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代理店とWin-Winの関係を築く製造業のアフターサービス戦略 ~代理店と一体となったアフターサービスで顧客への価値提供を最大化~

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1. アフターサービスの顧客体験

筆者は先日、一消費者としてある製品のアフターサービスの品質に感心する機会がありました。ガス給湯器の調子が悪く、メーカーの代理店にメンテナンスを依頼した時のことです。ガス給湯器はまだまだ「故障買い替え」が主流のビジネスですが、このメーカーからは「故障”前”買い替え」を提案されました。現時点で故障しているわけではないため買い替えまでに時間の猶予があり、多様な付加価値のついた新機種をゆっくり検討することができました。その際に、利用環境、家族構成、居住地区等に応じてさまざまなシナリオが用意された製品紹介動画がデジタルコンテンツで提供されたのです。カタログを見せられても違いはなかなかイメージしにくいものですが、ランニングコストや環境性能などの付加価値を、分かりやすく簡潔に説明してくれる動画コンテンツは、とてもわかりやすく、ありがたいと感じました。このような代理店には今後も期待できますし、その先にいるメーカーにも好感を持ったことを覚えています。

昨今では"売って終わり"というビジネスではなく、契約後も継続して顧客に寄り添い、LTV(Life Time Value)を最大化していく手法が、"カスタマーサクセス"というキーワードで語られ、製造業においてもそれを取り入れる動きが活発化しています。しかし、販路に代理店を介在させるビジネスの場合は、エンドユーザである顧客の情報や製品の利用状況をメーカーが正確に把握することは難しく、メーカーがカスタマーサクセスを代理店経由で実現するにはハードルもあります。代理店とのWin-Win関係を維持しながら、カスタマーサクセスをどう推進していくかお悩みの製造業の方も多いのではないでしょうか。

今回は、代理店経由で製品を販売するメーカーを念頭において、アフターサービス領域におけるカスタマーサクセスの実現に向けたヒントをお話しします。代理店を交えたDXやアフターサービス改革を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

2. これまでのアフターサービス

これまでの製造業はモノを提供するいわゆる「売り切りモデル」で、高品質のモノを生産し販売するビジネスが主流でした。そのため、メーカーや代理店のアフターサービス部門としても「壊れたら買い替えを促す」「修理を依頼されたら仕方なく修理を行う」という発想で、顧客からの問い合わせを起点とした受け身で単発のサポートを行うことが一般的でした。また、アフターサービス業務ではサービス担当者が現地に足を運んでサービスを提供する必要性もあるため、地域の代理店に販売からアフターサービスまでを委託する企業も多くあります。これにより地域のカバー率は高くなりますが、顧客情報が代理店に留まってしまい、メーカーから顧客情報が見えにくくなるという悩みがあります。さらに、メンテナンスや修理が主な業務になるフィールドサービス担当者は、顧客との信頼関係を構築し、製品への要望や競合情報などに関する顧客の声を聞くことができます。メーカーは、そういった貴重な顧客情報を獲得できないことで、機会損失となることが多く、代理店との関係性がうまくいっていないと売り上げも伸び悩みます。

3. これからのアフターサービス

これからのアフターサービスでは、冒頭で筆者が挙げた顧客体験のように、顧客からの問い合わせに対応するのみならず、顧客が気づく前に、顧客の利用環境や利用状況に応じた情報提供とサービス提案を継続的に行い、モノとアフターサービスの全体で価値提供してゆく必要があります。そのためにはメーカーと代理店との関係性も見直さなくてはならず、代理店がモノ売りのスタンスのままでは、アフターサービスの変革はできないでしょう。メーカーと代理店の間でいかにWin-Winの関係を築くことができるかがポイントです。

昨今では、IoT技術を活用して製品から利用状況データを取得し、予兆検知等に活かすという動きも進んできていますが、メーカーはこれができたからと言って代理店なしにビジネスができるかと言えば、そういう訳にはいきません。代理店は新規販売も担っていますし、製品から取得できるデータには限りがあり、代理店のフィールドサービスが得られる顧客の声に匹敵するほどの価値があるとは言えません。IoTデータはあくまでも追加情報であり、代理店とも共有してはじめて、有効なアクションにつながるものだと言えます。

