DX時代の鍵を握る「カスタマーサクセス」とは?
カスタマーマーケティングとは、新規顧客の開拓が目的ではなく、既存顧客をターゲットとするマーケティング手法です。従来のマーケテイングとは範囲もターゲットも異なるカスタマーマーケティングですが、今多くの企業がカスタマーマーケティングに取り組んでいます。また、カスタマーマーケティングは、BtoBをはじめとしたマーケティング分野で注目を集める「カスタマーサクセス」とも深い関わりがあります。
この記事では、カスタマーマーケティングの定義・役割・重要性や、カスタマーサクセスとの関係について、わかりやすく解説します。
目次
カスタマーマーケティングとは、すでに取引のある既存顧客を主なターゲットとするマーケティングです。一般的なマーケティングでは、商品やサービスを訴求する広告戦略や、潜在顧客の掘り起こしにより、新規顧客の獲得を目指します。カスタマーマーケティングでは、すでに獲得した顧客にアプローチし、顧客離れの防止による継続的な収入の確保や、アップセルやクロスセルによる顧客生涯価値(LTV)の最大化を目指します。カスタマーマーケティングは、従来のマーケティングとは範囲やターゲットが異なります。近年はオフライン、オンラインに関係なく、カスタマーマーケティングの比重を高める企業が増えています。
繰り返しになりますが、カスタマーマーケティングの定義は、「既存顧客に対して行うマーケティング」です。カスタマーマーケティングは、既存顧客へのアプローチの違いによって次の3つに分類することができます。
分類 | 定義 | 具体例 |
オンボーディング | サービス導入時期に顧客をサポートし、使い方や活用方法を覚えてもらうことで、サービスの早期解約を防ぐ | ・セミナーや勉強会の実施 ・FAQやマニュアルの作成 ・導入支援サービスの提供 |
リテンションマーケティング | サービス導入後も顧客とコンタクトをとり、顧客ニーズに合わせた提案やサポートを行って、サービスを継続的に利用してもらう | ・クロスセルやアップセルの提案 ・クーポンやキャンペーンの案内 ・顧客の行動データに基づくパーソナライズドレコメンド |
コミュニティマーケティング | ファンコミュニティを運営し、顧客を自社のコアなファンに育てる | ・コミュニティサービスの運営 ・ファンも参加できる企画やキャンペーン ・試作品のモニター募集 ・オフラインイベントの開催 |
また、近年はSNSを活用し、お得情報やキャンペーンを定期的に配信するSNSマーケティングも見られます。たとえば、シャープ株式会社のように親しみやすいキャラクターを生み出すことで、通常の「企業とお客様」の関係とは別の角度から、既存顧客と信頼関係を築くことが可能です。自社の目的やニーズに合わせて、カスタマーマーケティングの施策を展開しましょう。
従来のマーケティングだけでなく、なぜ今カスタマーマーケティングに取り組むべきなのでしょうか。カスタマーマーケティングを実施する3つのメリットを順に見ていきます。
カスタマーマーケティングによって、既存顧客との信頼関係を構築することで、「顧客ロイヤルティ」を高めることができます。顧客ロイヤルティとは、自社のサービスへの愛着や忠誠心を表す言葉です。顧客ロイヤルティの高い顧客が多いと、他社サービスへの乗り換えや、サービスの中途解約が起きにくく、顧客の流出を避けることができます。カスタマーマーケテイングのなかでも、サービス導入後のオンボーディングや、顧客との良好な関係を維持するリテンションマーケティングが、顧客ロイヤルティを高めるのに適しています。
カスタマーマーケティングは、既存顧客を大切にするためのマーケティング手法ですが、実は新規顧客の獲得にもつながります。とくにSNSやスマホが普及した昨今、既存顧客による口コミは大きな集客方法の1つです。既存顧客と信頼関係を築き、商品やサービスのプラスの印象をSNSで発信してもらうことで、まだ取引のない潜在顧客や見込み顧客を誘引し、さらなる顧客獲得につなげることができます。この方法は広告宣伝費がかからないため、SNSに企業アカウントを開設し、既存顧客と積極的にコミュニケーションをとりあう企業も増えてきました。
カスタマーマーケティングに比重を置く企業が増える原因の1つは、新規顧客を獲得するコストよりも、既存顧客を維持するコストの方が低いケースが多いからです。実際にマーケティング業界では、「1対5の法則」がよく知られています。1対5の法則とは、既存顧客を維持するためのコストを1とした場合、新規顧客獲得コストは5倍かかるとする法則です。
1:5=既存顧客の維持コスト:新規顧客の獲得コスト
実際に広告宣伝費や販管費など、新規顧客の獲得には多額のコストがかかります。新規顧客の獲得、既存顧客の維持でそれぞれ同じ利益を得られても、顧客獲得コストがかかる分、新規顧客の獲得の方が利益率が低下します。もちろん、潜在顧客の掘り起こしや見込み顧客の育成(リードナーチャリング)も、ビジネスの成長に欠かせません。新規顧客を開拓しつつも、戦略的に既存顧客の維持に取り組んでいくことが大切です。
カスタマーマーケティングと深い関わりがあるのが、「カスタマーサクセス」です。カスタマーサクセスとは、「顧客の成功を達成する」ことで「自社の利益を得る」という考え方や、組織、戦略、活動を指します。ここでは「顧客の成功を達成する」というところに着目します。
購買プロセスにおいて顧客に成功体験を提供し、「この商品やサービスをもっと利用したい」「もっと上位のモデルやプランに乗り換えたい」と感じさせることで、顧客ロイヤルティを高めることができます。つまり、カスタマーサクセスは、カスタマーマーケティングの土台を支える考え方です。新規顧客獲得後のカスタマーマーケティングの成功には、カスタマーサクセスによって顧客をファン化し、良好な関係を維持していく必要があります。
カスタマーサクセスの代表的な施策は次の3つに分類できます。
ハイタッチ | LTVが高い優良顧客に対する施策で、コンサルタントのように1対1で顧客に寄り添い、高密度のフォローを行う |
ロータッチ | メール、電話、セミナーの案内など、ハイタッチよりも効率的で網羅的な働きかけを行う ハイタッチよりもLTVが低い顧客層がメインとなる |
テックタッチ | SNS、MA(Marketing Automation)、CRM(Customer Relationship Management)など、さまざまなデジタルツールを活用し、顧客サポートのDX化を進める |
顧客層のLTVの高さや、顧客サポートにかけられる人的リソースなど、自社の状況に合わせてカスタマーマーケティングを実施していくことが大切です。
「カスタマーサクセスとは」をわかりやすく解説
カスタマーサクセスが注目される理由、カスタマーサクセスの効果や実践する上で重要なことをご紹介しています。
カスタマーマーケティングの目的は、新規顧客獲得後のマーケティングプロセスにおいて、顧客との信頼関係を深め、LTVを最大化することです。カスタマーマーケティングの土台となるのが、顧客に成功体験を提供し、顧客ロイヤルティを高める「カスタマーサクセス」です。競争優位性の確保や、既存顧客の口コミの活用など、カスタマーマーケティングの重要性を知り、カスタマーサクセスの実現に向けた仕組みづくりに取り組みましょう。
サービス利用を開始した後の顧客との関係性において、サービス提供者が行うカスタマーサクセス活動や考え方がどういったものかを、できるだけわかりやすく解説しています。
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