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最新版ITIL 4を活用したITサービスマネジメント変革とは?|パート3:ガバナンス強化

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パート2では、ITIL 4の主要概念のバリューチェーンを構成する活動領域の1つである「エンゲージ」を紹介しましたが、パート3ではITIL 4の主要概念のバリューシステムを構成する「ガバナンス」に注目してみたいと思います。

エンゲージについての詳細は「パート2:エンゲージメント強化」の記事をご覧ください

サービスバリューシステム(SVS)

図1. サービスバリューシステム(SVS)<出典:ITIL 4>

「ガバナンス」とは?

一般的に「ガバナンス」とは、『組織における事業の目的を達成するための「マネジメント」活動に対する、経営層による意思決定や合意形成の仕組み』と定義されており、その活動は「評価」「方向付け」「モニタリング」の領域に分類されます。

また、「マネジメント」とは、『組織における事業の目標を達成するための管理活動』と定義されており、その管理活動は「計画」「構築」「実行」「モニタリング」の領域に分類されます。

ISACAが発行するCOBIT® 2019(以降、COBIT 2019)では、「ガバナンス」と「マネジメント」の活動を体系的に整理しており、それらを分離して機能させることを求めています(図2)

COBITにおけるガバナンスとマネジメントの関係

図2.COBITにおけるガバナンスとマネジメントの関係

COBIT 2019は、「情報とテクノロジーに関する組織レベルのガバナンスフレームワーク」ですが、「情報テクノロジー(IT)」ではなく「情報とテクノロジー(I&T)」という表現を用いることで、組織が事業の目的と目標を達成するために生成・処理・利用するすべての「情報」は、「テクノロジー」とは異なる観点でマネジメントする必要があることを明示しています。

そして、ガバナンスの対象となる「情報」は、IT部門だけでなくビジネス部門を含む全社をスコープとし、ビジネス活動と「情報とテクノロジー(I&T)」の整合性を取ることで、最終的な「価値創造」を達成することを目的としているのがCOBIT 2019の特徴です。

COBIT 2019において、「ガバナンス」の「評価」「方向付け」「モニタリング」の活動は、ビジネスニーズを「評価」し、優先度付けと意思決定によりマネジメント活動に対して「方向付け」と目標設定を行い、その目標を達成するためにマネジメント活動のパフォーマンスを「モニタリング」する、という全社的なガバナンス(エンタープライズ・ガバナンス)のプロセスとして構成されます。

また、COBIT 2019のエンタープライズ・ガバナンスは、「リスクの最適化」「リソースの最適化」「価値の実現」の3つを目的としています。

ITIL 4における「ガバナンス」の位置付けは?

ITIL 4の「サービスバリューシステム」のコンポーネントの1つである「ガバナンス」は、前述のCOBIT 2019の概念を取り入れています。

ITIL 4において、「ガバナンス」の「評価」「方向付け」「モニタリング」の活動は、ステークホルダーのビジネスニーズを、組織のビジョンと戦略に照らし合わせて、サービスマネジメントの「4つの側面」と「6つの外的要因」の観点から「評価」し、「指針となる原則」に基づいて優先度付けと意思決定を行い、「サービスバリューチェーン」上で「バリューストリーム」として実行されるマネジメント活動に対して「方向付け」と目標設定を行い、その目標を達成するためにマネジメント活動のパフォーマンスを「モニタリング」する、というプロセスで実行されます。

ITIL 4の「ガバナンス」で重要なことは、COBIT 2019の「エンタープライズ・ガバナンス」としての目的である「リスクの最適化」「リソースの最適化」「価値の実現」の3つの観点で、組織内に整備した「サービスバリューシステム」が、組織の戦略やポートフォリオなどと整合性が取れているかを評価し、必要な方向付け(意思決定)を行い、「サービスバリューチェーン」と、その中で実行される「プラクティス」と「バリューストリーム」が、デザインした通りに機能し、期待する価値を出しているかを継続的にモニタリングし、必要なコントロールを実施することです。

ITサービスマネジメントの「ガバナンス」強化アプローチ

次に、ITサービスマネジメントにおける「ガバナンス」の強化はどのように進めれば良いかを考えてみましょう。

「ガバナンス」には「評価」「方向付け」「モニタリング」の活動がありますが、「ガバナンス」の目的である「リスクの最適化」「リソースの最適化」「価値の実現」を、効果的かつ効率的に実行するための重要成功要因(CSF)を整理すると以下のようになります。

  • ITサービスマネジメントの活動に関して、経営層による意思決定や合意形成に必要となる情報が特定されている(レポート、KGI/KPIなど)
  • 意思決定や合意形成に必要となる情報は、重複することなく一元的かつ機能横断的に効率的に管理され、必要な人が、必要な情報を、必要な時に、容易にアクセスすることができ、見やすい形で参照できる(ポータル上のダッシュボードによる標準化と可視化 など)
  • 意思決定や合意形成に必要でない情報は管理していない(ムダな情報の生成・処理・利用をしていない)
  • 「評価」に必要となる、サービスマネジメントの「4つの側面」と「6つの外的要因」の観点が必要十分に取り込まれている
  • ガバナンスのプロセスは、「指針となる原則」に沿って実践されており、「継続的改善」が行われている

今回、ITIL 4の主要概念のバリューシステムを構成する「ガバナンス」をテーマにしてITサービスマネジメントの変革に必要となる、組織レベルのガバナンスとマネジメントの仕組みをご紹介しました。一方で、ITIL v3/2011を活用してITサービスマネジメントを実践されている組織においても、このガバナンスの仕組みが現在機能しているかの検証を行うことは可能です。まずは、現在の業務プロセスを分析して、ガバナンス強化に必要な課題を見つけることから始めることをお勧めします。

次回のパート4では、ITIL 4をベースにしたITサービスマネジメントを実践する上での行動規範となる「指針となる原則」について考えてみたいと思います。

COBIT®は、ISACAおよびITガバナンス協会の登録商標です。

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