
ビジネスを飛躍させるデータドリブンの力
今回は基幹系システム再構築をテーマに、ブログを書かせていただいております。
前編の日本企業は今、なぜ基幹系システム再構築に取り組んでいるの?その1では、企業の成長戦略目線から基幹系システム再構築を選択される理由について触れていこうということで、調査時点のGoogleキーワード検索で最上位に表示された「海外進出」をテーマにしました。
今回のテーマは「M&A」を軸にお伝えいたします。
なぜ今回私が、M&Aをテーマにしようと思ったか。その理由は、前編で書いた海外進出をネタに調べていたところ、M&Aの話題が多く出てきたからです。海外進出との関連性も高いと思い、前回同様に省庁やシンクタンクなどのデータから「基幹系システム再構築を選択される理由」について書いていきます。
まず、M&Aについて日本政府がどのような論点を示しているのか気になったので調べてみました。
経済産業省による報告書「産業構造の円滑な転換について(新陳代謝の促進)(*1)」では、M&Aに関連する調査レポートが28ページに渡り公開されています。内容もとても興味深いのですが、私なりの解釈で要約すると
といったことが書かれているものと受け取りました。
うーん、ざっくりまとめてみたいいものの「事業ポートフォリオの入れ替え」ってイマイチわからない…というわけで、もうちょっと深掘りしてみた結果、「目先の利益だけを追求するのではなく、5年10年そしてもっと先の未来を見据えた時、成長性がある事業が将来の中核事業になるから、必要に応じ業種・業態の枠をも超えてどんどん投資をして事業転換を図りなさい!」と解釈しました。
私のイメージでは、日本企業でM&A上手な企業としてソフトバンクグループ株式会社(以下ソフトバンクと記載)と日本電産株式会社(以下日本電産と記載)が浮かびます。
まずはソフトバンク。この企業ほど、世代によってイメージが変わる企業はないのではないでしょうか。
私がソフトバンクを始めて知った時のイメージは社名の通り「ソフトウェアを卸売りしている会社」でしたが、時代を読み、次々と事業を買収していきます。
インターネット時代を見越して、米国で起業したYahoo!の日本版を立上げたり、
ソフトウェアをダウンロードする時代を見越して、ブロードバンド通信の東京めたりっく通信を傘下に収めたり、
携帯電話時代を見越してボーダフォンを買収。
そんなソフトバンクに対する直近のイメージは、「携帯電話とペッパー君の会社」って感じでしょうか。
一方の日本電産は「町の一企業から世界No.1の総合モーターメーカー」へ転身を遂げています。
技術や販路を育てるために要する「時間を買う」というM&Aの基本的な考え方に基づき、M&Aを戦略的に活用して成長しています。
そんな両社に共通するのは、「5年10年もっと先の未来を見据えた時、成長性がある事業に投資」することを体現している点に他ならないのではないでしょうか。
M&Aが盛り上がりを見せる中、日本企業はどのような動きを見せているのか調べてみました。
経済産業省による「我が国企業による海外M&A研究会報告書概要」P1「日本企業によるM&Aのマーケット別推移」によると、
「2017年、件数は3050件と過去最多を更新。裾野が拡大しつつある(*2)」
との記載があり、昨年度比1.15倍の伸びです。
そうなんです。日本企業、M&A頑張っているのです!!
