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属人化が企業にもたらすデメリット

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企業の成長を止めてしまいかねないのが「属人化」です。

属人化とは、特定のスタッフ、従業員しか対応できない業務を指します。

今回は属人化が企業にもたらすデメリットと、その対策方法をご紹介します。

属人化が企業にもたらすデメリット

属人化は企業に多くのデメリットをもたらします。例えば、トラブルが発生しても対応しきれない、知識・技術が流出してしまう、チェック体制が機能しなくなることなどがデメリットとして挙げられます。

1. トラブルが発生しても対応しきれない

他部署や取引先に連絡を取ろうとした際に、「担当者が不在なので後日連絡します」と言われた経験がある人は多いかと思います。この状況は、まさに属人化によって生まれています。

特定のスタッフ、従業員しか対応できない業務がある場合、何かトラブルや問い合わせが発生したとしても、周りがサポートできず即座に回答が出せないというデメリットがあります。

特定のスタッフ・従業員の業務効率が低下する

属人化した業務を担当しているスタッフや従業員が不在だった場合、その間に他のスタッフで対処しきれなかったタスクは徐々に積み重なっていってしまいます。その結果、不在だったスタッフに業務が集中してしまい、業務効率が低下してしまう恐れがあります。

2. 知識・技術が失われる可能性がある

属人化はベテランに起きやすい傾向にあります。そのため、ベテランが退職してしまうと、そこまで蓄積されてきた知識や技術が失われてしまう可能性があります。

また、ベテランだけが特定の業務をこなしていると、若手にそのスキルやノウハウが行き渡らず、結果、育成の機会が減ってしまいます。

3. チェック体制が機能しなくなる

特定のスタッフ、従業員だけが同じ業務を行っていると、属人化してしまいチェック体制が機能しなくなってしまいます。業務内容をチェックしようにも、どこを見ればいいのかが周囲から分かりづらくなってしまい、業務がブラックボックス化して不正につながりかねません。

属人化が顧客にもたらすデメリットは企業のリスクにも直結する

属人化は企業にのみデメリットをもたらすわけではありません。属人化は顧客にもデメリットをもたらします。例えば、顧客が企業に問い合わせを行っても、担当者が不在のケースや担当部署ではないといったケースで、たらい回しにあってしまうことがあります。

このように、企業が属人化を解消せずにいると、顧客が問い合わせの回答を得るまでに時間がかかってしまいます。その結果、顧客満足度が低下してしまい、その企業に対する信頼がなくなってしまいます。

業務の属人化が起きてしまう原因

業務の属人化が起きてしまう原因

属人化が発生するメカニズムは、「ヒト」「モノ」「コト」という3つに起因します。それぞれで原因が異なるため、しっかりと把握しておく必要があります。

【ヒト】担当者が仕事を一人でで終えようとするケース

担当者が多忙な場合にも、属人化は発生してしまいます。例えば、業務量に余裕があれば、担当者が情報共有用に資料を作成できますが、業務量が膨大な場合、その余裕が生まれません。そうなってしまうと、引き継ぎや情報共有が後手に回ってしまい、結果、特定の担当者が同じ業務を延々とやり続ける属人化につながってしまいます。

【ヒト】地位を維持するために属人化させるケース

人が原因で属人化が発生するケースとして、担当者が地位や役職を維持するために、あえて、業務をブラックボックス化させて属人化させることもあります。このような場合、属人化によって担当者のミスが分かりづらく正当な評価が下せない、新人社員が入社しても教育できないといった悪循環が生まれてしまいます。

【モノ】属人化を改善するツールやノウハウがないケース

属人化を改善するツールやノウハウがないことが原因で、属人化が進んでしまうこともあります。属人化の反対に位置するのが、誰しもが対応できるようにする標準化ですが、これを実行するには、その業務に関する知識やスキルを共有し他のスタッフや従業員が対応できるようにしておく必要があります。

こういった準備や情報共有が行われないと、普通の業務であっても徐々に属人化していってしまいます。

【コト】特殊な業務のため対応できる人が限られるケース

属人化が起きてしまう理由として、業務内容が特殊であり難易度が高いために対応できるスタッフ、従業員が限られるということが挙げられます。

情報を蓄積してくことで、ある程度は知識やノウハウを共有できますが、必ずしも標準化できない業務の場合、どうしても属人化してしまう傾向にあります。

そのままでもいい属人化がある

ここまで属人化によって生まれる企業へのデメリットやリスクとその原因をご紹介してきましたが、すべての属人化が企業に悪影響を及ぼすわけではありません。

例えば、システムの不具合が発生した際に、高い技術力を持つスタッフや従業員が対応することで、不具合が即座に解消したというケースがあります。このケースでは、高いスキルを持った人材をその企業が持っているという、企業にとっての強みが現れています。

これに気づかず標準化を図ってしまうと、自社の強みがなくなり、他社と変わらない技術力しかアピールできなくなってしまいます。

属人化の解消は急務

経済産業省が発表した「2050年までの経済社会の構造変化と政策課題について」では、15〜64歳の生産年齢人口は、1990年を境に減少しはじめ、2050年には6,000万人を下回るとされており、日本全体の人口(約1億人)の55%以下にまで落ち込んでしまうと予想されています。[注1]

このように、業務の担い手が減少していく現代では、少しでも多くの人がさまざまな業務をできるようにするために、属人化を解消する必要があります。

属人化を解消する方法はさまざまありますが、効果的な属人化解消方法は次回にご紹介します。

[注1] 2050年までの経済社会の構造変化と政策課題について 経済産業省
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/2050_keizai/pdf/001_04_00.pdf
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