
製造業が自社製品を直接売るには?DXを実現しお客様に選ばれるECサイトを構築しましょう
働き方改革関連法の施行や、新型コロナウイルスの感染拡大は、製造業を取り巻くビジネス環境を大きく変化させました。オンライン消費のニーズに対応したECサイトの活用や、サブスクリプションビジネスと結びついた製品のサービス化(X as a Service)など、製造業界でさまざまな取り組みが広がっています。
製造業におけるサービス化には、顧客接点の増加や顧客生涯価値(LTV)の最大化といったメリットがある一方で、いくつかの課題もあります。製造業のサービス化(X as a Service)を実現するには、受発注、製造、販売の一本化やシステム同士のデータ連携など、デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた動きを加速させることが大切です。
X as a Service(XaaS:ザース)とは、クラウドコンピューティングの発展とともに登場し、インターネットを通じて必要なリソースを提供するビジネスモデルです。製造業界においても、これまでモノとして提供してきた製品をサービス化(X as a Service)する動きが広がっています。
例えば、製品の使用時間に応じて料金が発生する従量課金型のサービスモデルや、保険やアフターサービスを製品にパッケージングするパッケージ型のサービスモデル、保守運用の代行であるO&M(Operation & Maintenance)や受託製造といった顧客業務代行型のサービスモデルなどが、製造業のサービス化の一例です。なぜサービス化に取り組む製造業者が増えているのでしょうか。製造業者がサービス化に取り組む背景を紹介します。
製造業がサービス化に取り組む背景には、90年代に開発途上国の工業化が進み、「製造したモノ(製品)を単体で販売する」だけでは競争優位性を確保できなくなった点が挙げられます。安価な労働力で工業製品が大量生産されるようになった結果、市場のコモディティ化が進行し、価格競争が激化しました。
同時に消費者の価値観が変化し、モノ(製品)を所有することに豊かさを感じる「モノ消費」から、購入後の使用価値や経験価値を重視する「コト消費」へとトレンドが移り変わりました。製造業のサービス化は、製品の付加価値を高め、新しい顧客体験を生み出すための効果的な手段です。多くの企業がコモディティ化した市場での競争優位性を確保するため、製造業のサービス化に取り組んでいます。
製造業のサービス化には、「顧客接点の増加や顧客の囲い込みが可能になる」「販売後も顧客と関係を維持し、顧客生涯価値(LTV)を最大化できる」といったメリットがあります。製造業界が抱える課題を解決し、企業競争力を維持するには製造業のサービス化が必要不可欠です。しかし、製造業のサービス化を実現するには、まだまだ課題が残っているのが現状です。
製品のサービス化を実現するため、解決しなければならない課題は2つあります。
製品のサービス化にあたって、最初に「どの製品をサービス化すれば収益が得られるか」を分析する必要があります。そのためには、受発注、製造、販売などのプロセスをデジタルで一本化し、情報やデータを見える化することが大切です。例えば、製造業のサービス化の先行事例として、ロールスロイスの民間航空部門が手掛ける従量課金型ビジネスが挙げられます。ロールスロイスは製造プロセスのデータを収集し、航空機エンジンの販売ではなく、稼働時間に応じて料金を請求するビジネスモデルに転換しました。
ロールスロイスの事例のように、ビジネスメリットを生み出す分野を発見するには、データの収集・見える化や、システム同士のデータ連携に取り組むことが大切です。そのためには、デジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーション(DX)の3つのステップが必要です。
デジタイゼーション(Digitization)とは、「アナログ・物理データのデジタルデータ化」のことです。[注1]製造業のサービス化の場合、紙ベースで管理していた情報をデジタル化し、情報共有を促進する取り組みがデジタイゼーションに当たります。
スマートフォンやタブレットなどの情報端末の導入や、書類や帳票のペーパーレス化、情報共有システムの導入などの手段によって、情報をデジタルデータとして取り扱えるようにしましょう。
デジタライゼーション(Digitalization)は、デジタイゼーションの次のステップで、「個別の業務・製造プロセスのデジタル化」のことです。[注1]つまり、デジタルデータ化した情報を活用し、業務プロセスや製造プロセスを効率化する取り組みがデジタライゼーションに該当します。
製造業のサービス化の場合、受発注、製造、販売などのプロセスや、製品の利用状況の可視化がデジタライゼーションの一例です。デジタライゼーションの手段として、IoTデバイスや基幹システム(ERP)、ECサイトなどが挙げられます。
デジタライゼーションの手段 | 活用例 |
IoTデバイス | センサーデバイスを活用し、機器の稼働状況などを可視化する |
ERP | 社内の各部門のデータを集約し、経営分析に活用する |
