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個人経営の店とECサイトの類似点は「情報」

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スマートフォンの普及で、指先ひとつで買い物ができるようになりました。そのため実店舗に足を運ぶ頻度が少なくなったという人も多くいるかもしれません。実店舗とECサイトでは異なる点が多くありますが、似通ったところもあります。

今回は、サブスクリプションからは話がそれますが、ネットショッピングと実店舗の実情における2つの類似点を紹介します。

ネットショッピングを利用する人は全年代で高い割合を占めている

ネットショッピングを利用している人の数は全年代で高い割合を占めています。
インターネットユーザーのうち、ネットショッピングを利用する人は、20代以下から60代以上の全年代で72.2%となっています。
年代ごとに詳しくみていくと、20代以下が67.3%、30代が68.5%と、全年代の平均を下回ります。一方、40〜60代以上はいずれも平均を上回っています。[注1]

ネットショッピングと耳にすると、「若年層が利用して、シニア層は利用しない」というイメージを抱きますが、実際はその逆で、若年層よりもシニア層が利用する傾向にあります。

売上も増加傾向

経済産業省が発表した「電子商取引に関する市場調査の結果」では、2017年のB to C EC市場は前年から9.1%増加した16兆5,504億円、多くの企業がECサイトを持ち、ネットショッピングに対応するようになっています。[注2]

総合スーパーは赤字で大苦戦を強いられている

一般的なスーパーで売られている食料品や日用品だけでなく、家電や衣料品なども販売している総合スーパーですが、ここ数年は赤字で大変苦しんでいます。

そのワケは、衣料品の売上減です。昨今、実店舗である衣料品専門店に客に流れてしまっているだけでなく、ECサイトの利用がますます増えています。このような事情から、武器のひとつであった衣料品の売上が大きく減少し、赤字が続いてしまっています。[注3]

個人経営の店と大手スーパーの違いは客への気付きがあるかどうか

個人経営の店は客との距離感が近いため、客が何を求めているか、何を好んでいるかといったニーズに気付きやすいです。例えば、客がいつも購入する商品が入荷していれば声掛けがありますし、なにかサービスをすることもあります。
さらにいえば、常連客の家族構成まで把握していることもあります。

一方、大手スーパーの場合、発注・入荷・品出し・加工・レジ(販売)といったすべての工程が分かれており、システム化されています。レジの担当者は、客が誰であるかを知らないですし、知っていたとしても、何を買っているかは覚えていない可能性が高いです。仮に覚えていたとしても、入荷担当でなければ、何が入荷したか分からず、商品のおすすめはしてこないでしょう。

大手スーパーはあくまでポイント還元や大量入荷による価格安といった面で、ECサイトに対抗していくしかありません。

個人経営の店とECサイトの類似点である「情報」を活用

個人経営の店が客への気付きを生み出せるのは、「情報」をつかんでいるからです。
この客が何を好むのかを、日々の接客や会話のなかで情報を引き出し、それを参考に営業をかけているのです。
客側としても、自分の気持ちをくんでくれるのはありがたいことですから、大手スーパーよりも、自分のことを知っている個人経営の店を利用するのです。

一方、ECサイトの強みも情報です。ユーザーが何を欲しているかを、どんな商品を購入する傾向にあるか、情報を蓄積、分析して、ユーザーに還元していくのです。

信頼という点も選ばれるECサイトには欠かせない

ネットショッピングを利用しないと答えた人のうち、その理由として「ネットショッピング事業者の信頼性が低いから」と答えた人は、20代以下から60代以上で15%以上を占めています。個人経営の実店舗のように、誰が販売しているかがわかれば信頼を勝ち得ますが、直接対面することがないECサイトは不信感を抱かれてしまうこともあります。
選ばれるECサイトになるには、信頼という点も欠かせません。

買い物弱者の増加でより重要になるECサイト

ECサイトは、「買い物弱者」の増加でより重要になってくると考えられます。
「買い物弱者」とは食料品を買える店舗までの距離が、直線で500メートル以上あり、自動車を利用できない人を指します。農林水産省の発表によれば、65歳以上の買い物弱者の数は、2015年で、全国824万6,000人を超えると発表しました。[注4]

