に人手不足は、製造業を中心とした多くの業界が抱える悩みの一つです。コロナ禍が生み出したニューノーマル(新常態)なビジネス環境に対応し、企業競争力を失わないため、「生産性向上」「人材確保、技術伝承」「販路拡大」の3つの課題に取り組みましょう。

課題1:生産性向上

このまま生産年齢人口の減少がつづけば、将来的に労働力の確保が困難になります。企業競争力を失わないためには、生産性の向上に取り組み、少ない人材でより多くの案件に対応できるような仕組みを構築することが大切です。生産性向上を実現するには、ITやデジタル技術を導入し、情報を一元管理する必要があります。例えば、製品を出荷するまでのプロセスで、製品データや受注・納期に関するデータ、顧客との商談履歴など、さまざまな情報を管理します。こうした情報を全社的に共有するのではなく、各部門でバラバラに管理していると、「必要な情報を探すのに時間がかかる」「担当者が不在の際に業務が進まなくなる」といった弊害が生じます。製造業の生産性を高めるには、情報やデータを一カ所に集約し、一元管理するための仕組みが必要です。

課題2:人材確保、技術伝承

生産年齢人口の減少が進むなかで、各企業が働き手の確保に乗り出し、人材獲得競争が激化しつつあります。自社の企業の将来を担う若手人材や、スキルを持った人材を確保するには、以下の2つの対応策が必要です。

  • 自社ブランドや技術力を発信し、若手人材にアピールする
  • 熟練工から若手への技術伝承のため、知見やノウハウを蓄積する

自社の競争優位性を発信し、若手人材を確保するだけでなく、社内の人材を育成する仕組みも必要です。若手人材への技術伝承のため、熟練工の持つ知見やノウハウを蓄積する仕組みづくりや、熟練工と若手のコミュニケーション機会の増加といった対策が求められます。

課題3:販路拡大

新型コロナウイルスの急激な感染拡大により、多くの企業が事業継続リスクにさらされました。例えば、原材料や部品などの入荷の遅れや、仕入れ条件の急な変更、在庫状況の偏りなどのリスクが挙げられます。特に緊急事態宣言下では営業活動が制限され、受注減に苦しむ企業が増加しました。財務省の調べによると、外出自粛などの影響によって「国内での生産・販売額(受注額含む)」が減少した企業は、製造業で45%、非製造業で61%に達しています。[注7]こうした有事の際の受注減に対応するため、製造業を中心として新たな販路を拡大する動きが広がっています。販路拡大を実現するには、自社ブランドや技術力の強みを明確化し、新規顧客や異業種に発信することが大切です。

中小製造業におけるDXの取り組みとステップ

ステップ1:デジタイゼーション

デジタイゼーション(Digitization)とは、これまで書類や帳票などのアナログな手段で管理していた情報をデジタル化することです。経済産業省のDXレポート2では、デジタイゼーションを「アナログ・物理データのデジタルデータ化」と定義しています。[注8]デジタイゼーションは生産性の向上や、若手人材への技術伝承の第一歩です。例えば、以下のような取り組みがデジタイゼーションに該当します。

  • 製造情報の検索性向上と共有化
  • 熟練工の技術の次世代への継承

多品種少量生産が浸透した製造業では、さまざまな種類の製品情報を管理する必要があります。デジタイゼーションを実現すれば、分散した製造情報を共有し、一元管理することが可能です。また、紙のマニュアルで教育研修をおこなうのではなく、熟練工の技術を動画で撮影して視覚的に共有するなど、デジタル化によって言語化が難しい技術を次世代に継承しやすくなります。

技術伝承についてはこちらの記事もご参考ください
製造業における生産及び設計の技術継承、ナレッジの蓄積

ステップ2:デジタライゼーション

デジタライゼーション(Digitization)とは、業務プロセスや製造プロセスをデジタル化する取り組みを指します。経済産業省のDXレポート2では、デジタライゼーションをデジタイゼーションの次のステップと位置づけ、「個別の業務・製造プロセスのデジタル化」と定義しています。[注8]デジタライゼーションが有効な分野の一つがマーケティングです。例えば、自社と代理店の情報システムを連携すれば、販売データやレポートをリアルタイムに受け取り、マーケティング施策のPDCAサイクルをすばやく回すことができます。製品についての問い合わせがあった場合は、該当エリアの代理店に連絡し、セールスやアフターフォローを依頼することも可能です。代理店とのやりとりをデジタル化すれば、人手や支店を増やさずに販売網を拡大することができます。

企業間との情報共有についてはこちらの記事もご参考ください
企業と企業をつなげるコミュニケーションのデジタル化 ~情報共有を効率化して販売を促進~

ステップ3:デジタルトランスフォーメーション(DX)

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、データやデジタル技術を経営判断に役立て、ビジネスモデルを変革することです。市場経済、法規制、競合他社の動向、財務状況など、経営判断は複雑な要因で成り立っています。また、2020年以降のコロナ禍をはじめとして、企業を取り巻く環境は急激に変化しています。人手不足といった経営課題を解決するには、経営者の感覚ではなく、データに基づいた合理的な経営判断が必要です。デジタルトランスフォーメーション(DX)はデータやデジタル技術を導入し、デジタイゼーションやデジタライゼーションを実現したその先にあります。全社的なデジタル化に取り組み、データに基づく経営判断を取り入れましょう。

データ活用についてはこちらの記事もご参考ください
データ活用とは 経営資源:ヒト・モノ・カネ・情報が有効活用できること

まとめ

中小製造業を中心として、企業は「生産年齢人口の減少」「事業所数の減少」「人手不足」の3つの課題を抱えています。人手不足をはじめとした経営課題の解決につながるのが、データやデジタル技術の活用です。例えば、社内のナレッジを電子化し、共有すれば若手人材への技術伝承につながります。また、新型コロナなどの事業継続リスクに対応するには、DXを実現し、データに基づく経営判断を取り入れることも大切です。

関連記事


参考サイト

https://waha-transformer.com/

https://www.unirita.co.jp/solution/bi_sizing.html


[注1] 中小企業庁:2022年版 中小企業白書・小規模企業白書 概要
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2022/PDF/2022gaiyou.pdf

[注2] 総務省統計局:人口推計(2022年7月20日公表)
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/new.html

[注3] 内閣府:人口減少と少子高齢化
https://www.cao.go.jp/zei-cho/content/2zen2kai1-2.pdf

[注4] 経済産業省:令和3年経済センサス
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/census/r3result/r3_sokuhogaiyo.pdf

[注5] 帝国データバンク:人手不足に対する企業の動向調査(2022年4月)
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p220509.html

[注6] 経済産業省:2021年版ものづくり白書
https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2021/pdf/honbun_1_2_1.pdf

[注7] 財務省:新型コロナウイルス感染症による企業活動への影響とその対応(財務局調査)
https://www.mof.go.jp/about_mof/zaimu/kannai/202001/singatakoronavirus097.pdf

[注8] 経済産業省:DXレポート2
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation_kasoku/pdf/20201228_3.pdf

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