製造業が自社製品を直接売るには?DXを実現しお客様に選ばれるECサイトを構築しましょう
技術的負債とは、システムの開発時や導入時、またその後の改修を通じて生じている、「システムの複雑さ」のことです。基幹システムが複雑すぎて改修できない、開発時の担当者が退職してしまい理解できる人がいない、といった問題を抱えている企業も多いでしょう。技術的負債を放置しておくと、大きな問題につながる可能性もあるため注意が必要です。この記事では、技術的負債によって発生する問題や、技術的負債への対応方法を解説しますので、ぜひ参考にしてください。
システム開発や導入のタイミングでしっかりと仕様を検討したり、時間をかけてでもわかりやすい設計にしたりすれば、長期的に使えるシステムになるのですが、効率だけを重視して開発や導入を進め、後々の変更やメンテナンスが難しくなってしまうことはよくあります。便利なシステムの導入や新機能の実装を急いでしまったため、技術的負債を抱えている企業も多いでしょう。
技術的負債には、ハード的なものやソフト的なものなど、さまざまなタイプがあります。技術的負債の具体例としては、不必要に複雑すぎるコードや規約に従わないコードが多すぎて別の人が理解できない、古すぎるバージョンのフレームワークや言語を使っている、機能を追加・変更したときに説明書を更新しなかったために使い方がわからなくなっている、といったことが挙げられます。放置しておくと、次に紹介するような問題が発生するケースもあるため注意しましょう。
技術的負債を抱えていると、デジタルトランスフォーメーション(DX)をスムーズに進められない、システム障害が増える、といった問題が発生する可能性もあります。それぞれの問題について具体的に確認しておきましょう。
DXをスムーズに進められないことは、技術的負債によって発生する大きな問題です。複雑化・老朽化・ブラックボックス化している基幹システムなどを抱えていると、運用コストや人的リソースを無駄に使ってしまい、新しいシステムの導入や業務改革に注力できません。基幹システムを変更しようと思っても、コードが複雑すぎたり、導入時の担当者がおらず仕組みを理解できなかったりするケースもあるでしょう。
経済産業省が発表している「DXレポート」のなかでも、DXの重要性や、技術的負債によってDXがうまく進んでいないことが指摘されています。[注1]
このレポートのなかでは、2025年までにシステムの刷新などを行わなければ、最大12兆円の経済損失が生じると試算しています。2025年までにIT人材が引退したり、システムのサポートが終了したりする影響で、多くの企業で損失が発生すると予想されているのです。この問題は「2025年の崖」とも呼ばれ、経済産業省でも、企業のDX推進を支援するさまざまな取り組みを進めています。
システム障害の発生が増えることも、技術的負債によって生じる問題のひとつです。技術的負債として放置されている基幹システムを無理に変更しようとすると、バグが発生したり、システム全体が正しく動かなくなったりする可能性があります。基幹システムを導入したときの担当者がおらず、正しい改修方法がわからないと、安易な手段でシステムを変更してしまい、さらに複雑化・ブラックボックス化するケースもあるでしょう。放置するほど、技術的負債が雪だるま式に大きくなってしまうことも大きな問題です。
技術的負債による問題を解決するため、多くの企業が対応を進めています。例えば明治安田生命保険では、保険商品をつくるための新たなシステム「第2製造ライン」を稼働させました。従来の巨大なシステムでは調整に時間がかかり、機動力に欠けると判断されたからです。新システムでは、時代に合った保険商品を素早く展開できるようにすることを目指しています。
このように巨大すぎるシステムから機動力の高いシステムに変更することは、技術的負債へ対応する方法のひとつです。ここでは、技術的負債への対応方法を2つのポイントで紹介しますので参考にしてください。
基幹システムを刷新できれば問題が解決するとはいえ、多額の資金を投じたり、時間をかけて改修したりするのが難しいケースも多いでしょう。そのような場合に有効なのは、システムをSoE領域とSoR領域に切り分けて考える方法です。
SoE(System of Engagement)とは、顧客や取引先との関係を強化するための領域のことです。顧客とコミュニケーションを取ったり、柔軟な施策を行ったりするシステム領域は、SoEに該当します。一方のSoR(System of Record)とは、主に情報を記録するための領域のことです。顧客情報や在庫情報などを管理するシステム領域はSoRに該当します。システム全体を刷新するのが難しい場合、堅牢さを求められるSoRはそのままにしておき、柔軟さを求められるSoE領域を改修するとよいでしょう。
SoE領域とSoR領域を切り分け、柔軟なデジタル対応をするためには、さまざまな部分で連携をする必要があります。そこで重要なのがAPI(Application Programming Interface)の活用です。APIとは、複数のプログラムやソフトウェア、Webサービスなどをつなぐインターフェースのことです。APIを活用することで、リアルタイムなシステム連携を実現できます。
APIを活用することで、コストや運用工数を削減できる、セキュリティの向上を図れる、といったメリットを得られます。それぞれのメリットについて、簡単に確認しておきましょう。
APIを活用すれば、すでにあるプログラムやソフトウェアと連携できるため、自社で開発する必要がなくなります。システム開発を効率化できるだけでなく、コストの削減にもつながるでしょう。
セキュリティの向上を図れることも、APIを活用するメリットのひとつです。すでに存在するセキュリティシステムと連携するほうが、独自のシステムを開発するよりセキュリティが高まるケースも多くあります。
APIを活用すれば、さまざまなシステムとリアルタイムに連携することが可能です。SoR領域で持つ顧客情報や在庫情報をSoE領域のサービスとAPIで連携することで、顧客体験を向上させたり、経営判断を加速させることが可能です。例えば、銀行が提供するAPIを利用して、残高照会や入出金明細を家計簿アプリから見ることが可能です。
この例は、SoR領域(銀行システム)とSoE領域(家計簿アプリ)をAPIで連携する代表的な事例です。
ただし、近年ではクラウドの利用も増え、API連携を本格的に活用するにはクラウド・社内システムを問わずに、システムごとにバラバラな仕様に対応が必要となります。そのため、こういった異なる仕様を吸収する共通のAPI基盤を用いて開発工数、管理工数を削減するのがよいでしょう。
「Digital Workforce」のAPI管理機能を用いることで、セキュリティを担保しつつ、クラウドと社内システムを連携する共通基盤を構築でき、新しいシステムをすばやく、柔軟に取り込める体制を築けます。
>> 「Digital Workforce API管理」の詳細はこちら
今回は、技術的負債によって発生する問題や、技術的負債への対応方法などを紹介しました。技術的負債を抱えていると、DXがスムーズに進められない、システム障害が増える、といった問題が発生してしまうでしょう。放置しておくと、より解決が難しくなるケースも多いため、早めに対策を講じることが大切です。
[注1]
経済産業省:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_01.pdf
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