
ヘルプデスクとは? ヘルプデスクを効率的に行うツールをご紹介
今回は、ITサービスマネジメントを実践していくうえで、常に課題となるヒューマンエラーについてお話をします。
多くの企業が、どのスタッフでも同様に業務を進められるよう、システム運用における標準化を実践していますが、それでも以下のようなヒヤリ・ハットな事例やヒューマンエラーは後を絶ちません。
今回は、これらのヒューマンエラーに対するアプローチ方法について考えてみたいと思います。
ヒューマンエラーの引き金となる「無意識」や「想定外」などは、人の感情や思考、認知によるところがあります。これを防ぐには、2名1組のチェック体制を導入するという方法もありますが、これでは作業効率が下がり、コストも高くなってしまいます。
これら「無意識」「想定外」という思考によるミスは、臨床心理学において個人の認識や考え方の違いが、結果として行動を左右するという「ABC論理」という考えを応用することで修正可能です。
ABC論理とは、
という3つの頭文字をとったものです。
通常、出来事(A)が結果(C)を招くと考えます。ですが、AとCの因果関係の間には、(B)の信念・観念という認知が存在しており、それによって結果が変わってくるというのがABC論理です。
システム運用を10年以上も続けているベテランの担当者がいるとします。この担当者は、今まで1度もヒューマンエラーを起こしたことが無く、社内の人からは絶大な信頼を寄せられています。それにも関わらず、この担当者がある日、自らのオペレーションミスによって重大な障害を発生させてしまいました。
調査の結果、手順書は準備されていましたが手順書に無い作業を実施したことがエラーを起こした直接の原因であることが分かりました。
この担当者はシステム変更作業で失敗が無いようにと、手順書に記載されていない「事前検証」を行ってから適用作業に進んでいました。事前検証自体は、トラブルを事前に防ぐうえで大切な作業ではあります。
ですが、当日は、検証用環境と本番用環境を間違えて、「無意識」でコマンドラインを実行し、トラブルを発生させてしまいました。
このように、良かれと思って行っていたことが、結果としてトラブルを引き起こしてしまったという事例は多いのではないでしょうか。
このケースもABC論理に当てはめることで、問題解決につなげられます。
例で出したミスは、ABC論理にあてはめると、以下ようになります。
今回のケースは、ともすると手順書の不備を整えれば問題ないように思えます。
ですが、手順書を改定しても、「作業に失敗しなければ独自の手順で行っても良い」という認識(B)を改めなければ再発は防止できません。
そのためには、それぞれが持つ独自のルールと認識を改める必要があります。
例えば、今回ヒューマンエラーを引き起こした担当者は、手順書にはない事前検証はいつもやっていたことで、実作業の前段階として有効なシミュレーションと思っているかもしれません。
ですが、せっかくの事前検証もミスに発展する可能性があるという想像力が欠如していたことは否めません。もし、そこまでの配慮があれば結果は変わっていたのではないでしょうか。
“河童の川流れ”、”弘法も筆のあやまり”とことわざで言われるとおり、どんなプロフェッショナルでもミス(エラー)を完全に無くすことは困難です。エラーを防ぐには、まず、エラーの発生自体を防止するためのルーティンワークを機械的に処理させ、人的ミスを断つための努力が欠かせません。
ですが、人が行う業務はどうしても発生します。そのため、決められた手順や方法を周知徹底することはもちろん、ABC論理を用いて、各従業員の思い込みや認知を改めるアプローチを継続的に行いましょう。
ヒューマンエラーの改善策は、ミス(エラー)を犯した人を叱るのではなく、プロセス視点で解決策を導き出すことが大切です。
適切な方法でヒューマンエラーを防ぎ、業務の効率化に努めてください。
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