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カスタマーサクセスとは ~SaaSビジネスの成功のカギ~

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この記事は、2019/10/10と2020/02/20に投稿した記事を2020/5/20に再編集したものです。

カスタマーサクセスとは

カスタマーサクセス(Customer Success)とは、日本語に直訳すると「顧客の成功」です。カスタマーサポートと混同されることも多いですが、その違いは、カスタマーサクセスの目的は顧客を成功に導くこととなるため、アクション起点が顧客ではなくサービス提供側であり能動的です。
今回はカスタマーサクセスの目的とその手法を紹介します。

顧客に対して、月額課金型で提供するSaaS(Software as a Service)ビジネスなどの「継続的なサービス」を提供している企業にとって、注意すべきは解約率です。解約はそのまま企業の売り上げに直結するため、顧客の不満を与えないためにカスタマーサポートを重要視しているかもしれません。
ですが、サービスを継続的に利用してもらうためには、カスタマーサポートだけでなく、カスタマーサクセスの視点をもつことが必要です。

カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い

カスタマーサポートがユーザーからの問い合わせに対して適切な回答をしていくのに対して、カスタマーサクセスは企業からユーザーへアプローチをして継続利用を維持させることです。それぞれの違いを以下の表にまとめます。

  カスタマーサポート カスタマーサクセス
目的 クレーム処理・不満解決 顧客の成功体験
姿勢 受動的 能動的
指標 対応件数・満足度 売り上げ・解約率
ゴール 問題の解決 顧客の成功
担当 コストセンター プロフィットセンター

それぞれの担当部署である、コストセンターとプロフィットセンターとは、次のように異なります。

  • コストセンター:バックオフィス業務
  • プロフィットセンター:利益の最大限化が目標

このようにカスタマーサクセスは、ただ問い合わせに答えるだけではなく、解約率を下げ、売り上げ(利益)を最大化することが目的となります。

例えば、企業にて月額課金型で提供するSaaSビジネスを提供している企業であれば、契約開始はゴールではなくスタートになります。契約後にどのようにフォローし、顧客満足度を向上させ、長く利用し続けてもらうことが重要となります。これができなければ、顧客はそのサービスをうまく活用できず、継続する必要性をなくし、解約につながって、サービス提供ベンダーは利益を回収できなくなります。

そのため、提供するSaaSを通じて顧客の課題を解決していくことが重要なポイントです。顧客に寄り添い、伴走することで成功体験のプランニングを実施するのがカスタマーサクセスです。

IT業界における今までの定額支払い

IT業界においては、今ままでも定額で毎年費用を払い続けるビジネスモデルは存在しており、今でも多くのパッケージ型モデルで継続されています。

保守料、サポートサービス料、技術サービス料など、その呼称は提供する企業によってさまざまですが、購入したパッケージソフトウェアの金額の数パーセントから十数パーセントを毎年支払い続けているケースは非常に多くあります。(以降は保守料と記載)

毎年、一定額の保守料を支払い続けることで受けられるカスタマーサポートとカスタマーサクセスの違いは何が違うのでしょうか?

企業において利用されるITシステムはバグがあって当たり前と言われ、それはITベンダーが提供するパッケージソフトウェアも同じです。保守料を支払うことで受けられるカスタマーサポートは、このバグに起因する障害が発生したときに、提供ベンダーのサポートを受けられるという、いわば「保険」のようなものです。

ITシステムは、企業の基幹システムに利用されることが中心だったため、万が一にもそのサービスが長期間使えなくなることは避けねばなりません。企業はこの「保険」のために一定額の保守料を支払ってきました。

もちろんカスタマーサポートは非常に重要な業務で、顧客満足度にも大きく影響しますが、障害発生時の対応や問い合わせ対応に時間をかけることは、提供ベンダーにとってはコストと認識されることが多く、カスタマーサポートは長く「コストセンター」とされています。これが長い間のITビジネスにおけるトレンドでした。

