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基幹システムの老朽化が与える影響~システム再構築が急務な理由

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「2025年の崖」。
基幹システム老朽化に起因するトラブルで生じる経済損失は最大12兆円/年!!

今回は、多くのIT部門の方が直面している基幹システム老朽化課題に関して触れていきたいと思います。
(同シリーズのその1その2を見たい方はこちらをクリック!)

経済産業省は2018年9月7日に公表した「DX(デジタルトランスフォーメーション)レポート」(*1)で、以下のように官公庁としては珍しく警鐘を鳴らす形で記載しています。

「あらゆる産業において、新たなデジタル技術を活用して新しいビジネス・モデルを創出し、柔軟に改変できる状態を実現することが求められている。しかし、何を如何になすべきかの見極めに苦労するとともに、複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムも足かせとなっている。複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムが残存した場合、2025 年までに予想されるIT 人材の引退やサポート終了などによるリスクの高まりなどに伴う経済損失は、2025 年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)にのぼる可能性がある」

この報告書、総量56ページにも及び、内容もとても興味深いですが、ブログの都合上ものすごくざっくり要約すると、「最新IT化 (=DX)を推進しないと日本は国際競争力が落ちて取り残されちゃうよ!だから一番の阻害要因である基幹系システム再構築を早期に推進しよう!」という内容がひたすら書かれていると考えていいでしょう。


【図1】2025年の崖(*1)

メインフレーム・オフコンが続々と使えなくなる!?

【図1】は前述資料のP27にある基幹システム老朽化に関する相関図です。着目してほしい個所に基幹システム老朽化主要因のひとつである「技術面旧」があります。ここにはWindowsクライアントOS、EDI関連、特定ERPベンダのエンドオブサポート(以下EOSと記載)はありますが、メインフレーム・オフコン系のEOS情報が抜け落ちてしまっていましたので別途調べてみました。

結果、NEC、日立、富士通と、長年日本企業を支えてきた、メインフレーム・オフコンメーカーが、近年立て続けに、今後サポートを打ち切る発表がされていることがわかりました。
打ち切りということは、再構築を選択する際、何らかの手段を講じ、別の仕組みに載せ替えることが必要となります。実際弊社にも、上記メーカーのいずれかを利用しており、期間の迫られる中でどのような対策をとるべきかと多くの企業から相談が寄せられております。

IT人材不足

【図1】にはその他にIT人材不足も基幹系システム再構築阻害要因のひとつとして触れています。上図調べによると2025年には計43万人のIT労働者が不足するとあります。

ただ、今回はこの43万人の「内訳」に着目する必要があります。ポイントは、「老朽化した基幹システムの運用・保守ができる人材」が枯渇するということです。
古い基幹系システムは、テクノロジーも古く、理解しているIT人材はどんどん高齢化していきます。一方、若い技術者はタダでさえ人口減少で働き手が減っている中、一方で目の前にAIなど、自らの身を立てるべく将来性のある最先端の技術を学べる環境下にあります。涸れていく古い技術をいまさら学ぶのに抵抗を感じるのはごく自然なことでしょう。

実際弊社ユニリタでもメインフレーム事業は存在しますが、新入社員にメインフレームから教え込んだのは、私の世代(1999年入社)が最後でした。以降はその当時成長分野であった領域やテクノロジーに若手の人材を集中投入していったという背景があります。

ITコストの約9割は運用・保守コストといわれている日本企業の昨今、人材が足りないということだけでなく、やりたくない業務であるというのも事実ではないでしょうか。

なぜ日本企業は海外に比べこんなに基幹システム老朽化が課題になっちゃったの?

テーマを少し違った観点から観ていきたいと思います。

ではなぜ、日本の基幹システムは海外と比べてこんなにも老朽化課題が深刻化してしまったのでしょうか。

答えは、IT文化の違いにあります。

日本企業は、商習慣の違いから自社の基幹業務をIT化する際に、多くの企業が「業務にITを合わせる」発想でスクラッチ開発することで基幹業務=基幹システム化しました。対して海外はERPに代表される業務パッケージ製品を導入することで「ITに業務を合わせる」発想で基幹業務=基幹システム化しました。

