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なぜ今、日本企業は基幹系システム再構築に取り組んでいるの?その1

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海外事業戦略の一環?

今回のテーマは「基幹系システムの再構築」です。

その理由は、弊社営業がコンタクトのとれるお客様に「来年度のIT課題」についてヒアリング調査を実施した結果、「基幹系システムの再構築」とお答えになった企業が一番多かったからです。 内容は少々長いので、3回に分けて書こうかなと思います。

なぜ今、多くの日本企業が「基幹系システム再構築」を課題にあげているか、その理由がおわかりになるでしょうか?

 

表面的な理由については、企業それぞれで複数の要因が絡み合っているかと思いますが、根本的なところでは、企業は利益を産み、成長し続けることが何より求められていることを前提としながら、「企業の成長戦略」という視点で「基幹系システム再構築を選択される理由」について考えてみたいと思います。

海外進出戦略

今回ヒアリングしたお客様を業種別に分けると、一番多かったのは製造業でした。そこでGoogleで「製造業」と検索すると、キーワード候補に「海外進出」が表示されました。

Google検索でサジェストされるキーワードということで、これは相当関心が高いのだろうと考え、今回は「日本企業の海外進出」をテーマに深堀をしました。

そこで、JETRO:独立行政法人日本貿易振興機構が2018年3月に公開した「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査~JETRO海外ビジネス調査~ 海外ビジネス調査~」を読み込んでみました。

まずは「海外展開状況」です。

企業には海外進出にどの程度の意欲があるのだろう。ということで、今年度の海外展開の拡大方針について見てみると、以下の情報が目に飛び込んできます。

「今後(3 年程度)の海外進出方針では、「拡大を図る」企業の割合が57.1%と発表した(*1)」

日本企業の海外進出状況は活況を維持しており、今後も拡大路線であることがデータからもわかります。

日本の名目GDPは長らく横ばいが続いている一方、ASEANに代表される新興国の1人当たり名目GDPが急増。ここにビジネスチャンスありと、商圏の拡大を狙い、大企業はもちろんのこと中小企業も、海外への直接投資が増加しているようです。

次に気になった点、それは海外進出の段階が、「利益の回収時期」なのか、「まだまだ先行投資の段階で先々の利益を見込んで」なのかです。

そこで、企業の海外事業における売上寄与の状況を見てみました。

「海外ビジネスの影響(輸出、海外進出に限る)による経営への影響を尋ねたところ、「企業の売上高」において、かなり「向上/増加した」および「向上/増加した」と回答した企業の比率は65.2%と発表した(*2)

とあり、海外進出は着実に利益貢献をしていることが、この数値からも伺えます。

ここで筆者の中でひとつの疑問が浮かびました。それは、「現在海外展開をしている企業はいったいいつから海外進出しているのか」という点です。

「海外ビジネスを行っていると回答した企業(2,754 社)に対し、海外ビジネスを開始した時期を尋ねたところ、「1999 年以前」が1,338 社(48.6%)で最も多く、次いで「2013 年以降」が587社(21.3%)となった。企業規模別にみると、大企業は「1999 年以前」が76.3%を占めた一方で、中小企業は「1999 年以前」(41.8%)、「2013 年以降」(25.1%)、「2000~2008 年」(16.7%)と海外ビジネスの開始時期が分かれた。(*3)」

とあり、筆者が想像していた以上に、海外で成功している日本企業の多くは、かなり前から海外進出していて、初期投資は回収できているということなのかもしれません。

それと共に、筆者の中で新たな仮説が浮かびました。

今回のテーマは基幹系システム再構築です。IT媒体によると基幹系システムの寿命は平均すると14年前後だそうです。

この14年を何も考えず単純にJETROの調査結果から逆算すると、1番回答の多かった1999年以前の41.8%は、確実に基幹系システム再構築の実施時期に入っており、2000年~2008年の16.7%の半分ぐらいも再構築の検討時期に入っているであろうと考えることができなくもありません。

海外展開を計画している企業はどのように基幹系システム再構築にどんな課題を感じているの?

「海外事業×基幹系システム再構築」と考えると、日本と海外、どちらが主導で再構築を実施するかが課題となるようです。

一般的には日本の本社主導で、経営方針の反映、全体最適、ITガバナンス・システム統一、セキュリティ対策などが行える一方、現地固有のニーズへの対応、スピード感の欠如、コスト高など負の側面もあるでしょう。

一方、海外現地法人主導となると、日本本社主導で生じる負の側面が解消できる一方で、全体最適・IT統制が効かせにくくなるという側面が生じるはずです。

ひとつ例を挙げます。ここに海外展開を新たに検討している企業があると仮定します。

まず足掛かりとして、海外への販路拡大に向けて対象国に営業拠点を開設・始動したとしましょう。

その段階でITに求められる要素は「低予算」「短納期」「現地対応」などでしょう。

まだ売上はなくスピードが求められる中、拠点の立上げに許される期間は限られるため、何年もかけてシステム化をしている余裕はないはずですし、結果として、その国ですぐ使える海外製パッケージを導入する企業が多くいらっしゃるはずです。

その後、幸運なことにこの拠点の立上げは大成功したと、これまた仮定しましょう。

海外進出の1拠点目で成功した場合、次の国・地域に向けて「成功パターンの横展開」が検討されるはずです。ところが、1拠点目の国に特化したシステムを導入していると、次の国への横展開ができないため、結果的に進出先の国ごとにバラバラなシステム導入が続いてしまう事態に陥ると、連結会計やITガバナンスに多くのコストや時間を奪われることが起きえます。

また、昨今は基幹系システムに限らず業務アプリケーション全般のクラウド対応が進んでいるため、IT課題解決の手段の一つとしてクラウド型の業務アプリケーションを選択される企業が主流になりつつあります。

ところが、ここで次なる課題として生じてくるのが、国ごとに異なるITインフラ事情です。

通信回線が安定していない国ではオンプレミス型のシステムを導入せざるを得ない実態があったり、そもそもの電力供給が不安定で、頻繁に停電が起きるような地域もあったりしますから、「日本の常識は世界の非常識」と言われるような一筋縄ではいかない現状もあるようです。

そこまでいかないまでも、最低でも連結会計に必要なシステム間データ連携に対応する手段を講じないと解決にはいたらないのでしょう。

以上、海外進出・展開時の基幹系システム構築における、日本主導型と海外現地主導型についてお伝えしました。

それぞれ一長一短があり、どちらが最適とは言い難いですが、海外進出の先行企業は現状と将来の方向性を鑑みて次の一手を選択しているのが実情のようですね。

次回は、M&Aを成長戦略のひとつとして選択した企業と基幹系システム再構築の課題について触れていきたいと思います。ご興味がございましたら、是非ご一読いただけると幸いです!

参考文献

独立行政法人日本貿易振興機構「日本企業の海外事展開に関するアンケート調査~JETRO海外ビジネス調査~ 海外ビジネス調査~」

(*1)P18「2.今後の海外進出方針」調査対象企業:海外ビジネスに関心が高い日本企業

(*2)P13「6.海外ビジネスの影響」調査期間:2017年11月~2018年1月

(*3)P11「5.海外ビジネスの開始時期」

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