なぜいまカスタマーサクセスなのか

これまでの日本において求められていたのはカスタマーサポートで、いかにユーザーの不満を解消するかに重きが置かれていました。

ところが、そこから一転してカスタマーサクセスが重要視されるようになった理由は、サブスクリプションモデルのサービスが年々増加しているからです。

サブスクリプションモデルは定額料金を支払うことで、継続的にサービスを受けられるビジネスモデルです。

サブスクリプションモデルについてはこちらの記事で解説しています(記事へのリンク)

今までのIT業界における「パッケージソフトウェアを販売して、保険としての保守料を得る」というパッケージ型のビジネスモデルとは異なり、ユーザーが一定額のサービス利用料を支払い、長期的にサービスを利用してもらうためには、事後的に解決するカスタマーサポートだけではなく、あらかじめユーザーの悩みや不満を解消するカスタマーサクセスが求められるようになりました。

特にサブスクリプションモデルの代表格であるSaaSビジネスでは、その重要性が増しています。

SaaSビジネスの収益構造

ここで、SaaSビジネスの収益構造をおさらいしましょう。

サブスクリプションモデルであるSaaSビジネスの特徴として、売り上げが成約した段階では上がらないということがあります。以下にSaaSビジネスの売り上げモデルの図を記載します。

図 1 SaaSビジネスの売上モデル図 1 SaaSビジネスの売上モデル

※CAC…Customer Acquisition Cost。1顧客を獲得するために必要なコスト
※LTV…Life Time Value。顧客が契約してから解約するまでにもたらしてくれる収益

① ~②のリードを獲得してから、成約までの期間は営業コストがかかる期間となります。成約に至ればその後、②~③のコストを回収していきます。

成約時に大きく数字が上がりコストを一気に回収するSIモデル/パッケージ型モデルとは異なり、成約以降、利用し続けてもらうことで毎月・毎年に決まった金額の売り上げが上がるようになります。つまり、損益分岐するまでに利用を停止されてしまうと、販売にかかったコストは回収できずに、赤字となってしまいます。

一般的にSaaSビジネスではCAC(営業コスト)はLTV(売り上げ)の3割程度まではかけても問題ないという指標がありますが、SaaSビジネスで成功を収めるためには、LTVを最大化させていくことで、CACにかけられるコストを増やし、より多くの顧客を獲得していくというサイクルに乗せることが重要な課題になります。この収益構造の視点からも、SaaSを利用し続けてもらう「カスタマーサクセス」は非常に重要となります。

SaaSビジネスの台頭とともにカスタマーサクセスが重要に

ITは企業における基幹システムだけではなく、ビジネスチャンスを産み出すための武器となっています。いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)が起こり、ITがビジネスの差別化・最大化に大きく貢献し、またはITそのものがビジネスになる時代になっています。

このDXの時代においては、基幹システムと同じように一度パッケージを購入して、その機能を5年、10年と利用することは、変化のスピードについていくことができなくなります。

このトレンドにおいて、毎月・毎年に一定額の利用料を支払い、常に最新の機能・サービスを受けられるSaaSが流行となることは、必然と言えるでしょう。

また、安定性・安全性・信頼性が求められる基幹システムとは異なり、SaaSに期待されることは、付加価値や費用対効果を最大限に引き出すことです。

月間・年間での契約形態であることもあり、顧客はより効果のあるサービスを探し求め、効果のないサービスはどんどん解約し、新しいサービスへの切り替えを行います。

SaaSを提供するベンダーにとって、このサービスの解約、サービスの切り替えを避けるために重要なことこそ「カスタマーサクセス」です。

カスタマーサクセスの指標はLTV

前述したようにカスタマーサクセスにおいて重要な指標となるのは、LTV(Life Time Value)=顧客生涯価値です。

LTVは、ある顧客が取引開始から終了までの期間(顧客ライフサイクル)に企業に対してどれだけの利益をもたらすかを表す数値です。

例えば、Aという顧客がB社という企業が出している食品を初めて購入するとしてします。この段階が顧客ライフサイクルの始まりです。そして、Aは毎週その食品を購入しました。しかし、1年後に別の企業の食品を購入するようになり、B社の食品を購入しなくなったとすると、ここがLTVの終わりとなります。