4. 代理店とのパートナーサクセスの実現

それでは、メーカーとパートナーである代理店の間でどのような情報共有やコミュニケーションが行われるべきかを見ていきましょう。

メーカーから代理店への情報提供

フィールドサービス担当者がメーカーに求める情報として以下があげられます。

  • 製品カタログ、製品仕様
  • 点検チェックリスト
  • 修理マニュアル
  • 消耗品/交換部品のカタログ
  • 問い合わせ窓口 (仕様確認、見積、注文、納期確認)

代理店は現地でフィールドサービスを行う際に、必要な情報や問い合わせ窓口にモバイル端末からいつでもアクセスできれば、負荷が軽減されるでしょう。修理に関する情報や技術資料を動画で確認できたり、担当者が現地に行って状況写真やログデータを取得したりして、「こういう場合どうすればよいですか」という相談をメーカーにできる仕組みがあるとさらに効果的です。

代理店からメーカーへの情報提供

一方で、メーカーが代理店から得たい情報は次のようなものです。

  • 顧客情報 (組織、担当者などの変更情報)
  • 構成情報 (製品仕様、バージョン、設置場所、周辺機器との接続状況)
  • 利用状況 (利用者数、頻度、満足度)
  • アフターサービスの実績、履歴、故障事例
  • 製品への要望やクレーム
  • 競合製品の保有状況、比較評価
  • 新規商談の見通し等

idearuを運営するユニリタは企業の現状業務の可視化や改善のお手伝いを行っていますが、ある設備機器を販売する企業では代理店とのWin-Winの関係を築くために、代理店ポータルやモバイル端末で使えるサービスメニューを提供しています。このメーカーも現地の顧客の声をとても大切にしており、製品への要望や競合情報を代理店から取得したかったのですが、代理店からするとそういった情報提供は義務ではなく、メリットを感じなければ情報を提供してはくれません。そこで、代理店へ「新製品の予約をとりやすくする」「メーカーへの問い合わせレスポンスを早くする」等のメリットを出して、その代わりに顧客情報を提供してほしいというGive&Takeの仕組みを実現させました。昨今のカスタマーサクセスの流れからすると、代理店側にとっても顧客サービス向上による差別化は重要になってきていますので、メーカーの後押しがあれば前向きに取り組んでくれることでしょう。

5. 企業間のコミュニケーションツール

代理店との関係性を向上させ、ロイヤリティを向上させるためにはどのような仕組みが必要になるでしょうか。企業内ではMicrsoft TeamsやGoogle Workplaceなどのグループウェアを活用し、部署間や社員どうしのコミュニケーション、情報共有を行っていると思います。これを企業間に拡張するイメージとなります。例えば、次のような機能があると良いでしょう。

  • お知らせの掲示
  • ブログ形式のノウハウ発信
  • 双方向のファイル共有/動画共有
  • 問い合わせ受付/回答
  • アンケート機能
  • チャット機能

このような機能があるツールを活用することで、メーカーと代理店との情報共有や継続的なコミュニケーションを活性化し、代理店を巻き込んだカスタマーサクセスを実現させましょう。

6. まとめ

「モノ売り」だけでの差別化が難しくなっている昨今、アフターサービスの充実は製品の付加価値を高める手段として重要になってきています。代理店を経由した販路を持つ製造業にとって、代理店と一体となったカスタマーサクセスを推進しなくてはなりません。そのために、企業間コミュニケーションを容易にするオンラインツールを採用することも効果的な手段となります。ユニリタでは企業間の情報共有や継続的なコミュニケーションを推進するツールとして「CommuRing(コミュリング)」を提供しています。自社で契約するMicrosoft TeamsやGoogle Workplaceにはセキュリティ上のポリシーから、他社の社員を自由に招き入れることはできません。また、仮に可能だとしても代理店関係者の人数分の費用を負担することは難しいでしょう。CommuRingはそこの課題に目を付けたユニークなサービスです。

Commuring(コミュリング) の詳細はこちら

ご興味をお持ちいただけましたらぜひ製品サイトをご覧ください。

  • CommuRing(コミュリング)
    企業からその製品を利用する顧客への定期的な情報提供、双方向コミュニケーションに
    https://commu-ring.unirita.co.jp/

執筆者情報:

ユニリタ DXアクセラレーションチーム

株式会社ユニリタ DXイノベーション部
DXアクセラレーショングループ

ユニリタグループのプロモーション担当チームです。
企業の経営課題である「働き方改革」と「DXの推進」の実現に向けたアプローチを「4つのステージ」として整理しました。 企業内事業部門のDXを加速させるために、日々セミナー講師や執筆を行い、情報発信をおこなっています。

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