実店舗のなかでもコンビニやドラッグストアは店舗数を伸ばしている

ネットショッピングが盛り上がるなかで、実店舗でも、コンビニやドラッグストアは店舗数を増やしています。[注5]
いずれも、ネットショッピングで買うほどではない、ちょっとした買い物に適した業種です。

買い物弱者が増加した理由はスーパーやコンビニの倒産

買い物弱者が増加した理由として、スーパーやコンビニの倒産が挙げられます。スーパーは全国をとおして倒産数が増加しているのに対し、コンビニは全国的にみれば店舗数を伸ばしています。ですが、地域によっては価格競争に負けて、閉店に追い込まれている店舗も多数あります。

また、高齢者の運転免許証返納が増えていることも原因として挙げられます。営業している店舗があったとしても、交通手段がないことで、買い物弱者となってしまうのです。

セット販売などで高齢者も利用しやすいECサイトを構築

ECサイトの活用は、買い物弱者の問題を解消する手段のひとつだと言えます。特に高齢者が利用することを意識したサイトの構築は重要です。煩わしい手続きが省かれたユーザビリティがあるサイト、わかりやすいインターフェースはもちろん、高齢利用者の情報を蓄積して、サイト側からレコメンドするような機能を設けるのがおすすめです。例えば、1週間の献立を設定すると必要な具材などを合わせて提案するなど、工夫を凝らして信頼の獲得につなげましょう。

ユーザーの情報を活用してより顧客目線のサービスを提供する

個人経営の店が生き残っているのは、客の情報を把握してサービスに還元しているからです。これにならい、ECサイトもユーザー情報を活用し、より顧客目線のサービスを提供していくことで、利用者の増加や売上増加が見込めます。
ECサイトは個人経営の店と違い、ユーザーの声や表情、身振り手振りを確認し、その場で追加オーダーを勧めたりすることはできませんが、誰が、いつ、何を、どれぐらいの頻度で購入しているのか、といった嗜好性を読み取ることができるデータは蓄積できているはずです。これをもとに、ユーザーの好むカテゴリーの商品購入に使えるクーポンを送ることなどが「CRM」といえます。
近年はCRMの中でも、継続的にユーザーの行動データを蓄積し、ユーザーの状態(ECサイトであれば商品ラインアップから使い心地なども含めたユーザー体験全般に対してどう感じているか)を把握し、継続的にコミュニケーションをとりつつ提案を続けることでLTVの最大化をねらう「カスタマーサクセス」活動が注目されています。

今回は実店舗とECサイトを比較して、顧客情報の重要性を解説しました。
これをうけて、次回はサブスクリプションサービスにおける顧客情報の重要性の話をしていきたいと思います。

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サービス利用を開始した後の顧客との関係性において、サービス提供者が行うカスタマーサクセス活動や考え方がどういったものかを、できるだけわかりやすく解説しています。

目次

  1. カスタマーサクセスとは
  2. カスタマーサクセス登場の背景/重要性
  3. カスタマーサクセス組織の役割・ミッション
  4. カスタマーサクセスマネジメント 3つのポイント

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[注1] 平成27年版 情報通信白書のポイント 総務省
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h27/html/nc122400.html

[注2] 電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました~国内BtoC-EC市場規模が16.5兆円に成長。国内CtoC-EC市場も拡大~ 経済産業省
https://www.meti.go.jp/press/2018/04/20180425001/20180425001.html

[注3] イオンもヨーカ堂も赤字低迷。何が総合スーパーを殺したのか?
https://www.mag2.com/p/news/362323/2

[注4] 食料品アクセス困難人口の推計結果の公表及び推計結果説明会の開催について 農林水産省
http://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/kihyo01/180608.html

[注5] 店舗数の変化、お店の販売効率や賑わいの変化は、小売販売額をどう変えるのか?;業態別小売販売額の要因分解から見えてくるもの 経済産業省
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/hitokoto_kako/20180205hitokoto.html

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