この記事は、2018/09/03に投稿した内容を2019/7/18にリライトしたものです。
BPM(Businesse Process Management:ビジネスプロセスマネジメント)とは、企業戦略と業務プロセスとの整合を取りながら、業務プロセスを分析、かつ最適化し、継続的改善サイクルを確立・運営する包括的な手法です。
経営戦略やビジネスモデルを現場レベルに落とし込んだ結果、現場の社員はどのように仕事をするべきか、「標準プロセス」という目に見える形のフローとして定義し、これを普及・展開し、順守状況を評価します。
グローバル化や買収、合併などにより、多くの企業は「標準プロセス」の継続的な見直しを迫られています。
企業内の戦略・プロセス・ITの整合性を取りながら、継続的な改善を進めるには、これらの情報を企業資産として効果的に可視化、分析、共有する必要があります。
BPMを通じて、最適化されたプロセス、その最適化された標準プロセスの展開とガバナンス基盤、モニタリングと継続的改善の基盤の実装が実現します。
その結果として、事業展開の迅速化(海外展開、M&A等)、サービス品質の底上げ、属人化を排除し人材育成が容易になるといった効果が得られます。
そして、それらがコスト削減(コストの最適化)、顧客満足度の向上、売上向上、利益率向上といったビジネスへの貢献につながります。
BPMを実現する上でのCSF(Critical Success Factor)とはなんでしょうか。
われわれの経験では、最も大切なのは組織・人・文化面とBPMを実施・展開する上での方法論、そしてそれを支えるツールという3要素が重要となります。
ビジネスにおけるさまざまな課題に対して、BPMは効果を発揮します。
BPMのテーマ(BPMにて解決したい事)として、以下の様な8つの課題に皆さん取り組んでいます。
では、実際に企業へBPMを導入するには、何をすればよいでしょうか。
BPMという概念が一般的になってから、かれこれ20年以上経ちますが、業務プロセスを企業資産と捉えて継続的に維持管理する事の重要性に異論を唱える人は稀です。この企業資産の登録、変更、分析、活用に特化した、いわゆるBPMツールも進化し、十分な機能が提供されるようになりました。昨今話題のIoT活用のためにはBPMが前提条件になるといった意見も珍しくなくなりつつあります。しかし、欧米に比べて日本ではイマイチ、BPMは流行っていないのも事実です。日本には何か根本的に異なる事情があるに違いありません。
欧米企業のBPMはトップダウンです。プロセスオーナー制度というものがあり、業務プロセスの可視化、改善、運用評価の責任を取る人が明確に決められ、この活動を支援するための専門組織(BPMコンピテンスセンターなどと呼ばれます)がIT部門にあり、CIOがそのサービスレベルを事業側の役員と握っています。
この仕組みはERPなどのシステム再構築やグローバル展開に使われるだけでなく、ビジネス側の各事業部が中期計画、年度計画の中で掲げる事業戦略上の施策、例えば「顧客接点の強化」や「製品の市場投入リードタイム短縮」などのテーマに対しても、現状の共通理解や課題の所在の明確化のために、当たり前のように利用されます。BPMはシステム導入プロジェクトの品質や効率を上げる手法というよりも、恒常的な経営ツールの一つとして根付いています。
そもそも、BPMとはどういう活動のことを指すのでしょうか。日本BPM協会が定義しています。BPMとは業務プロセスのPDCAサイクルを回して業務の成果を上げること。現場の実態に即した仕事のやり方を可視化し、自ら設計・適用・評価しながら継続的に改善してゆくことです。
この定義に立ち返ると、実は日本が誇る「職人の世界」にとても近いことがお分かりかと思います。日々反省を繰り返して技を磨くことについて日本人はある種の美学を感じます。ただ少し違うのは、その経験を暗黙知のまま伝承するのではなく、形式知として組織に還元し、全体最適の視点から調整を施すという点です。
改善によって生まれる暗黙知を形式知化し、蓄積・共有すれば、改善サイクルのスピードと効率性が上がるだろう、という事がBPMの本質です。ナレッジ管理にも近い話かもしれません。先日、囲碁で人間に勝利したGoogleのAlphaGoは、約3000万におよぶ過去のトップ棋士による囲碁の打ち方(これはまさにプロセスです)を学び、さらに機械同士を対戦させて学習を深め、名人を上回るスキルを得たそうです。
この例をすぐに業務の世界に当てはめるのは単純過ぎるかもしれませんが、業務領域によってはAIが人の仕事をリアルタイムにガイドしてくれる日はそれほど遠くないでしょう。
機械にでもわかるように形式知化しておく事が、将来さまざまな形で事業の差別化につながるのではないかと想像します。
上記の図のように、部門単位など、小さなところからとにかくPDCAを回しはじめることが大切です。そして、部門をまたいでBPMを広げていきながら、道具(ツール)を使って管理を効率化しましょう。そうすることで、組織全体にBPMを広めやすくし、最終的にはBPMが企業文化となり、根付いていくことを目指しましょう。
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