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DX:デジタルトランスフォーメーションのはじめの一歩はデータ連携から

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本記事は、2020年9月に発足した新政権が掲げた「(仮称)デジタル庁」構想に関連する議論や懸念点などを含め、デジタライゼーションによる具体的な成果創出に向けた要点として「データ連携・データ活用」を提言します。

ペーパーレスの延長線上にとどまらないでほしいですね

期待しています(仮称)デジタル庁

まず、"愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ"ということから歴史を振り返る意味で、Googleトレンドの時系列データを見てみます。

デジタル - 調べる - Google トレンド

Googleトレンドが示してくれた”デジタル”の検索ボリュームは、経済産業省によってDX:デジタルトランスフォーメーションが声高に叫ばれた2018年頃よりも、今回の「(仮称)デジタル庁」の方がインパクトが大きかったことがわかります。※右端でちょこっと右肩上がりになってます。

これは”働き方改革”もそうでしたが、単一の省庁や自治体よりも政権が打ち出す施策の方が社会インパクトが大きくなるということがよくわかります。

ところが、そんな最近の話よりも2000年代の方が折れ線グラフが盛り上がっているところがあります。

歴史に学ぼう「e-Japan戦略」

2000年代に何が起きていたのか政策の歴史をたどってみると、日本政府はちょうど20年前にも「e-Japan戦略」によるIT基本法/高度情報通信ネットワーク社会形成基本法をすでに法制化していたことがわかりました。 

e-Japan - Wikipedia

e-Japan(イージャパン)とは、日本政府が掲げた、日本型IT社会の実現を目指す構想、戦略、政策の総体。E-ジャパン(Eジャパン)とも表記される。2000年(平成12年)9月21日、内閣総理大臣・森喜朗(当時)が、衆参両院本会議(第150回国会)の所信表明演説で、「E-ジャパンの構想」として初めて示した。

この政策が、20年後の「(仮称)デジタル庁」とどのように結びつくのかはまだ定かではありませんが、此度のコロナ禍であらわになったデジタライゼーションの遅れを取り戻すべく、抜本的なテコ入れが必要になったことに社会的な合意が得られたと見ることができるのではないでしょうか。

idearuを運営しているユニリタも今、ソフトウェア業界からインターネット業界への拡張に向けてトライ&エラーを進めています。

下図であれば左端から真ん中の方へ、クラウドをキーワードにして事業ドメインを拡げようとしているわけです。

わりと知らないIT産業マップ

20年前のIT基本法を抜本的にリストラクチャリングして「(仮称)デジタル庁」ができあがるのであれば、行政サービスのデジタライゼーションと並行して、「GAFA」に代表されるような産業レベルのイノベーション促進に向けた所管官庁の一本化も、実現していく未来があるかもしれません。

戦略と戦術のおさらい

IT基本法が享受できなかったデジタライゼーション推進を「(仮称)デジタル庁」でも繰り返さないために、また、バズワード化しつつあるDX:デジタルトランスフォーメーションに踊らされるだけの存在に陥らないために、選択すべき戦略と戦術について考えてみたいと思います。

演繹的で積み上げ型の思考ではなく、帰納的にゴール思考で考えてみましょう。 

この思考レベルの違いは、「BI・データ分析」の記事に掲載した図を再掲します。

そもそものDX:デジタルトランスフォーメーションとは、何を目的に提唱された概念なのでしょうか?

デジタルトランスフォーメーション - Wikipedia

デジタルトランスフォーメーション(英: Digital transformation; DX)とは、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念である。デジタルシフトも同様の意味である。2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱したとされる [1] 。ビジネス用語としては定義・解釈が多義的ではあるものの、おおむね「企業がテクノロジーを利用して事業の業績や対象範囲を根底から変化させる」[2]という意味合いで用いられる。

「企業がテクノロジーを利用する」ことは目的ではなく、事業成長やイノベーション創出という目的に向けてテクノロジーを活用することがDXであり、目的というよりは手段・戦術的な位置付けにあることがわかります。

「DX」と口にしない経営者が最もDXに成功するという事実 | 日経クロステック(xTECH)

さて、DX:デジタルトランスフォーメーションはどこから手を付けましょう

すでに記事タイトルで示してしまいましたが、はじめの一歩は何よりもまず「データ連携基盤の整備」です。

ではなぜ、データ連携からなのでしょう?

これも「CIO・情報システム部門のミッション考察」から再掲となりますが、組織における情報システムの存在価値は「正確な“情報”とその流通手段を迅速かつローコストでセキュアに提供すること(されること)」が大前提にあると考えられるからです。

ITの利用者が欲しいものは”情報”であり、有益な”情報”を提供してくれるからこそ、正しい”情報”を提供しようというモチベーションも湧いてこようというものではないでしょうか?

