
いま電子帳簿保存法を検討すべき3つの理由
前回はサブスクリプションサービスについて、既存ビジネスのサブスクリプション化の実例を交えて紹介しましたが、今回はサブスクリプションサービスを成功させるために重要なカスタマーサービス像について紹介します。
サブスクリプションサービスは従来の買い切りタイプと異なり、顧客の継続的な利用によって収益が発生するビジネスです。そのため、従来型のカスタマーサポートのように受け身ではなく、積極的なアプローチをしかけて顧客が商品・サービスを継続的に利用したいと思える価値やサービスを提供する「カスタマーサービス」に取り組まなくてはなりません。
従来のオンプレミス型ビジネスでは、顧客の商品・サービスに対する不満や悩みを解消するためにカスタマーサポートが設けられているケースがほとんどです。
みなさんの企業にも、カスタマーサポートの電話番号やメールアドレスがある人もいるのではないでしょうか。
これまでのカスタマーサポートは顧客の問い合わせや意見などに対して受け答えする姿勢であり、基本的に自発的なアクションをしかけるモデルではありません。買い切りタイプでは商品・サービスが顧客に売れた時点で費用が回収できて利益が発生するため、顧客に対して向き合う姿勢の多くが受動的となっていました。
サブスクリプションサービスは顧客に商品・サービスを継続利用してもらう必要があります。そのため、従来の受動的な姿勢では顧客の不満や悩みを解消できず、結果的に短期間で解約されてしまうリスクが伴うのです。
サブスクリプションサービスにおける「カスタマーサービス」は、顧客に対して「商品の故障や不具合はないですか」や「問題なく使えていますか」といったアフターサポートを積極的に行わなくてはいけません。自発的なアプローチによって顧客に商品やサービスの価値を再認識させ、継続利用したいと思ってもらえるようにする必要があります。
サブスクリプションサービスを手がける企業ではカスタマーサポートの部署と平行し、顧客に対して積極的なアフターサービスを行う部署が設けられているケースがほとんどです。アフターサービスはコストがかかるため、従来主流だった売り切り型のビジネスモデルではなおざりにされがちでした。しかしサブスクリプションサービスにおいては、顧客の解約リスクを低減する良質なアフターサービスが事業成功に欠かせないアプローチといえるでしょう。
サブスクリプションサービスで成功を収めるには契約件数の増加に加えて、顧客満足度を高水準にキープし、収益をミルフィーユ式に何層も積み上げることが鍵です。
もちろん、従来の商品・サービスを提供するだけで利益を生むビジネスにおいても顧客満足度は重要な指標でした。ですが、一度契約した顧客から一定期間の利用料を回収することで利益を生み出すサブスクリプションサービスでは、顧客をつかんで離さないためにも、高品質なアフターサービスで顧客満足度を高め、長期契約を獲得する必要があるのです。
サブスクリプションサービスは、収益の安定性が魅力ですが、アフターサービスをおろそかにしていては、顧客離れが加速し、収益が安定しません。
ソフトウェアや音楽・動画にはじまり、飲食やサロンといった実店舗型のビジネスまでもがサブスクリプション化されつつあります。
例えば、世の中には初月無料のサブスクリプションサービスがたくさんあります。仮に無料キャンペーン中に多くの顧客がこのサービスに加入しても、企業側が積極的にアフターサービスを試みなければ、初月無料期間中に退会する顧客が続出してしまいます。
短期的なコンバージョンばかりを追い求めてしまうと顧客獲得にかかるコストが一方的な負担となり、赤字に転じるリスクをはらんでいるのです。
この顧客流出を防ぐ手だてが、顧客の悩みや希望を企業側が能動的にかなえる「カスタマーサクセス」です。
例えば、定額制の音楽配信サービスにおけるカスタマーサクセスとして、ユーザーにおすすめの曲をレコメンドする機能や、不特定多数のユーザーのなかから、近しい趣味のユーザーが作ったプレイリストを提案するといった機能が挙げられます。
こうすることで、利用したユーザーに気づきや新たな発見を与え、顧客満足度を高められます。その結果として、顧客の流出防止につながるのです。
サブスクリプションサービスのカスタマーサービスは、企業と顧客の間にたつ中立的立場でいる必要があります。
顧客にサービスへの入会を促すという点では、従来のビジネス像と変わりありません。サブスクリプションサービスにおけるカスタマーサービスは契約完了後が、従来のそれとは異なります。
サブスクリプションサービスは、顧客にサービスを継続してもらうことで利益を安定させます。そのためにも、営業は顧客の視点に立ち、自身が勧めたサービスのよりよい活用法を考え、「こういった使い方はどうですか」など積極的に情報を発信して利用価値を提供していくことが肝心です。
サブスクリプションサービスにおけるカスタマーサービスは、顧客の目線で得た発想や、実際に顧客から届いた意見などを、開発部門などにフィードバックさせる役目もあります。
フィードバックする際は要望や意見を単純に流し込むのではなく、顧客の視点で「なぜそう感じたのか」を商品・サービスの仕様から読み解き、的確に顧客のニーズを反映させる必要があります。
サブスクリプションサービスが流行している一方で、アフターサービスやカスタマーサクセスの重要性を認識せずに参入する企業も存在します。
まずは、サブスクリプションサービスにおける営業が従来の営業よりも、顧客に近い立場に立つ必要があることを理解しておきましょう。顧客に近い立場に立つということは、時に企業に対するシビアな目線も必要になります。このことを理解せず、企業の意向ばかりを優先させてしまうと、顧客離れにつながってしまいます。
クラウドビジネスを軌道にのせるためにはプロダクト自体の質はもちろん、顧客に継続して使いたいと思ってもらえるアプローチが必要です。
前回は、実店舗とECサイトを比較して、顧客情報の重要性を解説しました。サブスクリプションサービスを成功に導くためには、顧客の満足度を高めることが鍵です。
従来の売り切り型ビジネスモデルの場合、KPIの設計は新規顧客を増やすという指標のみが用いられていましたが、サブスクリプションサービスの場合は、新規顧客の増加に加え、継続率も指標として用います。
例えば、毎年200件の新規顧客獲得に加え、継続率50%を保つとした場合は、
のようになります。つまり、毎年の継続顧客数を保つことで、全体の契約、売り上げが底上げできます。
多くの顧客情報を効率的かつ有効に活用するためには、フレームワークが欠かせません。フレームワークには多くの種類がありますが、今回はそのひとつ「PDCA」をご紹介します。
PDCAはPlan、Do、Check、Actの4つの頭文字からとったものです。実行する計画(Plan)を考案し、実行(Do)し、そこから改善策をあぶり出し(Check)、それを次に実践(Act)する、この一連のサイクルを指します。顧客情報から改善点をあぶり出し、それを必ず実行する、そして次の計画に役立てる、このサイクルを確実に行うことで、顧客の継続率につなげられます。
改善点を導くには、顧客情報が非常に重要です。利用状況、問い合わせ、クレームなど、ひとつひとつを明確に分析し、有効に活用しましょう。
サブスクリプションサービスは、新規顧客獲得はもちろんですが、顧客継続率を維持することが大切です。顧客の継続率は、ただサービスを提供しているだけでは向上しません。サービスを提供している企業側からアクションを起こして、満足度を分析し、不満点を解決する努力を続けましょう。
サービス利用を開始した後の顧客との関係性において、サービス提供者が行うカスタマーサクセス活動や考え方がどういったものかを、できるだけわかりやすく解説しています。
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