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問い合わせから回答までのリードタイムと顧客満足度の相関性 〜顧客満足から顧客感動へ〜

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企業において、顧客の声がダイレクトに届くのが問い合わせです。なかには、サービスや製品の改善点を指摘するものもあり、そのような問い合わせは担当する部署にとってみると、決して気持ちがいいものではないかもしれません。

ですが、この問い合わせは、その後の企業イメージや顧客満足度に直結する重要なフローなのです。

今回は問い合わせから回答までのリードタイムと顧客満足度の相関性、変わりゆく顧客管理について解説します。

日本人は顧客サービス提供の際に待てる時間が短い傾向にある

「アメックス」の略称で知られる世界的なクレジットカード会社、アメリカン・エキスプレスは、次の9つの市場における18歳以上を対象に顧客サービスに対する考え方のアンケートを実施(対象は各市場1,000人)。[注1]

  • 日本 
  • アメリカ
  • カナダ
  • メキシコ
  • イタリア
  • 英国
  • インド
  • 香港
  • シンガポール

このアンケートでは、顧客サービスの際に待てる時間を国別に調査しています。その結果、日本人が待てる時間は「13分」という結果が出ています。

この数字はイタリアの11分に次いで2番目の短さとなっており、日本人が顧客サービスの際に待てる時間が短い傾向にあることがわかります。

アメリカン・エキスプレスが行った調査は、あくまで銀行窓口や店舗で顧客サービスを受ける際の待ち時間に関してですが、それ以外の業態であっても、顧客からの問い合わせには即座に対応する必要があるといえます。 

[注1] シビアな感覚で、「良いサービス」が当たり前 日本人は、世界一「悪い顧客サービス」を受け入れない アメリカン・エキスプレス

問い合わせのリードタイムは顧客満足度と関係する

問い合わせのリードタイムは顧客満足度と関係する

問い合わせのリードタイムは顧客満足度と大きく関係します。問い合わせのリードタイムが長ければ長いほど、顧客の満足度は下がってしまいますし、問い合わせのリードタイムが短ければ短いほど顧客満足度は高くなります。

顧客満足と密接に関係する問い合わせのリードタイムですが、顧客がどの問い合わせ方法を用いたかによっても、理想的なリードタイムは変わってきます。

所定のフォームから問い合わせた場合に顧客満足度が高まるリードタイムは1時間以内

これまで顧客からの問い合わせというと、電話での連絡が主たるものでした。ですが、プレスリリース・ニュースリリース配信サービスの「PR TIMES」が実施したカスタマーサポートへの問い合わせ方法に関するアンケートでは、メールでの問い合わせをするという回答が64.7%と、依然として最多の電話(74.9%)に肉薄する結果となっています。[注2]

また、問い合わせ専用フォームを用いて問い合わせるという回答は45.1%と、メールに次ぐ数となっています。

このアンケートでは問い合わせフォームを用いた場合に、許容できるリードタイムについても調査しています。その結果、24時間以内であれば回答を待てると答えた人の割合は70.5%でした。また、問い合わせから回答までのリードタイムが1時間以内であれば、49.8%の人が早いと感じることがわかっています。

電話や窓口のように即時に回答が難しいサポート体制であっても、1時間以内に回答することは顧客満足度向上につながるといえます。 

[注2] 【「お問い合わせ」調査】お問い合わせ回答時間、我慢の限界は「24時間以内」70.5%、顧客満足度向上のカギは回答まで「1時間以内」 

問い合わせにおける顧客満足度の低下を防ぐには一元管理がカギ

問い合わせによって発生する顧客満足度の低下を防ぐには、次のような情報を一元管理する必要があります。 

  • 顧客情報
  • 過去の問い合わせ履歴
  • 対応者
  • 対応内容
  • 対応時間
  • 関連サービス

これらの情報を一元管理することで、属人化を防ぎ、誰もが同じようなクオリティーで対応を行え、その結果、問い合わせのリードタイムにバラツキがなくなります。

対応者によって問い合わせの対応が異なってしまう

問い合わせ対応の際に注意すべき点は、対応者によって顧客へのアプローチが異なってくるということです。それは、問い合わせ業務を専門とするヘルプデスの担当者の間でもいえることです。

このような、対応者の間で生じる顧客へのアプローチの差を埋めるためにも、問い合わせに関する情報は一元管理し、さらに問い合わせの対応フローを周知徹底する必要があります。

複数の問い合わせチャネルでも一元管理することが重要 

先述したとおり、電話やメール、問い合わせフォームといったように、複数の問い合わせチャネルが存在します。問い合わせ情報を一元管理する場合には、すべてのチャネルからの問い合わせを管理しなければなりません。問い合わせチャネルを一本化すれば解決しますが、複数の問い合わせチャネルがある方が顧客ニーズには則しています。

顧客のニーズを維持するためにも、問い合わせは複数のチャネルから届くようにしたまま、漏れなく情報を管理しましょう。

問い合わせは顧客満足から顧客感動へ

これまで顧客からの問い合わせ対応は、カスタマーセンターのような部署が顧客対応の一環として行ってきました。顧客対応の場合、顧客から寄せられた問い合わせに対して、あくまで受動的に暫定的な対応をとるのが一般的です。もちろん、問い合わせのリードタイムを短くすれば、顧客満足度を高められますが、サービスを提供する側としては、今後の利用促進や拡大を図るためにも、能動的に顧客にアプローチしていく必要があるとされはじめています。

このような意識の変化が、顧客満足(Customer Satisfaction / CS)から顧客感動(Customer Delight / CD)と呼ばれる新たな考え方を生んでいます。

顧客感動を生み出すには問い合わせの蓄積から還元が重要

顧客感動を生み出すうえでも、問い合わせ対応が重要になってきます。ただし、スピーディーに問い合わせに対応するだけでは意味がありません。問い合わせの内容を蓄積して、対応者の間で共有する必要があります。そして共有された問い合わせ内容を対応者以外も理解し、顧客のニーズを自社のサービスや製品に積極的に還元していきましょう。

顧客に成功体験を提供する

顧客感動を実現するためには、顧客に成功体験(カスタマーサクセス)を提供することも大切です。顧客が利用しているサービスや製品の新たな機能や使い道を顧客に提示し、新たな気づきを与えましょう。

そのためには、サービス、製品を提供する側の視点だけでなく、それらを利用する顧客側の視点に立つ必要があります。顧客側の視点に立ち、サービスや製品の改善点などを挙げていくことで、より顧客のニーズに近づいたサービスや製品にしていくことができます。

顧客感動達成には会社全体をあげた取り組みが重要

顧客からの問い合わせ対応がカスタマーセンターやヘルプデスクだけで完結してしまっては、顧客感動につながりません。問い合わせ対応をする部署が短いリードタイムで対応を完了させるのはもちろん、その問い合わせ内容を他部署とも共有し、自社のサービスや製品をより良くしようと能動的に動くことが大切です。

そのためには、問い合わせはひとつの部署で完結するのではなく、会社全体をあげて取り組んでいくことが重要です。

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