そのためにはまず、利用目的ごとに個別最適化されたアプリケーションはそのままに、必要な”情報”すなわちデータが裏側で連携し、必要な時に必要な人の手に届けられればよいと言えます。

CIO・情報システム部門のミッション考察」の記事に掲載した図を再掲します。

 

データが分断された部分最適なシステムの集合体だったものが、利用者視点で個々に最適化されているはずの業務アプリケーションとして連携できることで、有用なデータの抽出・視覚化が可能になります。

国勢調査などは、個別最適の最たる例でしょう。

国全体の人口動態は官民を問わずに基礎データとなって活用されるはずですし、納税者としても国民としても、5年に1度という定期リサーチに協力することは自らの生活に必ず還元されることがあると信頼しているから、正しいデータを提供しようという動機が生まれるのではないでしょうか。

新設予定のデジタル庁とは? :日本経済新聞

こちらの記事ではいの一番に「各省庁のシステム一元化」と出てきてしまっていますが、一元化されると、経済成長や顧客の創造に役立つのでしょうか?

何を言いたいのか、今回のコロナ禍で顕在化した個別具体的な問題を例に考察してみます。

巨大な一元管理システムではなく、データがシームレスに連携できればよいはず

まず、感染者数(実際は陽性者数)ばかりが独り歩きしてしまい、検査母数であったり性別・年代・職業等の属性分布であったり、肝心な軽度~重度といった発症レベルに関する統計的なデータまでは流通せず、不確かな”風評”が流通してしまった結果、経済の停滞による実質的失業者どころか陽性者への差別まで生じてしまったことが問題だったのではないでしょうか?

それに対し、診療所・病院~検査機関~保健所~市区町村~都道府県~厚生労働省の全員が利用する、一元化された巨大システムをつくることが合理的な解決策になりえるのでしょうか?

その巨大システムが、紆余曲折と試行錯誤を繰り返して完成するであろう≒10年後に、存在価値は発揮できるのでしょうか?※サグラダファミリアのように完成しない可能性もありますね。

コンピューターの機能は、まず主語に”データ”があり、そのデータを入力・保管・出力する3つの機能に分類されますが、一元化された巨大システムなるものが往々にして頓挫するのは、”入力”部分まですべて統合しようとするケースが少なくありません。

現場でデータを入力する人たちには個別最適化された業務アプリケーションがすでにあり、その中から必要なデータだけを出力もしくは抽出してくれさえすればよいはずですから、システムが一元的に統合されていることは必須ではないはずです。

例えば、銀行には日銀ネットがあり、証券会社には東証オンラインがあり、必要なデータが必要なタイミングで、個別最適化されたデータのみを流通させています。

すべての銀行や証券会社が、国家単位で一元的に統合されたシステムを使っていないことは、当事者でなくとも想像に難くありません。

インフルエンザに代表される感染症の罹患状況に関するデータは、実際には日次で集計できればよいのでしょうから、データ入力先のシステムを一元化する必要性は乏しく、データ出力用の「(仮称)感染症オンライン」を一つ用意し、医療機関の電子カルテや検査機関の個別アプリケーションに入力された感染症に関するデータだけが、入力後に裏側で、日次等で自動送信されればよいのではないでしょうか?

もし、集計されるべきなのに入力されないデータがあるなら、巨大システムで巻き取るのではなく個々の業務アプリケーションに入力フィールドを追加するような小規模のカスタマイズで賄えるでしょう。

あとは、データが入力された医療機関・検査機関を所管する自治体単位で集計・表示させるだけですから、ごく普通のWebサイトでチャートを日次更新していけばよいはずです。

さらにそのWebサイトも、「ERP再構築」の記事で例示したように、ソフトウェア業界のプレーヤーに委託すると億単位になるものが、インターネット業界のプレーヤーに委託すると数千万円で収まることもありえます。台湾のIT担当大臣が教えてくれた、あのような手法ですね。

そんな中、「これぞ公共アジャイル!」と言える事例がこちらです。 

コロナ禍で1日4万件の電話を9割減らしたサービスを1週間で内製――神戸市に入庁した元エンジニアが、書けるコードをあえて書かなかった理由: - @IT

それでも最後に残る問題は、「(仮称)感染症オンライン」のサイトに表示されたデータをどう読み取るか≒情報を流通させるかですから、バイアスがかかりやすく誤解を生みやすい説明文などは極力排除して、数値とトレンドをシンプルに見られることが重要になります。

この読み取りスキルばかりは”IT”リテラシーの上位にある”情報”リテラシーに依存しますから、記者会見等を通じて、フェイクニュースのような誤解を広げないアナウンスが必要な点も無視できないところです。

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ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

お礼を兼ね、最後におまけを添えさせていただきます。

バズワードになりつつある「DX:デジタルトランスフォーメーション」ですが、そのサンプルはシリコンバレーで日々興隆するベンチャービジネス界隈にあると言われています。

2017年公開の下記スライドなども、参考にしてみてください。


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執筆者情報:

ユニリタ Waha! Transformer チーム

株式会社ユニリタ ITイノベーション部

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