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DXの実現によるビジネスの拡大に向けた具体的アプローチ ~製造業におけるDXの推進例~

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以前に掲載した記事「働き方改革とDXへの取り組み」では、企業の経営課題である「働き方改革」と「DXの推進」は、全く異なる領域の話ではなく互いに関連する課題である、とご紹介させていただきました。また、これら2つの実現に向けたアプローチを以下の「4つのステージ」として整理しました。

>> 働き方改革とDX推進の実現にむけた「4つのステージ」の詳細はこちら

新型コロナウイルス感染症の拡大による環境変化を経て、リモートワークをベースにした働き方が喫緊の課題となり、多くの企業ではそれぞれの課題解決が行われ、当初の想定以上に4つのステージは進んでいきました。

しかし、多くの企業では4つ目のステージである「DXの実現によるビジネスの拡大」については、なかなか進まず苦労されているのではないでしょうか。経済産業省が2020年12月に公開した「DXレポート2」によると、DXに未着手、または1部門での実施にとどまるケースが約95%を占めています。[注1]

これには、「DX」という言葉が指す範囲・内容が実に幅広く、具体的に何を行えば良いのかイメージが湧きにくいことが起因しているのではないかと考えています。

>> ステージ4「DXの実現によるビジネスの拡大」の詳細はこちら

本記事では、ステージ4「DXの実現によるビジネスの拡大」 に焦点をあて、まずはDXの定義とそのプロセスについて認識を合わせたいと思います。その上で、具体的に何を行えば良いかをイメージができるように、日本の産業構造を支えている製造業を例にして、業界が抱える課題とDXによる解決アプローチについてお話をしていければと思います。

DX推進に向けたプロセス 

DXレポートで言われるように、企業は、将来の成長、競争力強化のために、新たなデジタル技術を活用して新たなビジネスモデルを創出し柔軟に改変(DX)する必要性があります。

しかし、DXを推進するにあたり何から取り組むべきか困ってしまうことがあるのではないでしょうか。

経済産業省のDXレポート2では、DXの成功に向け企業が具体的なアクションを設計できるように、DXをデジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションの3つのプロセスに分解しています。


出典:経済産業省DXレポート2 中間取りまとめ(概要):「4.3 DX成功パターンの策定 | DXの構造」
https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201228004/20201228004-3.pdf

DX推進指標における”DXの定義”に基づくと、世間で使用されているDXという言葉は3つのプロセスすべてが含まれます。

これらは必ずしも順番に実施を検討するものではありませんが、自社がどのプロセスのステージにいるのか、立ち位置を把握することは、現状との比較やプロセスの策定に有効となるでしょう。

製造業におけるDXのポイント・課題

 ここからは、製造業を例に業界の課題とDXによる解決アプローチについてみていきます。「2021年版 ものづくり白書」[注2]によると、製造業の業績動向として

  • コロナ禍の影響も受け、製造業各企業の売上高、営業利益は引き続き減少傾向にある
  • 今後3年間の見通しも減少傾向にあり、依然として先行き不透明な状況が続く

とあり、今後も製造業は厳しい状況に置かれています。

また、慢性的な課題として、

  • 生産年齢人口の低下による若手の人材確保
  • ベテラン層の退職による知的資産の損失
  • 設備の老朽化

など、多くの問題を抱えています。

最近では、顧客の求める価値が「モノ」(製品)から「コト」(サービス)へと移行してきており、将来を見据えた取り組みとして、ニーズを捉えるためにも顧客とより接点を持つことが求められています。

上記の課題を解決する策として、「製造業におけるDX推進」が注目されています。

DX推進にあたっては「イノベーションによる価値創造」を定義し、

  • 全社での取り組み
  • データを収集・活用した製造業務の効率化や見える化
  • 部門間での連携による生産性向上
  • 収集したデータを活用し新たな価値創造

を進めることがポイントとなります。

製造業における課題ごとのDX推進例

今回、DX推進をより具体的にイメージできるよう、製造業における課題ごとに、デジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションの3つのプロセスに分け、推進例を4つのケースにまとめました。なお、ケースごとの詳しい内容は個別の記事にて紹介していきますので、そちらもぜひご参照ください。 

ケース1:人手不足による3つの課題

生産年齢人口の減少に伴い、人手が不足しており、生産性の向上・若手の人材確保・確実な技術伝承が不可欠になっています。また、直近ではコロナ禍で業界ごとに受注に偏りが出ており、新たな販路を開拓する動きが強まっています。そのような中、少ない人材で多くの案件に対応できるよう、ITの活用、積極的な設備投資により生産性を上げることが必要となってきています。

ケース1の詳細は、こちらの記事をご参照ください
中小製造業において人手不足が生む3つの課題とは?DXで実現する生産性向上や技術伝承

ケース2:アフターサービス領域

メーカーがサービスシフトをしてゆくなかで、顧客からの依頼待ちの姿勢では生き残れません。売り切りビジネスは限界がきており、アフターサービス部門や事業者は従来のような顧客からの依頼ベースのサポートだけではなく、製品利用状況のモニタリング、故障の予兆検知、ロケーションの最適化、稼働率改善など、プロアクティブな提言をサービスとして提供することが必要となってきています。

ケース2の詳細は、こちらの記事をご参照ください
製造業のアフターサービスにおけるDXの課題と対応策

ケース3:自社製品を直接顧客に販売する

消費者の行動変容とともに物の購入の仕方も変化してきています。そういった変化に対応するための手段として、実店舗だけでない販売方式としてECサイトを活用する製造業が増えています。特に製造業のBtoCビジネス市場は、コロナ禍の影響もあり、ますます成長しています。乱立してきているECサイトの中でいかにお客様に選ばれるかが重要となってきています。

ケース3の詳細は、こちらの記事をご参照ください
製造業が自社製品を直接売るには?DXを実現しお客様に選ばれるECサイトを構築しましょう

ケース4:as a Serviceへの取り組み

社内のシステムを各部門(販売・生産・本社部門)が部分最適化してしまい、情報が流通せずサイロ化してしまっている企業は少なくありません。また、それぞれのシステムのメンテナンスコストも増加してしまい、新しいアクションを起こすにもリソースが足りなくなってしまっています。今後リソースを確保するには、各システムを効率よく統合し、情報の整理、利便性の向上を図っていく必要があります。

ケース4の詳細は、こちらの記事をご参照ください
製造業のサービス化(X as a Service)の重要性や取り組み事例を解説

まとめ

企業の経営課題である「働き方改革」と「DXの推進」の実現に向けたアプローチとしてまとめた「4つのステージ」を活用し、製造業におけるDX推進例として4つのケースをご紹介しました。これらがみなさんの企業の課題にあてはまり、DX推進のご参考となれば幸いです。

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[注1] 経済産業省 DXレポート2(本文)
https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201228004/20201228004-2.pdf

[注2] 経済産業省 2021年版 ものづくり白書(令和2年度 ものづくり基盤技術の振興施策)
https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2021/pdf/gaiyo.pdf 

 

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