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5分でわかる働き方改革シリーズ ~働き方改革が必要とされる背景とは?~

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ここ数年、「働き方改革」という言葉を耳にしない日はないというくらい、どこもかしこも働き方改革に取り組んでいます。
働き方改革の一環として、

  • 有給取得率や男性の育児休暇取得率の向上といったワークライフバランスの確保
  • ノー残業デーやプレミアムフライデーといった長時間労働抑止

に取り組んでいる企業も多いのではないでしょうか。また、2019年4月1日より施行された「働き方改革関連法」では残業時間の上限を規制したり、有給休暇の取得が義務付けられます。

これを機に、働き方改革の波が今まで以上に押し寄せてくることは間違いないでしょう。
今回は、働き方改革の必要性や、働き方改革の取り組みに関する話をしていきます!

働き方改革が必要とされる背景は生産年齢人口の減少


働き方改革が必要となった背景としてよく挙げられるのが、生産年齢人口の減少です。
日本は1960~1990年頃に人口ボーナス期を迎え高度経済成長期を支えました。
人口ボーナスとは「子供と老人が少なく、生産年齢人口が多い状態。豊富な労働力で高度の経済成長が可能。多産多死社会から少産少子社会へ変わる過程で現れる。」[※1]と言われていますが、現在は人口オーナス期と言われる「高齢人口が急増する一方、生産年齢人口が減少し財政、経済成長の重荷となった状態」[※2]に突入しています。
そういった状況の中、今までのような長時間労働や「男性が働き女性は家庭に入る」といった働き方を変え、生産性向上やワークライフバランスといった働き方改革に取り組む必要が出てきています。

生産年齢人口の減少が与える負担とは

総務省の調査によると、2015年には7,629万人いた生産年齢人口が2030年には6,773万人、2060年には4,418万人と約65%に低下すると予想されています。



※3(出典)2015年までは総務省「国勢調査」(年齢不詳人口を含む)、2020年以降は国立社会保障・
  人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」(出生中位・死亡中位推計)

上述した通り日本は人口オーナス期に入り、少子高齢化が加速し2060年には高齢化率が40%と日本の人口のほぼ半分がお年寄りになります。
1960年は、生産年齢人口1人あたり約0.09人のお年寄りを支えればよかったのが、2020年には約0.49人を支えなければなりません。2060年にはこれが約0.78人にまで増加します。
生産年齢人口の中には、働いていない人や出産・育児や介護などでやむを得ず仕事を離れる人もいるでしょうから、実際には生産年齢人口の負担はより大きいと言えます。
人口の減少や人口構造の変化に伴い、人手不足や社会保障費の増加、経済成長率の低迷と言った様々な問題がすでに浮き彫りになっています。
これらのデータを見ると、人口ボーナス期と比べていかに働き方改革が必要になるかがよくわかると思います。

働き方改革の2つの取り組み

働き方改革の取り組みとしてよく言われるのが、
・生産性向上
・ワークライフバランス
の2つですが、これらはどのようなことを意味しているのでしょうか。
1つずつ噛み砕いて見ていきましょう。


生産性向上

「生産性」という言葉は誰しもが一度は耳にしたことがあるでしょう。
公益財団法人日本生産性本部によると、労働生産性はアウトプット(生産量または生産額) ÷ インプット(労働者数 × 労働時間)で表すことができます。
つまり、生産性を向上するためには「必要な業務に集中し成果を出し、その分の労働時間を減らす」ということが必要になってきます。
労働時間が減った分は、よりコア業務に携わったり、プライベートの時間を充実させてより業務に集中しやすくしたりすることで生産性を更に高めることが可能です。
そのためには、設備投資やITの活用、コア業務以外をアウトソーシングするなどといった企業努力が欠かせません。
経営者が「生産性を向上させよう」といくら言ったところで個人が努力できる範囲は限られてきます。
まずは、社員がコア業務に集中して取り組めているか?取り組むためにはどうすればいいのか?を考えていく必要があります。