カスタマーサクセスでは、継続した購入を促すために、LTVを最大化することが重要です。

カスタマーサクセスとカスタマーサポーに課題がある方はあわせてこちらのページもご覧ください

インシデント管理、構成管理、顧客管理、契約管理のプロセスを把握してカスタマーサクセスとカスタマーサポートを実現

カスタマーサクセスのポイントは4つ

ここで、カスタマーサクセスの成功には、次の4つのポイントを押さえておきましょう。

  1. オンボーディング
  2. ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチ
  3. ヘルススコア
  4. アップセル・クロスセル

1. 「オンボーディング」で使いやすさ・登録しやすさに注力する

オンボーディングとは、船や飛行機に乗り込む乗客に、手ほどきを行う過程を意味します。そこから転じて、カスタマーサクセスにおいては、新たに獲得したユーザーに、サービスに慣れてもらう段階を指します。

具体的にはアカウント登録やログインを手軽にしたり、使い始めに読むチュートリアルを準備したりといった、サービスに慣れてもうらための工夫を意味します。

2. 「ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチ」で顧客に合わせた関係性を構築する

カスタマーサクセスは顧客との関係性が重要ですが、すべての顧客に対して同一の関係性を構築するわけではありません。状況に合わせて「ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチ」という3つの関係性を構築していきましょう。

ハイタッチとは、単価の高い顧客を対象に、個別で手厚い対応を行う関係性を指します。ロータッチとは、ワークショップやイベントといった利用促進・問題解決の場を提供して顧客と関係性を築く方法です。

最後に、テックタッチはテクノロジーを用いて、多くの顧客に同時に対応できる関係性を意味します。

3. 「ヘルススコア」で顧客が健全な状態かを確認する

ヘルススコアとは、現在取引している顧客が健全な状態であるかを測る指標です。
健全な状態の顧客の定義は、その業種・事業によって異なるため、次のように不健全な状態を定義する方が簡単です

  • 利用頻度が落ちている
  • 利用時間が短い

こういった顧客は不健全な状態にあり、サービス解約の兆しがみえるといえます。このような顧客に対しては、その利用状況に応じて、ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチで良好な関係を構築していきましょう。

4. 「アップセル・クロスセル」でLTVの向上を目指す

「アップセル」とは顧客の商品購入時に、同系列でよりグレードの高い商品を勧めることを意味します。当然、客単価が上がり利益の増加につながります。

一方、「クロスセル」とは、顧客が購入する商品とそれに関連する商品の、セット購入を促す方法です。例えばスーパーのレジ前に乾電池が置いてあるのがいい例といえます。

カスタマーサクセスでは、常に同じ商品やサービスを提供しているだけでは意味がありません。顧客が離れていかないように、よりグレードの高いサービスの提案や、関連サービスをレコメンドして、ユーザーに成功体験を提供していく必要があります。

アップセル・クロスセルで顧客にアプローチすることで、LTVに欠かせない平均顧客単価の増加が見込めます。

カスタマーサクセスとカスタマーサポーに課題がある方はあわせてこちらのページもご覧ください

インシデント管理、構成管理、顧客管理、契約管理のプロセスを把握してカスタマーサクセスとカスタマーサポートを実現

カスタマーサクセスに求められるスキル

カスタマーサクセスを実践していくためには、今までカスタマーサポートの業務を担当してきた人材にはない新しいスキルが必要となります。カスタマーサポートにおいては、提供しているサービスに関する技術的なスキルやノウハウが重要でしたが、カスタマーサクセスにおいては、それ以上にコミュニケーションスキルが求められます。

