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ビジネスとITのハブとなるIT部門がやるべき4つのステップ 前編 ~現状~

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経済産業省が「2025 年の崖」と表現して国内に警鐘を鳴らした、DX レポート。2018年9月に発信され、本記事の掲載時期では5年半が経過しようとしています。

各企業ではこの波に乗り遅れまいと、事業部門主導のDX 推進やサービタイゼーションに乗り出し、事業別・部署別に個別のITを採用し始めています。このような状況の中、IT部門は経営や事業部門からの期待や要請に即応することができず危機感を高めているのではないでしょうか。

本記事は、企業におけるIT部門の現状と構造的な課題を示し、IT部門が「あるべき姿」にシフトするためのステップバイステップのアプローチを提言するものです。
全体を「現状」「課題」「あるべき姿」の3編に分けてお届けします。

IT部門のみなさまが「あるべき姿」に到達するべく、困難な道のりを一歩一歩着実に進んでゆくためのガイドとしていただければ幸いです。

1. 現状理解1:IT部門の業務

IT活用が業務に不可欠になった現在、重要性を増しているのが社内IT部門で活躍するITエンジニアの存在です。

人事・経理などの基幹システム、顧客管理・販売管理・在庫管理などの業務システム整備、インターネットによるBtoB・BtoC展開など業種・部門にかかわらず広くITは使われています。今では広く当たり前のようにITが使われているので忘れがちですが、日常で使われる電気・水道と同じように、ITもインフラとして整備されてはじめて当たり前のように使えるようになります。

このようにITインフラを支える部署として、企業にIT部門が設けられてきた歴史があります。そして今では「支える」だけではなく、企業として価値創造を担う新たな役割も求められるようになりました。

1-1. 従来のIT部門の業務

IT部門の業務・役割は、大きく以下の5つに分類できます。

  1. 全社事業に基づく、IT戦略・システム企画
  2. 部門別・機能別の、基幹システム構築・運用・保守
  3. インフラ構築・運用・保守
  4. セキュリティ対策・IT資産管理・システム監査など
  5. 2と3に係るサポート・ヘルプデスク

なかでも2と3については、システムごとに部門内でも担当が設置され、各担当領域の開発PJや保守対応、運用ベンダーの管理、契約面含むライフサイクル全体を見ているケースが多いです。

ユーザー企業の業務の全体像とシステムごとに担当が設置される
出典:独立行政法人情報処理推進機構、情報システムユーザースキル標準Ver.2.2、2010,P4

 

ITによる攻め(ビジネス貢献)と守り(統制確保)の両立を求められるなか、システムライフサイクルが終わるまで続く「運用保守業務」は、部門活動の多くを占めます。また運用保守業務と一口に言っても、ビジネス環境の不確実性が増す中で、役割は変容しつつあります。

従来より守りの側面が強い運用保守業務ですが、その取り組み方によって攻めの姿勢も求められています。例えば、従来は大規模なスクラッチ開発が伴っていた長期プロジェクトを、一部をクラウド利用で短期化し、運用しながら改善することで早期デリバリーするような「DevOps志向」が広がってきています。

1-2. 運用保守業務の領域

前述で出てきた運用保守業務は、以下のように分類できます。

運用保守業務の領域分類

 

上記の通り運用保守業務は多岐にわたり、担当社員のみで全てを担うには膨大な業務量となります。そのため作業の大半はベンダーに委託し、管理と保守コーディネート業務を中心に担います。ただし、ベンダーに任せ先がないものなどの「小規模システム運用」もあり、その場合は実作業も併せて担います。

2. 現状理解2:IT部門への期待

DXレポートにある「2025年」まであと1年。今では事業部門主導のDX 推進やサービタイゼーションが進み、事業別・部署別に個別のITを採用し始めています。ITが現場部門に浸透していくとともに、経営や事業部門からIT部門への期待や要請は増すばかりです。

そのような中でIT部門が企業全体のIT統制を手放してしまえば、ITコストの高騰やセキュリティーリスクの増大を招き、結果的に各事業の成長・拡大を阻害することは想像に難くありません。また、本来のDXは単なる効率化のための施策ではなく、デジタイゼーションで蓄積したデータを事業の意思決定や継続的な学習サイクルに活かすことにありますが、データマネジメント不在のまま進めば、宝の山ともいえる「データ」が部署やシステムごとに眠ったまま、全社的な有効活用はできないという結果に陥ってしまいます。

以上のことから、IT部門は今こそ企業の全体最適の視点でITとデータの標準化を主導し、ITによる攻め( ビジネス貢献) と守り( 統制確保) の両立を実現することが期待されます。

2-1. IT投資で見る経営からの期待

経営部門が期待するIT部門の役割はどのようなものでしょうか。

企業のIT予算や投資マネジメントについて、一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)調査による「企業IT動向調査報告書2023」を引用すると、以下のことが読み取れます。

  • IT投資で解決したい短期的な経営課題は、「業務プロセスの効率化」が最も多くあがる。
  • IT投資で解決したい中長期的な経営課題において、事業領域へのIT投資を目的とした選択肢が2位と3位に位置付ける結果に。

事業領域へのIT投資は重要視されつつあり、短期的な課題解決視点にも「業務プロセスの効率化」や「迅速な業績把握、情報把握(リアルタイム経営) 」が上位にくるように、ITによる攻め(ビジネス貢献)の役割が大きく期待されています。

IT投資で解決したい短期的な経営課題
出典:一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会、企業IT動向調査報告書 2 023、P41 図表2-2-1

 

IT投資で解決したい中期的な経営課題
出典:一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会、企業IT動向調査報告書 2 023、P43 図表2-2-3

 

以上のことから、IT部門は全体最適の視点でITとデータの標準化を主導し、ITによる「攻め」と「守り」の両立を実行する横断的組織へと変化しました。

「デジタル活用の推進」「経営戦略から関与していく」といった質の高い仕事が求められ、課題も変化しています。

以上、IT部門の現状についてお届けしました。

IT部門が取り組む課題については、中編の記事をご覧ください。

シリーズ記事一覧

  1. ビジネスとITのハブとなるIT部門がやるべき4つのステップ 前編 ~現状~
  2. ビジネスとITのハブとなるIT部門がやるべき4つのステップ 中編 ~課題~
  3. ビジネスとITのハブとなるIT部門がやるべき4つのステップ 後編 ~あるべき姿~

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企業におけるIT 部門の現状と構造的な課題を示し、「あるべき姿」にシフトするためのステップバイステップのアプローチを提言します。

困難な道のりであるからこそ、その工程を分解してシンプルに捉え、一歩一歩着実に進んでゆくためのガイドとしていただければ幸いです。

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ビジネスとITのハブとなるIT部門がやるべき4つのステップ

執筆者情報:

ユニリタ DXアクセラレーションチーム

株式会社ユニリタ DXイノベーション部
DXアクセラレーショングループ

ユニリタグループのプロモーション担当チームです。
企業の経営課題である「働き方改革」と「DXの推進」の実現に向けたアプローチを「4つのステージ」として整理しました。 企業内事業部門のDXを加速させるために、日々セミナー講師や執筆を行い、情報発信をおこなっています。

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