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Excelレポートのガラパゴス化?子会社・事業部に部分最適されてしまう独自の進化を防ぐには?

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皆さん、こんにちは。

ここ3回ほどExcelレポートについて書かせていただきましたが、最近とみにお客様からExcelレポートに関する負担削減に向けた自動化/属人化防止の相談をよく受けます。そこでExcelレポートの作成現場でヒアリングをさせていただくのですが、属人化が問題になっているお客様に共通した課題があります。

それがExcelレポートの「ガラパゴス化」です。

ガラパゴス化とは

ガラパゴス化というと、日本国内の排他的で規制の多いマーケットで独自の進化を果たし、国際標準:グローバルスタンダードからかけ離れてしまった現状を揶揄したビジネス用語ですが、実は私たちが日常的に接するExcelレポートでも同じようなことが起きています。

各事業部などが自部門の目標・予算・実績のExcelレポートを月次で更新し、経営層へ提出しているといった会社も多いのではないでしょうか。会社全体のレポートについては、レポートを受け取った経営企画室などが事業部毎のExcelファイルからデータを統合して、最終的なレポートを作成されるかと思います。他にも支店・営業所毎、もしくは子会社毎のデータを月末で締めて提出しているというケースもよく聞く話です。

特に、Excelレポートに悩んでいる会社では、かなりの確率で同じようなルーティンが回っているケースが多いように思います。このようなExcelレポートを作り込む必要があるということは、レポートに必要なデータを入力・統合するデータ連携・活用基盤が整備されていないことが多いためでもあるでしょう。

BIツールなど会社全体のデータが統合されたデータ活用の仕組みがあれば、散在しているデータをあちこちから持ってきてExcelレポートを作成しなくても、BIツールのレポート表示機能で事足りてしまうのです(別の問題としてレポート機能の良い悪いという問題もありますが…)。

しかし、そこまで統合されたBIツールは組織の規模に応じて大きくなりますし、利用している場合も特定部門やプロセスを切り取って、他の仕組みと組み合わせるといったケースが少なくないようです。その場合、Excelレポートを更新するためのデータをいろいろなところから持ってくる必要があるはずですが、子会社や事業部毎のデータは、Excelレポートを作成する側、例えば経営企画室や営業企画チームなどが各部門の業務内容を充分理解した上で集めてくることが、そう簡単ではないことも想像に難くありません。

そうなると、各部門が自らExcelレポートを更新し、集めて統合:マージするといった作業フローになります。データをマージする以上、集める側としては同じフォーマットにして定型化した方がいろいろ便利なので、共通の定型フォーマットを作って、それに記載して提出してもう形になる場合が多いようですが、月日がたち始めると各部門のレポートは独自のロジックで進化を始めます。このように部分最適で独自の進化を果たした結果がExcelレポートのガラパゴス化です。

Excelレポートのガラパゴス化恐るべし
Excelレポートのガラパゴス化恐るべし

事業部や子会社によるExcelレポートの独自の進化

最初の頃は、テンプレートにした定型フォーマットは変わりませんが、項目や値が進化し始めます。日付の書き方(YYYYMMDDやYYYY-MM等のお作法)や数値の表記(金額やその単位、%)といったものが変化するのは序の口で、そのうち「うちの事業部にはこのカテゴリーが必要だから、コンボボックスの選択に追加」のように事業部独自の製品や顧客のカテゴリーを追加したり、「子会社では予算はこう分類しているから…」といって予算や実績の分類項目を追加したりといったカオス化も進みます。

このように、一度でも定型の共通フォーマットという前提が崩れ始めると、Excelファイルを集める側が速やかに軌道修正して元に戻さないと、さらなるカオス化が進んでしまいます。集計結果に合わせて独自の関数やマクロを追加し始めたり、事業部固有の情報を入れるために定型フォーマットがどんどん姿を変え・進化していきます。

予算・実績に加え、「確定していない見込みも見たいので、〇日時点の見込み数値のカラムを追加」したり、年度末が近づくと次年度の見通しもレポートしたいといった理由で次年度上期の月次のカラムを追加したりなどなど…、進化の道筋は無限にあると言っても過言ではないでしょう。

元々の定型フォーマットさえ更新されなければ、集める側としてもマクロや手順を変更の必要は生じず、追加された場所は無視してしまえばよいのですが、集計表の途中にカラムを追加されたり、小計や合計・総計が変わってしまうような位置のレコードが変更されてしまうと、初期設定のマクロや集計手順の変更・修正も発生してしまいます。