双方共にメリット・デメリットはありますが、一般的には業務パッケージ導入の方が短期間かつ短コストで導入できます。加えて「ITに業務を合わせる」発想であれば、ビジネスロジックが汎用標準化・テンプレート化されているため、手順を覚えるだけで業務が実現できるメリットがあります。また、M&Aやトップダウンの意向が強く反映される海外企業では、「システムを長く使い続ける」発想というより「企業の環境下に合わなくなったシステムは捨てて、新しい仕組みを採用する」発想であることから、より合理的である業務パッケージを選択する傾向が高いように思われます。

スクラッチ型基幹システム→業務パッケージ(ERPなど)を導入するリスク

「老朽化する基幹システムを保有する日本企業は全て業務パッケージに変えちゃえばいいのでは!?」と考える方もいらっしゃると思いますが、私はその案には否定派です。何故なら「老朽化した基幹システム」ではなく「長年ビジネスで勝利をつかんできた企業のビジネスロジック」が全て汎用化できるとは限らないからです。

基幹系システム再構築の手段として業務パッケージを採用するか否かは、私は以下が肝要だと考えます。

  1. 徹底した現状分析
  2. 断捨離
  3. Fit&Gapを埋めるのか、あきらめるのかの判断

上記の見極めが曖昧のまま業務パッケージ導入に踏み切ると、後工程でビジネス上必須+業務パッケージにはない個社IT対応が膨れ上がり、フルスクラッチで開発するより高いコスト、長い期間がかかってしまうリスクがあるだけではなく「できなかった」という結果になるリスクもあるからです。

最悪なのはコストがかかっても出来上がったのであればいいですが、結論で「できなかった」場合です。当然訴訟などの話になります。結果、勝訴すれば企業にお金は戻ってきます。しかし費やした時間は二度と帰ってきません。そして基幹系システムの老朽化課題は残ったままです…

既存の基幹システムをスクラッチ型で構築していた企業が業務パッケージを採用した際に、ユーザ部門のこれまでの要件と業務パッケージでできることの差異(Gap)を埋められず、プロジェクトが進めるにつれ課題が浮き彫りになるケースも少なくありません。

すこし長くなりましたが、次回からは、弊社にお問い合わせいただいたお客様の「実体験」に基づき、基幹系システム再構築プロジェクト発足後に、どのような課題が発生し、それを各企業はどのように解決していったのかをお伝えしたいと思います。ご興味がございましたら、是非一読いただけると幸いです!

参考文献

(*1) デジタルトランスフォーメーション レポート
~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~
デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会 経済産業省 P27,28
(注)経済損失の算出根拠
Dell EMC(EMCジャパン株式会社)の調査をもとにした独立行政法人情報処理推進機構のまとめ(2016 年2 月公開、2018 年3 月更新)によると、データ損失やシステムダウンなどのシステム障害により生じた2014 年1 年間の損失額は国内全体で約4.96 兆円。また、日経BP 社「日経コンピュータ2017.8.3」によると、2010 年代のシステムダウンの原因別割合として、①セキュリティ29.1%、②ソフトの不具合23.1%、③性能・容量不足7.7%、④人的ミス18.8%、⑤ハードの故障・不慮の事故19.7%。レガシーシステムに起因して起こる可能性があるのは、仮に、このうち①・②・③・⑤とすると、合計79.6%。これらを踏まえ、レガシーシステムに起因したシステム障害による経済損失は、現段階で、最大で4.96 兆円×79.6%=約4 兆円/年にのぼると推定。また、日本情報システム・ユーザー協会「企業IT 動向調査報告書2016」によると、企業が保有する「最も大きなシステム」(≒基幹系システム)が、21 年以上前から稼働している企業の割合は20%、11 年~20 年稼働している企業の割合は40%。仮に、この状態のまま10 年後の2025 年を迎えると、21 年以上稼働している企業の割合は60%になる。これらを踏まえ、レガシーシステムに起因するトラブルリスクも3倍になると推定すると、レガシーシステムによる経済損失は最大で約12 兆円/年にのぼると推定。

データ提供元

  • Dell EMC(EMCジャパン株式会社) プレスリリース
    https://japan.emc.com/about/news/press/japan/2015/20150123-1.html
  • 日経BP社
    「日経コンピュータ」2017年8月3日号p.26-29
    「動かないコンピュータ 変わるITトラブル〔セキュリティ編〕 サイバー攻撃が新脅威に」より、p.26グラフ「システムダウンの原因別割合(年代別)」2010年代部分(「日経コンピュータ」調べの独自調査データ)       
  • 一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会  
  • 独立行政法人情報処理推進機構
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