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データドリブンなカスタマーサクセスに役立つ4つの指標とデータ ~顧客のサービス継続の秘訣はデータ活用~

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カスタマーサクセスの分野では、「データドリブン」が重要なキーワードになりつつあります。データドリブンなカスタマーサクセスとは、データをもとに顧客の好みやニーズを分析し、1人ひとりにパーソナライズされたサービスを提供する考え方を意味します。顧客のサービス継続率を高めるには、データドリブンなカスタマーサクセスの実現が欠かせません。

この記事では、データドリブンなカスタマーサクセスにおけるデータ活用の必要性や、カスタマーサクセスのKPI設定に役立つ指標について解説します。

カスタマーサクセスの改善に役立つ4つの指標とデータ

カスタマーサクセスでは、ECサイトのアクセスログから顧客の行動履歴まで、さまざまなデータを活用します。その目的は顧客離れを防ぎ、サービス継続を促すためです。カスタマーサクセスで活用すべきデータ4つを紹介します。

「カスタマーサクセスとは」をわかりやすく解説
カスタマーサクセスが注目される理由、カスタマーサクセスの効果や実践する上で重要なことをご紹介しています。

顧客離れの度合いを可視化する「解約率(チャーンレート)」

解約率(チャーンレート)とは、どれだけの顧客がサービスを継続しているかを可視化する指標です。解約率には、顧客数に着目する「カスタマーチャーン」と、収益性に着目する「レベニューチャーン」の2種類があります。

カスタマーチャーン=解約数÷全体の顧客数
レベニューチャーン=(サービス単価×解約数)÷全体の売上

サービス解約による経済的なインパクトを見たい場合は、カスタマーチャーンではなく、レベニューチャーンのデータを分析するのが一般的です。

サービスの収益性を測定する「LTV(顧客生涯価値)」

LTV(顧客生涯価値)は、顧客のサービス利用から解約までのライフサイクルで、どれだけの収益が得られたかを表す指標です。

LTV=平均購買単価×購買頻度×継続期間

とくに、買い切り型ではないサブスクリプションサービスの収益性を判断するのにLTVのデータが使われます。カスタマーサクセスが成功し、顧客の平均購買単価や購買頻度、サービスの継続期間が高くなるほど、LTVも大きくなります。

導入支援の効果を表す「オンボーディング完了率」

顧客がサービスを解約しやすいのが、利用開始して間もない時期です。操作に不慣れだったり、サービスの価値がわからなかったりすると、顧客の解約率が上昇します。チュートリアルやウォークスルー、チェックリストなど、サービスの導入支援がうまくいっているかを判断するための指標が「オンボーディング完了率」です。このオンボーディング完了率が低い場合、新規顧客の導入支援が失敗しており、改善の余地がある可能性があります。

購買単価を表す「アップセル率」と「クロスセル率」

「アップセル率」と「クロスセル率」は、購買単価を測定するための指標です。アップセル率とは、より高額なプランへ乗り換えた顧客の割合を表します。一方、クロスセル率は特定の商品だけでなく、別の商品も購入した割合を表します。顧客のニーズに合った提案やプロモーションを行っている企業ほど、アップセル率やクロスセル率が高くなります。

これまでは活用が進んでいなかった顧客データ

「カスタマーサポート」と呼ばれていた従来のカスタマーサクセスでは、顧客データの活用が進んでいませんでした。企業のデータ活用の現状や、データ活用が進まなかった理由を総務省発表の「令和2年版情報通信白書」をもとに解説します。

アクセスログや販売記録データなどの活用が急速に進む

「令和2年版情報通信白書 日本企業におけるデータ活用の現状 分析に活用しているデータ」を見ると、ここ数年で企業のデジタルデータの活用が急速に進んだことがわかります。たとえば、売上記録などのPOSデータや、eコマースにおける販売記録データ、アクセスログ、動画・映像視聴ログなどのデジタルデータの利用は、2015年から大きく進展しました。[注1]
こうしたデータから顧客の購買行動や行動履歴を分析し、データドリブンなカスタマーサクセスに取り組む企業が増えていると考えられます。