次に傾向を調べてみました。M&Aには大きく3つの区分けがあるようです。
日本企業同士でM&Aすることです。
M&Aは大変大きなインパクトを伴うので決して楽ではありませんが、海外企業とM&Aするよりは難易度は高くないといえましょう。
手前みそですが、弊社ユニリタ自体も、株式会社ビーエスピーと株式会社ビーコンITが合併してできた会社なのでこちらに該当します。
皆さんのよく知る企業ということであれば、ディスカウントストアの株式会社ドン・キホーテが、同じ小売分野の総合スーパー:ユニー株式会社を買収、
きのこの栽培・食品の製造・販売をする株式会社雪国まいたけがタカラバイオ株式会社のキノコ事業を買収など
覚えている方も多いのではないでしょうか。
また、昨今は中小企業の事業承継を理由にしたM&Aも増加傾向にあるようです。以下は賛否両論あると思いますが、カレーハウスのCoCo壱番屋を展開している株式会社壱番屋は、創業者が育てた会社を資本面から任せられる相手を、ということで日本の大手食品メーカーであるハウス食品株式会社に売却したのはこの例にあたると思っています。
日本企業が海外企業をM&Aすることで、こちらは近年増加傾向にあります。
製薬会社の武田薬品工業株式会社が製薬およびバイオテクノロジー企業のシャイアーを買収、
富士フイルムホールディングス株式会社が「富士ゼロックス」ブランドの提携相手だった米国のゼロックスを買収
などが例として挙げられるでしょう。
in-outとは逆に海外企業が日本企業をM&Aすることです。
一昔前までこのパターンはほとんどありませんでしたが、バブル崩壊後の1990年代から増加し、ここ数年は低い水準で推移しているようです。
最近では、香港の投資ファンド:ベアリングが電機メーカーのパイオニア株式会社を買収、
製薬・医療機器・ヘルスケア関連製品を取り扱う多国籍企業:ジョンソン・エンド・ジョンソンが日本の化粧品会社ドクターシーラボを買収
などが記憶に新しいです。
ここまでM&Aの話題を中心にお伝えしてきましたが、今回のテーマは「M&Aに伴う基幹系システムの移行・再構築」です。
M&Aを選択した企業が基幹系システムの移行・再構築で取りうる手段は、大きく分けると以下の3つがあります。
一見シンプルに感じるかもしれませんが、M&A:買収先が異業種や海外企業になると、異なる商習慣や文化を持った中での検討には複雑さが増すはずです。
例えばin-outでは、日本企業から海外企業のシステムにデータを移行する際、日本語の文字コードを海外企業が利用するシステムの文字コードに変換する工程が加わります。(out-inでは逆のパターンですね。)
また、仮にデータを統合できたとしても、歴史ある企業は基幹系システムに大量のデータが保管されている一方、統合先のシステムには必要最小限のデータしか移行されないケースがほとんどでしょう。
そうなると、過去データを必要とする業務が統合元の基幹系システムに依存してしまうため、その対処(塩漬けにするのか別の環境に移行するのか)なども考慮が必要になります。
対等合併のケースなどで多くあるのがこのケースかと思います。経営統合後の事業戦略に応じて、M&Aを機に一からシステムを作り直すパターンです。
①に比べて期間や費用はかかりますが、基幹系システムとしては時代に即した最適な選択ができるでしょう。一方で、膨大なコストと時間をかけるだけの体力に加え、①で記載した課題そのものがすべて消えるわけではありませんから、検討・考慮範囲も広くなってしまうでしょう
これは、①や②への過渡期でも取りうる手段かと思います。M&A元も先も現行システムを使い続けながら、必要なデータを連携することで、例えば連結会計や経営ダッシュボードなど、連携が必要なデータに絞り込んで対応するアプローチです。
現行ビジネスへの影響は少なくて済みますが、データ連携基盤をしっかり設計、フィットできる手法を選択しないと、経営が求める情報が即座に取得できないなどの課題が残ることになります。
前編の「日本企業は今、なぜ基幹系システム再構築に取り組んでいるの?その1」と今回、日本企業は事業継続の一環として、情報化投資に関連する政策の力なども借りながらさまざまな対策をしており、その際に手段として発生する基幹系システム再構築にもさまざまな課題があることがわかりました。
これまでの調査過程では随所に「システム老朽化」というキーワードが見受けられました。
そこで次回は、少し視点を変えて、「システムの老朽化」をテーマに「基幹系システム再構築」を実行する上での課題をお伝えしたいと思います。
(*1)「産業構造の円滑な転換について(新陳代謝の促進) 平成28年3月 経済産業省
(*2)「我が国企業による海外M&A研究会報告書概要」経済産業省
P1「我が国企業による海外M&A研究会開催の背景(In-OUT型M&Aの増加)」
データ提供元:M&A助言のレコフ
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