ECサイト | オンラインプラットフォームで商品を販売し、店舗運営をデジタル化する |
特に製品の保守運用をサービス化する場合、デジタライゼーションの実現が必要不可欠です。IoTデバイスなどを活用し、製品の位置情報や稼働状況を可視化することで、顧客ニーズに合わせた保守運用サービスを提供できます。
経済産業省のDXレポート2によると、デジタルトランスフォーメーション(DX)は以下のような取り組みのことを指します。[注1]
製品を起点として新たなサービスを生み出したり、製造販売からサービスを主体としたビジネスモデルへと変革したりするには、全社的なDXの実現が必要です。
製造業のサービス化におけるDXの事例として、オフィス家具メーカーのオカムラの取り組みが挙げられます。オカムラはスタートアップ企業を対象として、オフィス機能をサブスクリプションで提供するソリューションビジネスをスタートしました。主力であるオフィス家具の製造販売のプロセスで可視化されたのが、スタートアップ企業のオフィス移転の課題です。オフィス移転の手間やコストを解消するためのソリューションとして、移転初日からすぐに利用可能な月額制のオフィスサービスというビジネスモデルが誕生しました。
製造業のサービス化(X as a Service)とは、製品をただ提供するだけでなく、サービス要素を絡めて顧客に販売するビジネスモデルを指します。
製造業のサービス化には、顧客接点の増加や顧客生涯価値(LTV)の最大化など、さまざまなメリットがあり、サービス化の実現には、データやデジタル技術を活用し、デジタイゼーションやデジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組むことが大切です。
製造業のサービス化の成功事例を参考にしつつ、自社の取り組みに役立てましょう。製造業のサービス化に役立つツールをお探しなら、以下の製品がおすすめです。
製品名 | 概要 | 目的 |
Ranabase | 業務改善につながるフローチャートツール | ・業務フローの可視化 ・改善活動 |
まるっとコミュニティクラウドサービス | 自由にカスタマイズ可能なコミュニケーションポータル | ・自社、取引先、代理店間の情報共有 |
Waha! Transformer | ノンプログラミングで運用可能なデータ連携ツール | ・システム同士のデータ連携 |
はじめに
https://www.keyence.co.jp/ss/general/iot-glossary/xaas.jsp
https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2102/22/news005.html
背景
https://www.jmac.co.jp/column/detail/watanabe_004.html
https://cs2.toray.co.jp/news/tbr/newsrrs01.nsf/0/9F8893BAE398754649258353001E3237/$FILE/sen_a160.pdf
https://www.meti.go.jp/shingikai/shokeishin/pdf/005_02_00.pdf
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h25/html/nc111310.html
製造業における現状の課題
https://yokohama-iot.org/entry-940/
https://www.softbank.jp/biz/blog/business/articles/202012/manufact-dx/
https://cs2.toray.co.jp/news/tbr/newsrrs01.nsf/0/5AFA8758C999574F49258337003E4E86/$FILE/sen_194_01.pdf
https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/1911/18/news005.html
https://www.jnews.com/bizmdl/2021/010.html
デジタイゼーション
https://usknet.com/dxgo/contents/digitization/about-digitization/
デジタライゼーション
https://www.grandit.jp/erp/
https://www.tsuhannews.jp/shopblogs/detail/67221
https://xeex-products.jp/extelligence/service-manufacturing-industry/
DX
https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1376673.html
[注1] 経済産業省:DXレポート2
https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201228004/20201228004-2.pdf
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