中小企業ではデータ活用の遅れが顕著に

あまりデータ活用が進んでいないのが、事業規模の小さい中小企業です。「令和2年版情報通信白書 日本企業におけるデータ活用の現状分析に活用しているデータ(企業別)」によると、大企業の41.9%が「顧客データ」を活用しているのに対し、「顧客データ」を活用する中小企業は25.8%です。[注2]
中小企業で顧客データの活用が進んでいない原因として、顧客管理システム(CRM)をはじめとしたテクノロジーへの理解不足や、IT人材の不足などが挙げられます。

なぜデータ活用が必要なのか?新規顧客の獲得から既存顧客の維持へ

なぜ、カスタマーサクセスの分野で急速にデータ活用が進んでいるのでしょうか。その背景には、新規顧客の獲得から既存顧客の維持に比重を置く、カスタマーサクセスの考え方の変化があります。

サブスクリプションサービスが急成長を遂げている

カスタマーサクセスの分野では、新規顧客の獲得よりも、既存顧客を優良顧客に育成し、維持する「カスタマーリテンション」の比重が高まっています。その背景として、モノやサービスを所有するのではなく、利用の対価として料金を支払う「サブスクリプションサービス」の発展が挙げられます。とくに動画配信や音楽配信の市場では、サブスクリプションサービスの伸びが顕著です。「令和2年版情報通信白書 レイヤー別にみる市場動向 コンテンツ・アプリケーション」によると、世界の定額制動画配信サービスの契約数は、2015年から2019年にかけて4.3億から15.7億へ増加。音楽配信市場では、同期間で0.4億から1.5億へ増加しました。[注3]
サブスクリプションサービスでは、顧客満足度を高め、顧客の解約や乗り換えを防ぐほどLTVが高くなるため、カスタマーサクセスの考え方も「新規顧客の獲得」から「既存顧客の維持」へ変化しつつあります。競合他社への優位性を獲得するため、アクセスログや販売記録データなどの顧客データを活用し、データドリブンなカスタマーサクセスを行う企業が増加しました。

顧客データを活用したカスタマーサクセス業務の例

実際に顧客データを活用し、どのようなカスタマーサクセスが展開されているのでしょうか。その成功事例の1つが、2018年12月10日にリリースされた「NIKEアプリ」です。NIKEアプリでは、初回利用時のアンケートや、ユーザーの購買行動や行動履歴の追跡によって、アプリのユーザーにパーソナライズされた情報の提供を実現しました。ユーザーの好みに合った限定商品のおすすめや、ライフスタイルの提案などをNIKEアプリのタイムライン上で行い、NIKEブランドへのユーザーのロイヤルティ(愛着)を高め、信頼関係を築くことに成功しています。このように、カスタマーサクセスを実現するためには、スマホアプリやECサイトなどのプラットフォームを通じて、顧客データを蓄積し、パーソナライズされた提案や顧客支援を行っていく仕組みが必要です。

顧客のサービス継続率を高めるならデータ活用の推進を

ここ数年、企業のデジタルデータの活用が進み、カスタマーサクセスの実現のため、販売記録データやアクセスログを利用する企業が増えています。データ活用によって、解約率やLTV、オンボーディング完了率などの指標を分析し、カスタマーサクセスのKPIを設定することが可能です。サブスクリプションサービスの急成長にともない、カスタマーサクセスの考え方も新規顧客の獲得から既存顧客の維持へ変化しつつあります。顧客管理にデータ活用を取り入れ、データドリブンなカスタマーサクセスを目指しましょう。


[注1] 総務省:令和2年版情報通信白書
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r02/html/nd132110.html

[注2] 総務省:令和2年版情報通信白書 レイヤー別にみる市場動向 コンテンツ・アプリケーション
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r02/html/nd132110.html

[注3] 総務省:令和2年版情報通信白書 レイヤー別にみる市場動向 コンテンツ・アプリケーション
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r02/html/nd114110.html

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サービス利用を開始した後の顧客との関係性において、サービス提供者が行うカスタマーサクセス活動や考え方がどういったものかを、できるだけわかりやすく解説しています。

目次

  1. カスタマーサクセスとは
  2. カスタマーサクセス登場の背景/重要性
  3. カスタマーサクセス組織の役割・ミッション
  4. カスタマーサクセスマネジメント 3つのポイント

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