挙句の果てには、関数やマクロが変更どころか追加され…、一見しただけでは同じものには見えない新しいExcelレポートができ上がります。そのようにガラパゴス化したExcelレポートは提出元ごとに増えるため、Excelファイルを集めて統合するための工数が一気に増大します。さらに、そんな進化は毎月発生する恐れもあり、データを統合する側の負担は増すばかりです。

これら部分最適な独自の進化が厄介なのが、Excelレポートを提出する側(事業部や子会社は)は、なにも提出先に対して意地悪してやろうと考えているわけではないことです。情報を詳しく提供するためだったり、情報をより見やすくしようという意図だったり、悪意ではなく善意で更新してくださっていることが多いのではないでしょうか。ところが、そんな善意の当事者はたいてい自分本位の“思い”にまっしぐらなだけで、他の当事者と連携して相手本位の修正などまで気を回してくれることはありません。その結果、自部門だけの独自の理由によって、定型レポートを進化させてしまうのです。

そして最もたちが悪いのは、例えば営業部の下位にある「課」のような組織単位のように、同じ数値を管理しているような部門の中でも進化する方向が違うことが少なくありません。「この業界ではこういった数値が必要」だとか、「この製品を販売して行く上では、〇〇といった数値管理も必要」とかとか…です。

ガラパゴス化を防ぐには

筆者らにお寄せいただくご相談の中で、Excelデータ統合の自動化ができるか、サンプルファイルをいただいてからデモのお時間をいただくことも多いのですが、どのセルとどのセルが同じ結果を表すのか、一見しただけではわからないレポートをいただくこともよくあります。

Excelデータの統合自体はツールを使えば容易にできるのですが、集計するデータの意味については、お客様に確認する必要があるわけです。例えば売上など会計データは項目名を見れば一目瞭然ですが、場合によっては「基礎データを集計している現場の方々に聞いてみないとわからない」なんて場面にも何度か遭遇しました。

では一体、そんなガラパゴス化を防止するには、どうしたらよいのでしょうか。

ExcelファイルのShhet1を更新ガイドなどにしてデータ更新・提出要領などを記載するとともに、「定型フォーマットは変更しないこと」のように、禁止事項を明記すればガラパゴス化の問題は発生しにくくなりますが、それだけではSheet1を見逃した人(大抵は読み飛ばす人)には通用しません。

例えば、データを提出する名義が〇〇部長で、データを更新するのが一般社員だったりすると、〇〇部長から「あの数値も加えてくれ」と指示されたりしたら、なかなか強く言い返せないこともあるでしょう。ましてや、データをあちこちの業務アプリケーションから集めて更新するフローが目検+手入力だったりすると、「あの数値は〇〇システムにあるから」のように絶対に断れないような指示までされてしまう場合もあるでしょう。

そんなデータ更新作業が何らかのツールによって自動化されていれば、システム側の変更作業が必要になってくるので、やんわりとお断りする理由ができます(実際には、Excelマクロなどで更新しているフローより、データ連携ツールによって簡単に更新できるのですが、それは方便とうことで)。

仮に、データ連携ツールなどによって自動化されていても、どうしても情報を追加したい場合もあると思います。例えば「決算開示は国際会計基準に変更」のような場合であれば、大元の定型テンプレートを変更しないといけないはずです。

これが一部の部門だけといった場合は、逆に手間がかかってしまうこともありますね…。そんな場合は、全部門共通の定型フォーマットを変更するのではなく、個別対応しないといけない部門向けのExcelファイルを別途作成・運用して、データ連携ツール側で統合を行う方法をお勧めします。

Excelを使うと複数のデータソースをつなげたりするのはかなり面倒ですが、データ連携ツールでは複数のデータソースを簡単につなげられますし、データ連携ツールを利用することで、データ統合のための工数を大幅に削減することができるようになるのです。

1つの集計表の中で無理して統合しようとすると、どんどん扱いにくくくなっていきますので、提出してもらうExcelファイルは個別最適してあげた方が、全体最適の観点ではガラパゴス化が回避できるケースもあるはずです。

部門ごとで追加したい数値などは、別のExcelファイルや部門固有の業務アプリケーションなどで管理されていたりすることもありますから、全社のデータ集計と部門単位のデータ更新を分離すれば、データ提出側のムリ・ムダが削減できたりすることもあるはずです。

教訓

  • 部分最適:ガラパゴス化(サイロ化)の恐れ大
  • 個別最適:実は大事
  • 全体最適:俯瞰する視点は大事だが、こだわりすぎると何も進まない

Excelレポートのガラパゴス化にお悩みの方は、データ集計側の工数削減はもちろんのこと、ビジネス現場の工数削減まで実現可能なデータ連携ツールの導入をご検討いただければ幸いです。

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