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製造業のアフターサービスにおけるDXの課題と対応策

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製造業を始めとするさまざまなメーカーがサービスシフトをしてゆくなかで、アフターサービス部門/事業者も従来のモノ売りばかりを続けていては生き残れません。モノ売りからコト売りへというワードをよく聞きます。いい製品を作って世に出すだけの従来の売り切り型ビジネスモデルには限界がきており、アフターサービス部門/事業者は従来のような顧客 から 依頼を受けて のサポートだけではなく、”モノ”が製造・販売されて顧客 がそれを利用していく際の周辺サービスの充実による顧客の体験”コト”における満足度の向上を考えて変革してゆかなければなりません。

また、国連サミットが掲げているSGDs(持続可能な開発目標)でも、企業が担う役割の再定義が迫られている中、アフターサービス部門/事業者の果たす役割には大きな期待がかかっており、アフターサービスを含めた全体のビジネスモデルを描くことも必要になってきています。

  • SDGsの浸透によりメーカーも最終消費者も地球に優しい循環型のビジネスモデルを求めている
  • Withコロナではソフトウェアは自動更新、点検は遠隔監視、保守も顧客によるセルフサービスで行うことができ、新品購入時点よりも価値が上がってゆくような製品設計が求められる
  • ビジネスの観点は新品の売上高よりもアフターサービス利用料によるLTV(ライフタイムバリュー) の向上へシフトする
  • アフターサービス部門/事業者はこれまでのような顧客からの依頼ベースのサポートだけではなく、顧客による製品の利用状況をモニタリングし、故障の予兆検知、ロケーションの最適化、稼働率改善など、プロアクティブな提言をサービスとして提供する必要がある
  • データを取得し活用することで、製品をただ製造・販売するのではなく、製品をサービスとして顧客に提供し利用料を得るサービタイゼーション(サービス化)へ 転換する

このように、アフターサービス領域のビジネスモデル変革は、デジタルマーケティングやスマートファクトリーの推進に並んで製造業におけるDXの重要なテーマの一つと言えます。

では、アフターサービス業界においてはどのようにデジタル変革を進めていくのがよいのでしょうか。

このあとアフターサービス業界においてもまだ残っている一般的な課題と対応策について、経済産業省が提示しているDXレポート2の3つのプロセスに沿って進め方の具体例をご紹介します。[注1]

ステップ1 デジタイゼーション

デジタイゼーション(Digitization)とは、これまで企業においてアナログで行ってきた特定の業務をデジタル化することです。具体的には、今まで紙などアナログで扱っていたことをデジタルデータで管理するようなことが挙げられます。

デジタイゼーションの例:紙文書の電子化

課題:アフターサービス部門/事業者には数多くのアナログ業務が残っており、多様化する顧客接点に対処できていない

  • 保守契約書や注文書のような「契約関係書類」をまだ紙で管理している
  • フィールドサービスの日報や点検報告書なども紙で作成している
  • 物品の入荷/出荷/移動に伴う数量管理にも紙が伴う

対応策:新たな価値を創造する目指すべきビジネスモデルへ移行するためには、まず社内業務や社内システムの見直しを行い、紙を使った業務を廃止し電子データで業務が完結する環境を整えます。

ステップ2 デジタライゼーション

デジタライゼーション(Digitalization)とは、デジタイゼーションの次のステップで、「デジタルを活かした業務改善」のことです。デジタル化した情報を活用し、プロセスの実行や意思決定を効率化・最適化・自動化する取り組みがデジタライゼーションに該当します。

アフターサービスの場合、顧客が保有する製品の数量やロケーションの見える化、フィールドエンジニアの稼働状況やスケジュールの見える化など が挙げられます。

デジタライゼーションの例:情報の一元管理

課題:

  • 顧客情報や契約情報が一元管理できていない
  • フィールドエンジニアの稼働率管理や配置の最適化ができていない
  • 保守部品在庫の一元管理ができてない

対応策:情報は電子化されているのに複数の組織で別々に管理されていたり、異なる形式で管理されてい たりと、データが活用できない状態にある場合は、マスタ情報の統合を行うなど、DX実現の基盤となるシステム構築に向けて社内のプロセスを改善します。

ステップ3 デジタルトランスフォーメーション(DX)

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは経済産業省のDXレポート2によると、以下のような取り組みのことを指します。[注1]

  • 組織横断/全体の業務・製造プロセスのデジタル化、
  • “顧客起点の価値創出”のための事業やビジネスモデルの創出

DXの実現を目指すということは、企業の戦略に大きく影響があることが分かります。

デジタライゼーションにより システムの導入が進みますが、システムを導入するだけではなく業務も顧客プロセスに沿って刷新する必要があります。”顧客起点の価値創出”のため顧客プロセスへの理解を深め、製品の利用頻度や利用期間に応じて課金するサブスクリプションモデルへのシフトなどが考えられます。

DXの例:顧客起点によるカスタマーサクセス設計

課題: 

  • 顧客の利用状況や稼働状況、顧客ニーズが可視化できてない
  • 故障したら修理するという顧客からの依頼ベースのために迅速な対応ができない
  • 営業/生産/アフターサービス間の連携に問題があり、 情報共有ができていない

対応策:顧客 が利用中の機器を モニタリングして 利用状況の可視化を行ったり、製品の納入後も稼働データを基にした故障の予兆検知、遠隔監視による安定稼働を提供したりする サービスサイクルを運用するために、カスタマーサクセスの設計を行います。

製品を起点として稼働データを活用した新たな価値を提供し、能動的なサービスによる顧客の囲い込みへの変革に挑戦することに伴い、全社的なDXの実現にはカスタマーサクセス(CS)の重要性も高まっています。

まとめ

アフターサービス部門/事業者においてDX の進め方をご紹介しました。 データやデジタル技術を活用し、デジタイゼーションやデジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーション(DX)という3つのステップに 取り組むにあたり、 DXによる変革を進めていくコツとして、どの段階においても業務の可視化が重要です。

フローチャートを用いて業務プロセスを可視化するだけでなく、課題を特定し、出てきた課題をテーマ別に整理して対応策を検討し、社内で合意して経営の意思決定のもとに進めていくことが大切です。

具体的には以下のようなステップでビジネスモデルの変革やサービタイゼーション(単に製品を生産・販売することから、製品を活用するサービスで収益を上げるビジネスモデルへの転換)の実現を目指すことができます。

  • アフターサービスの新たなビジネスモデルを描く(ビジネスモデルキャンバスや目標図の定義)
  • 自社製品を利用する顧客の業務プロセスを想定し、アフターサービスの顧客接点と提供価値を定義する(カスタマージャーニーマップ、サービスブループリントの定義)
  • その実践のために必要となる社内業務プロセスや社内システムに対する変更要件を特定する(業務要件定義)
  • モニタリングすべきデータとアクションの定義(カスタマーサクセス設計)
  • 実施ロードマップを描き、フェーズに分けて変革を推進する(プロジェクト計画、RFP策定)

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参考サイト

フローチャートとは
https://lp.ranabase.com/flow-chart.html 

カスタマーサクセスとは
https://www.growwwing.jp/customersuccess.html 

[注1] 経済産業省:DXレポート2
https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201228004/20201228004-2.pdf

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