  • 顧客との関係構築のスキル
  • 課題のヒアリング能力
  • 問題を分析する能力
  • 課題解決へと導くファシリテーションスキル

などが代表的な能力です。技術的なスキルというよりは、コンサルタントに必要な能力に近く、技術者やSEにとって、新しいステップアップが必要な能力と言えるでしょう。

カスタマーサクセスの成功事例

カスタマーサクセスの重要性、そして成功のためのポイントをご紹介いたしましたが、実例を知って、自社の手順に落とし込んでいく必要があります。

ここでは、以下の2つのサービスにおけるカスタマーサクセスの成功事例を紹介します。

  • Netflix
  • freee

アップセルの設定で顧客単価を上げた「Netflix」

2019年7月に有料会員数が全世界で1億5,1000万人を突破した、映像ストリーミング配信事業会社「Netflix」。同社はオリジナルの映像コンテンツも制作しており、月額料金を支払うことで、サービスを利用できます。

サービスプランは複数あり、ベーシックプランの場合は、一度に視聴できるデバイスが1つなのに対して、スタンダードプランでは同時に2つのデバイスで高画質の映像が楽しめ、さらにプレミアムプランでは4つのデバイスで高画質・超高画質(UHD 4K)の映像を楽しめます。

当然、ベーシックプランよりもスタンダードプラン、さらにプレミアムプランの方が月額料金は高くなります。つまりベーシックプランのアップセルがスタンダート、プレミアムプランであり、顧客のライフスタイルに合わせてプランを設定したことで、客単価の引き上げが図れるということになります。

顧客のつまずきを個々で解決する「freee」

会計に関する知識がなくとも簡単に会計処理が行える中小企業向けの会計ソフト「freee」。このソフトを発売しているfreee社では、顧客のログイン状況、取引内容から顧客がつまずいているかを数値化しています。

その数値が高かった顧客に対しては、どこでつまずいているかを直接ヒアリングして、そのつまずきを解消する手だてをとっています。

いわゆる、後手後手に回るカスタマーサポートではなく、サービス提供側からアプローチしていくカスタマーサクセスの理想ともいえる手法を導入しています。

カスタマーサクセスの成功のカギ

SaaSビジネスの成功を目指す中で、最も大きく変革が求められるのは、これまでコストセンターとされてきたカスタマーサポートの領域です。

今までの、受け身的な「カスタマーサポート」だけではなく、顧客を成功に導くためのプロアクティブな活動をする「カスタマーサクセス」の活動が重要となります。顧客と一緒になって“優れた顧客体験(カスタマーエクスペリエンス:CX)”を作り出し、サービスの利用を継続してもらうことが必須となります。KPIも、サポート業務で重視された時間ではなく、解約率(Churn Rate)や、アップセルやクロスセルなどを取り入れることが重要でしょう。

コスト削減ではなく、売り上げ・利益の増加を目指す「プロフィットセンター」になることを目指します。SaaSビジネスでは顧客の特性・属性を容易に把握することが可能で、顧客と直接コミュニケーションをとることも比較的簡単に実現できます。顧客から得られた情報をサービス改善や新しいサービスの提供につなげることも可能です。

また、データやAIの活用により、個々の顧客の特性・属性にあわせた機能・サービスのレコメンドもできます。

さらに、SaaSの特性や機能だけでなく、「カスタマーサクセス」として能動的に顧客にアプローチし、サービスの利用を促進することも重要です。サービス利用のハードルを下げるためのコンテンツ整備、効果の出た事例の横展開、ユーザコミュニティを作ることにより、ユーザ同士の情報交換、サービス利用の定着化を図るために、他サービスとの連携を提案するエコシステムの構築など、「カスタマーサクセス」で実施すべきことは数多くあり、そのすべてがSaaSの利用の継続につながる「カギ」と言えるでしょう。

カスタマーサクセスにおけるSaaS利用継続のカギ

・サービス利用のハードルを下げるコンテンツ整備
・効果の出た事例の横展開
・ユーザコミュニティによるユーザ同士の情報交換
・他サービスとの連携を提案するエコシステムの構築

まとめ

カスタマーサクセスは企業の利益を上げるうえで欠かせないステップであり、従来の受動的なカスタマーサポートだけではなく、サービス提供側からの能動的なアクションが求められます。

そのためには、オンボーディング、ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチ、ヘルススコア、アップセル・クロスセルといった手法を理解してアプローチしていくようにしましょう。

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