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DXの第一歩とは?全社的なDX推進により新たなビジネス価値の創出を!

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DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む企業の多くが陥っているのが、DXが単に「業務のデジタル化、システム化である」「ECへの移行、デジタルマーケティングの推進である」という誤解です。DXは従来のIT化とは異なり、全社的・部門横断的な変革(トランスフォーメーション)により、新たなビジネス価値を創出する取り組みを指します。

経済産業省の調べによると、4割の企業が自社をDX推進の「トップランナー」だと考えているが、実際は95%の企業がDXに未着手か、部分的な実施にとどまっているというデータもあります。[注1]DXの第一歩は、こうしたDXに関するよくある勘違いを修正し、主要な関係者のなかでDXに対する正しい認識を共有することです。

この記事では、国内企業のDX推進の現状や、DX構想策定で見られるよくある間違い、DX推進に向けて取り組むべきことの3点を詳しく解説します。

95%の企業はDXが進んでいない!DXの正しい定義と取り組み

DXの定義はいくつかありますが、ポイントはデジタル技術の活用により、「データに基づいた経営判断」、そしてビジネス環境の変化に対応した「持続可能」な「競争優位性」の3点を実現することにあります。経済産業省が2019年7月に発表した「DX推進指標とそのガイダンス」では、DXは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義されています。[注2]

とくにコロナ禍でビジネス環境が激変するなかで、いかに顧客起点の経営判断により、全社横断でデジタル技術を活用し、競争優位性を確保するかが企業の課題となっています。しかし経済産業省の調べによると、約95%の企業がDXに未着手か、全社横断ではなく一部の部門での実施にとどまることがわかっています。[注1]

DXの正しい定義や取り組みを知り、経営層を含め主要な関係者と認識のすり合わせを行うことが大切です。

DXを始める際のよくある勘違い3つ

DX推進に取り組む企業の多くには、DX戦略に関する認識のズレが見られます。よくある勘違いが次の3点です。

  1. とにかく新技術を検証し、概念実証(PoC)することが大事
  2. DXは業務のデジタル化、システム化により達成可能
  3. DXはECやデジタルマーケティングを導入すれば達成される

それぞれの考え方の問題点について詳しく解説していきます。

とにかく新技術を検証し、概念実証(PoC)することが大事

DXを目指す企業に多いのが、DXの推進に向けて「とにかく新技術を検証し、概念実証(PoC)することが大事」だと考えるケースです。こうしたケースでは手段と目的が入れ替わり、AI、IoT、ロボティクス、フィンテックなど、さまざまな新技術に触れてみること自体が目的となるケースが少なくありません。DXの目的は、新技術の検証・導入を通じ、新たなビジネス価値を創出することです。また、「とにかく新技術を検証・導入する」という姿勢では、社内の賛同者を得るのも難しくなります。

DXは業務のデジタル化、システム化により達成可能

DX=業務のデジタル化、システム化ではありません。DXの推進のため、デジタル化、システム化により業務効率化に取り組むことは大切ですが、それでは従来のIT化の枠組みと変わりません。経済産業省のDXレポートでも、「DXの本質とは、単にレガシーなシステムを刷新する、高度化するといったことにとどまるのではなく」と述べています。[注1]冒頭で述べた通り、DXの本来の定義は「顧客や社会のニーズを起点として、競争優位性を獲得すること」にあります。業務の棚卸しを実施し変革ポイントを探すときは、「顧客価値を生み出すか」という視点を持つことが大切です。

DXはECやデジタルマーケティングを導入すれば達成される

同様に、DXはECやデジタルマーケティングの導入と同義ではありません。ECやデジタルマーケティングは、あくまでもDXの一環として行うべきことで、DXの目的はトータルでの顧客価値創出や顧客体験改善にあります。このように、多くの企業のDXは一部の部門での実施にとどまり、全体としてのビジネス価値の創出にはいたっていません。DX(デジタルトランスフォーメーション)の「デジタル」の部分はクリアしているものの、「トランスフォーム」の部分が抜け落ちているのが、国内企業のDX戦略の課題です。

DXの進め方は?うまくいくDXの4つのポイント

それでは、どのようにDXを進めればうまくいくのでしょうか。DXの第一歩は、なるべく経営層も巻きこみながら、DXを導入すべき理由やメリットを主要な関係者間で共有し、認識のすり合わせを行うことです。ここでは、私どもが支援した事例を踏まえ、DX推進のポイントを段階別に4つ紹介します。

勉強会やワークショップにより、DXについての共通認識を持つ

企業のDX推進の最大の問題点は、社内の担当者によってDXのイメージが異なる点です。たとえば、DXといっても基幹システムの刷新をイメージしているのか、ECをイメージしているのかなどさまざまです。まずはDX構想の策定にあたって、勉強会やワークショップを開催し、主要な関係者間で認識のすり合わせを実施しましょう。たとえば、「なぜDXが求められているのか」「DXを具体的にどのような手段で実現するのか」「どのように業務効率化(デジタルオプティマイゼーション)を実現し、事業変革(トランスフォーメーション)を実現するのか」といったテーマについて、社内での合意形成を目指すのがDX推進の第一歩です。

ステークホルダーの方針をヒアリングする

できるだけ多くの経営層を巻きこみ、全社的なDXの方針を決めることが大切です。自社の利害関係者(ステークホルダー)にヒアリングを実施し、現状の課題や目指すべき方向性を確認しましょう。中期経営計画(中計)を策定している場合は、売上目標、利益目標、自己資本利益率(ROE)などのデータを活用し、DX推進の呼び水とすることが可能です。

現状を分析し、変革ポイントを整理する

社内での合意形成や、ステークホルダーの意向を踏まえて、自社の現状分析を行いましょう。一部の部門にとどまらず、部門横断的に業務プロセスを分析し、データに基づいて変革ポイントを探すことが大切です。実装技術に不安がある場合は、クッションとして概念実証(PoC)を実施するのが一般的です。ただし冒頭で述べたように、新技術の検証そのものが目的にならないよう、「変革ポイントを実現できるか」という観点で技術評価を行うことが大切です。

アジャイルなロードマップを策定する

変革ポイントの整理が完了したら、効果・コスト・難易度といった指標に基づいて優先順位付けを行い、DXのロードマップを策定しましょう。ビッグバン的にDXを実施し、一度に新技術を取り入れる手法も有効ですが、より確実なのはアジャイルなアプローチです。一部のプロセスを短期間で実装し、フィードバックを分析しながら優先順位の修正や、実装技術の見直しを重ねることで、導入失敗リスクを軽減できます。

まとめ:DXの第一歩は関係者との認識のすり合わせ

今回は、DXを進めるにあたってのよくある誤解と、事例を踏まえたDX推進の4つのポイントを紹介しました。DXの第一歩は、なるべく経営層も巻きこみながら、DXを導入すべき理由やメリットを主要な関係者間で共有し、認識のすり合わせを行うことです。ここを省いて進めても、本来求めているDXを実現できず結果的に遠回りになるケースも多いため、4つのポイントを参考に関係者間のベクトルを合わせることが大切です。

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[注1] 経済産業省:DXレポート2
https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201228004/20201228004-2.pdf

[注2] 経済産業省:「DX 推進指標」とそのガイダンス
https://www.meti.go.jp/press/2019/07/20190731003/20190731003-1.pdf

 

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