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なぜシステム運用ルールは守られないのか?運用ルールの必要性について考える。その1

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各企業にはさまざまなシステム運用のルールが存在しますが、そのルールすべてが社内で守られているわけではないのが実情です。

ルールを軽んじていると、重大な事故やミスにつながってしまい、企業としての営業活動に悪影響を及ぼしてしまう可能性もあります。

ただ、ルールは策定したとしても、それが守られていないというケースも大いに存在します。今回は2回にわたり、運用ルールが厳守される環境づくりにつながるヒントを解説します。第1回目では、そもそも運用ルールが守られない原因にフォーカスしていきます。

1.システム運用ルールは必要

運用ルールと一言で言っても、

  • 権限や役割に関するルール
  • 作業のやり方・対応方法に関するルール

といったように、さまざまな基準や手順が存在します。

そして、実際に多くの企業においては「〜マニュアル」「〜手引」といったように、運用のルールが存在しているはずです。

企業に存在するルールのなかには、不要なものも存在しているかもしれませんが、ほとんどの場合において、運用ルールは必要不可欠です。

運用ルールは標準化を図るのに効果的

企業にはさまざまな従業員が勤務しています。新人、ベテランと業務のスキルには大きな差があります。

これら、経験とスキルが異なる社員同士の作業進捗を標準化するうえで、運用ルールは大いに役立ちます。

運用ルールがない状態では、その対応は従業員によって異なるため、ユーザーのなかには、従業員の対応次第では不満を持ってしまう可能性があり、企業のブランドイメージが傷ついてしまい、売上の低下にもつながってしまいます。 

このような状態を引き起こさないために、業務における運用ルールは存在しているといえます。 

生産年齢人口が減り続ける現代では運用ルールの策定が必要

中小企業庁の発表よれば、労働力の核となる生産年齢人口(15〜65歳)は、1995年の約8,700万人をピークに減少傾向にあり、2060年には約4,800万人にまで減少すると予想されています。[注1]

少子高齢化が進み、これまで企業を支えていた年齢層が退職していくことで、知的損失につながってしまいます。

このようなナレッジを退職により失わないためにも、後任に引き継ぐことのできる運用ルールを策定する必要があります。

[注1] 中小企業庁 第2節 日本の人口動態と労働者構成の変化

https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H30/h30/html/b2_1_2_1.html

2.システム運用ルールが守られない理由

多くの企業で運用ルールが存在しているにも関わらず、それが守られていないのはなぜでしょうか。

実際に運用ルールが守られていない現場からは、次のような声が挙がってきます。 

  • 自分達には関係ない運用ルールだと思っていた:現場の理解不足
  • 運用ルールがあるなんて知らなかった:周知徹底不足
  • 誰も守っていないから自分も守らなかった:軽視
  • 運用ルールと作業実態がかけ離れている:実態との乖離
  • ルールが複雑でわかりにくい:ルールの複雑化

このような声のうち、現場の理解不足、周知徹底不足、軽視という3つは「違反者に依存する理由」として、「運用ルールと作業実態がかけ離れている」「ルールが複雑でわかりにくい」という2つは「運用ルールに依存する理由」として大別できます。

前者の場合、該当社員に対しての教育やルールの周知徹底で対策できますが、後者の場合は、ルールそのものを見直す必要があります。

また、違反者に依存する理由であっても、違反するにいたった根本的なルールに原因があることも忘れてはいけません。

短絡的な体制強化やチェックシート作成は守られないルールを増やすことに

運用ルールが守られていない場合、該当部署への教育・周知、人員増加といった体制強化、チェックシート作成などの手段がとられるケースがあります。このような方法で運用ルールの厳守を徹底すると、不要な負担が発生しかねません。たとえば、運用ルールを守っているかを確認するチェックシートを作成した場合、チェックする作業に時間が割かれてしまううえに、そのチェックが必ずしも行なわれるわけではありません。 

また、1人で完了する業務をチェックするために2人体制にしてしまうと、人員を無駄に割いてしまい人件費の増大につながってしまいます。

運用ルールは定期的に見直す

運用ルールは定期的な見直しが必要です。ルール策定の段階では誰しもが守れていたとしても、時間の経過とともに守られなくなるというケースもあります。現場の人員減少や業務の増加といったことで、運用ルールが形骸化してしまう恐れがあるため、現場の意見を反映しながら、ルールをブラッシュアップしていく必要があります。

システム運用ルールは明確なものを用意する

運用ルールが氾濫してしまうと、どのルールに従うべきか現場が混乱しかねません。また、企業によってはルールが存在せず、自分で覚えていくという教育方針の企業もあるでしょう。いずれであっても、明確な運用ルールを設けることで業務の標準化を図る必要があります。

また、運用ルールが守られていなかったとしても、たかがヒューマンエラーと諦めずに、ルールが守られない理由をしっかりと考える必要があります。

次回は運用ルールが運用されるまでの流れを整理したうえで、それぞれの工程で守られない状況を作る主な原因とそれぞれの解決策について解説します。

次回:なぜシステム運用ルールは守られないのか?運用ルールの必要性について考える。その2はこちら

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