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なぜDXが進まないのか?DX企業の目指す姿や最初に取り組むことを解説

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経済産業省が2018年9月にDXレポートを公開し、2025年までにDXを実現するよう企業に向けて提言しました。しかし、2020年10月の調査では、全体の90%以上の企業が「DXにまったく取り組めていないレベルか、散発的な実施に留まっている」ことがわかっています。[注1]DXに向けた取り組みが進まない原因は、DXについての正しい認識が伝わっておらず、「どうすればDXになるのかがわからない」「DXの進め方がわからない」企業が多いためです。DX企業の目指すべき姿や、DXの第一歩として取り組むべきことについて知り、DX実現に向けたゴールを再設定することが大切です。

この記事では、DXが進まない理由や、DXを実現して競争優位性を獲得するためのプロセス、DXの第一歩として取り組むべき「顧客接点を起点とした業務再設計」について解説します。

DXに向けた取り組みが進まない2つの理由

経済産業省がDXレポートを発表して以来、DXへの取り組みをスタートさせた企業と、DXへの取り組みが進まない企業に二極化しつつあります。なぜDXが進まないのでしょうか。経済産業省の報告書を元に、DXに向けた取り組みが進まない2つの理由を紹介します。

どうすればDXになるのかがわからない

そもそも、「どのような取り組みがDXに当たるのか」「どうすればDXを実現できるのか」が企業に伝わっていない点が挙げられます。経済産業省はDXの取り組みが進まないパターンとして、以下の4点を紹介しています。[注2]

  • 経営者がIT・デジタルの重要性を理解できていない
  • 経営者自身の言葉でDX、デジタルビジョンを発信していない
  • CIO/CDOの権限・役割が弱い
  • IT部門でしかやっていない(事業部門とのコミュニケーション不足、経営層の意向をくんでいない)

DXを実現するには、経営者が明確なDXのイメージを持ち、積極的に発信していく必要があります。また、IT部門だけでなく、経営層やその他の事業部門も交えて、全社横断的にDXを推進することが大切です。

DXの進め方がわからない

また、DXのイメージは理解しているが、具体的にどうやってDXを推進すればよいのかがわからない企業も存在します。例えば、次のようなパターンが挙げられます。[注2]

  • 使いたい技術ありきになってしまってビジネスの話が出ない
  • 自社特有の事情を含めて検討できず、他社事例をそのまま適用する
  • 既存システムをどこから切り崩せばいいかわからない

DXを実現するには、データやデジタル技術の観点だけでなく、ビジネスのトランスフォーム(変革)という観点からも検討する必要があります。そのためには、他社事例をそのまま適用するのではなく、自社のビジネス課題を検討したうえでビジョンやロードマップに落とし込むことが大切です。

DXに取り組むべき背景とは?「モノ」から「サービス」への変化

経営者を筆頭に全社横断でDXを進めるには、なぜDXが必要となっているかを理解しておく必要があります。企業がDXに取り組むべき背景の一つとして、消費者の価値観が変化し、「モノ」よりも「サービス」が重視されるようになった点が挙げられます。

従来の価値観 企業戦略 いかにモノを販売するか
消費者 高品質なモノを長く使いつづける
モノに不満があっても簡単には交換できない
今後の価値観 企業戦略 いかにサービスを使いつづけてもらうか
消費者 サービスを利用した分だけ支払う
サービスに不満があればすぐに解約できる

従来のモノの時代では、企業は高品質なモノを消費者に提供すれば、市場における競争優位性を獲得できました。しかし、従量課金制やサブスクリプションモデルの登場など、ビジネスモデルの変革が生まれた結果、「いかにサービスを使いつづけてもらうか」がより重要になりました。現代のサービスの時代では、これまで高品質なモノを提供してきた製造業やメーカーなどもふくめ、すべてのモノがサービス化(サービタイゼーション)しつつあります。サービスの時代で競争力を獲得するには、AIやIoT、クラウドやロボティクスなど、あらゆるデータやデジタル技術を活用し、新しいビジネスモデルを生み出す必要があります。

DX企業の目指すべき姿とは?競争優位性を獲得するための4つのプロセス

DXに向けた取り組みが進まない理由として、「DXの進め方がわからない」を挙げました。それでは、企業はどのようなプロセスでDXを実現し、競争優位性を獲得すればよいのでしょうか。経済産業省はDXを次のように定義しています。[注1]

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

これをサービスの時代に置き換えれば、DX企業の目指すべき姿は「データやデジタル技術を活用し、ビジネス環境の変化に対応しつつ、データドリブンに顧客との関係を改善する」デジタル組織だと定義できます。

こうしたデジタル組織へと変革するために役立つのが、VeriSM(べリズム)と呼ばれるアプローチ方法です。VeriSMでは、企業は以下の能力を持つデジタル組織へと変革し、他社に模倣されづらい持続的な競争優位性を獲得することが重要だと考えます。

  1. 顧客を中心に据えて、全社横断で、全ての意思決定を行う能力
  2. 卓越したオペレーション能力(高品質、低コスト、すばやい変更)
  3. ガバナンスとリーダーシップ
  4. デジタルテクノロジーを調達して活用する能力

このなかでも、DXを目指す企業が最初に取り組むべきなのが、1つ目の顧客を起点とした全社横断的な業務改革です。

顧客起点でDXを考える際の注意点は?顧客接点=営業/販売ではない

顧客を起点としてDXに取り組むとき、よくあるのが「顧客接点=営業/販売」という誤解です。顧客を中心に据えてビジネスモデルを変革するためには、商品の企画やマーケティング、オーダーマネジメントや物流、さらにはカスタマーサポートやフィールドサービスもふくめ、End to Endの視点で顧客接点を考える必要があります。こうしたEnd to Endでの顧客コミュニケーションにおいて、顧客は企業への要望や期待、成功への願望を持っています。顧客起点でDXを考える際は、「顧客にとって心地よいタイミングで心地よいコンタクトをとること」「顧客の成功を実現するためにサービス提供を行うこと」の2点を意識することが大切です。

DXの第一歩として顧客接点を起点とした業務再設計を!

DXの第一歩として、顧客接点を中心に据えて全社横断的に業務再設計をすべきだと説明しました。顧客にフォーカスしたDXの進め方は次の通りです。

  1. カスタマージャーニーマップを作成し、End to Endでの顧客コミュニケーションを可視化して、それぞれのフェーズで顧客が企業にどのような要望や期待、成功への願望を持っているかを考えましょう。理想の姿だけでなく、現実的にどのような課題や問題点が発生しているかも確認します。
  2. カスタマージャーニーマップの各フェーズには、必ず対応した業務プロセスが存在します。カスタマージャーニーマップの作成によって確認できた課題や問題点が、具体的にどの業務プロセスに関連しているかを特定しましょう。
  3. 該当の業務プロセスを分解し、業務フロー図を作成して、さらにわかりやすく視覚化しましょう。可視化した業務フローを検討しながら、現状の問題点を具体的に掘り下げ、課題を解決するための手段を検討します。

このようにEnd to Endの顧客接点をカスタマージャーニーマップで可視化し、問題や課題点を掘り下げていくことで、全社横断的な業務改善を実現可能です。

>> DXの取り組みをまとめたホワイトペーパーのダウンロードはこちら


[注1] 経済産業省:DXレポート2中間取りまとめ(概要)
https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201228004/20201228004-3.pdf

[注2] 経済産業省:デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会 WG1 全体報告書
https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201228004/20201228004-4.pdf

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