ワークライフバランス

「ワークライフバランス」は政府が積極的に取り組んでいる施策の1つで、内閣府のホームページには、
「我が国の社会は、人々の働き方に関する意識や環境が社会経済構造の変化に必ずしも適応しきれず、仕事と生活が両立しにくい現実に直面している。誰もがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たす一方で、子育て・介護の時間や、家庭、地域、自己啓発等にかかる個人の時間を持てる健康で豊かな生活ができるよう、今こそ、社会全体で仕事と生活の双方の調和の実現を希求していかなければならない。」[※4]
と記載されており、国をあげて取り組まなければいけない問題だと考えられています。
特に、出産・育児や親の介護といったライフステージの大きな分岐点では、未だに辞職する割合が高く仕事と両立している方は多くはありません。
以下のグラフを見てわかる通り、約半数の女性が出産を機に仕事を辞めており、パート・派遣社員では更に働き続ける割合が低くなっています。


5.jpg
※5(出典)政府広報オンライン「知っていますか? ワーク・ライフ・バランス」
    図表5:出産前有職者の就業継続率

日本では、パート・派遣社員といった非正規雇用の割合が年々増加しています。
正社員だけでなく、そういった方でも仕事を続けやすくするような制度や会社の雰囲気作りが日本ではまだまだできていないのが現状です。

また、ワークライフバランスを、「仕事とプライベートをしっかり分けなければならない」と思われている方もいらっしゃるかと思いますが、スマートフォンやモバイルPCが普及した現在、メールを返信したり書類をチェックしたりと言った簡単な仕事なら会社にいなくてもできるようになってきています。
つまり、今まで以上に仕事とプライベートの境界線が曖昧になってきているということです。
私自身そうなのですが、ちょっとしたメールの返信くらいなら、勤務時間外でも返信したりする方は少なくないのではないでしょうか。
そういった状況の中で、無理やり仕事とプライベートを分けようと、会社以外では仕事ができないようなガチガチのシステムを導入すると、使い勝手が悪く、逆に従業員満足度が低くなる要因となってしまいます。
ワークライフバランスは、仕事とプライベートのバランスをいかに取るかが重要であり、それぞれが自分に合った働き方を選べる選択肢を増やしてあげることが求められます。


働き方改革は企業・就業者どちらにとってもメリットがある


ここまで、働き方改革が何故必要か?どういったことが求められているか?をお伝えしてきました。
働き方改革は何も、日本経済だけの話ではなく、企業・就業者も関わってきます。
そして、働き方改革を進めることは企業・就業者のどちらにとってもメリットがあります。
それぞれの主なメリットは以下の通りです。

企業
- 働き方改革を推進していることが求職者へのアピールになり、より良い人材を確保しやすい
- 出産・育児や介護等での辞職が減り、人手不足の解消に繋がる
- 従業員がコア業務に注力でき、成果(売上、利益)の拡大に繋がる
就業者
- ワークライフバランスの浸透とともに、働き方の選択肢が増える
- 生産性が向上し、長時間労働が解消される
- ルーチンワークから解放され、コア業務に注力できる

働き方改革は、企業・就業者どちらにもメリットがあり、企業として取り組まなければならない重要課題となっています。
働き方改革実現のためには、様々な部門や立場の人が今まで以上に密接に関わっていく必要があります。
そのためには、何のために働き方改革をするのか、働き方改革で何を実現するのかを明確にし、全員の目線を合わせる必要があります。
次回は、生産性とデジタルトランスフォーメーションに着目し働き方改革についてお話できればと思います。

 

【出典一覧】

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DXに向けた、働き方改革へアプローチする上で起きることが想定される「働き方改革」の問題と課題を4つのステージとして整理し解説しています。2020年12月に経済産業省が発表した「DX レポート2」にも触れていますので、ぜひご一読ください。

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