ビジネスとITのハブとなるIT部門がやるべき4つのステップ 後編 ~あるべき姿~
新型コロナウイルス感染症への対策や、学び方の多様性を実現する手段として、GIGAスクール構想に注目が集まっています。GIGAスクール構想をうまく進めれば、オンラインワークショップなど、新しいタイプの授業も実現できるでしょう。
この記事では、GIGAスクール構想の概要や、アフターGIGAにおける教育現場の変化などについて解説します。教育現場のICT化について詳しく知りたい方は、ぜひチェックしてください。
目次
GIGAスクール構想とは、文部科学省が主導している新しい教育政策のひとつです。全国の児童や生徒のために1人1台ずつパソコンやタブレットを配布し、学校内に高速ネットワークを整備することが、この構想の大きなポイントです。「GIGA」は、「Global and Innovation Gateway for All」の頭文字を取った言葉で、「すべての子どものために、世界につながる革新的な扉を提供する」ことを意味します。ここでは、GIGAスクール構想における具体的な取り組みについて、3つのポイントでわかりやすく解説しますのでチェックしていきましょう。
GIGAスクール構想では、小学校や中学校、高等学校などの教育現場におけるハード環境や通信環境の整備が行われます。すべての児童や生徒にパソコンやタブレットなどの端末を配布し、インターネットを活用した授業を展開できるよう通信環境を整備することが主な施策です。教育現場のハード環境と通信環境が整うことにより、新型コロナウイルス感染症対策のためのオンライン授業や、遠隔地と連携したワークショップなど、新しい学びの形態を実現できます。
GIGAスクール構想において整備の対象とされているのは、ハード環境や通信環境だけではありません。通信技術を活用した新しい教育方法の採用、デジタル教科書の導入、AIを活用した児童や生徒それぞれの苦手分野の指導など、ソフト面での環境整備も進められています。ソフト面の整備が進むことで、従来の教育現場では難しかった、それぞれの個性や学習ペースに合わせた指導にもつながります。
教育現場の指導体制を強化することも、GIGAスクール構想における取り組みのひとつです。学校内の先生だけでは通信環境を整備したり、導入したシステムを使いこなせなかったりするため、情報通信技術に関するサポートスタッフを外部から採用する、といった対策が進められています。それぞれの地域の指導者を養成することや、情報通信技術に関するワークショップの開催なども、対策のひとつです。
アフターGIGAとは、GIGAスクール構想が実現された後、その新しい教育環境におけるシステム・設備の運用体制のことです。GIGAスクール構想によりハード環境や通信環境が整った学校では、どのように教育が進められるのでしょうか。ここでは、アフターGIGAにおける新しい教育環境について解説します。
アフターGIGAの教育現場では、従来のような紙の教科書やホワイトボードを使った授業だけではなく、動画や写真、音声などを活用した授業も多く展開されます。児童や生徒がパソコンやタブレットを使って情報収集をしたり、さまざまなツールを活用して作成した資料を発表したりする機会が増えることも予想されます。
授業で映像や音声を使う場合は、状況に応じてプロジェクターやスピーカーなどを導入することも必要です。パソコンの画面では後ろの席の人が見えにくい、パソコン付属のスピーカーでは音質が悪くて聞き取りにくい、といった問題が発生するケースもあります。せっかくパソコンが配布されても、児童や生徒が学ぶことにストレスを感じては意味がありません。新しい取り組みであり、いきなり完璧な学習環境をつくるのは難しいため、きちんとした運用体制を構築することが重要です。
GIGAスクール構想により通信環境が整えば、自宅にいながらオンラインで授業に参加したり、姉妹校との合同授業を開催したりすることも可能です。遠隔地の外部講師によるリモート授業や、オンラインワークショップなども実現できるでしょう。従来は移動時間や費用の制約により実現できなかったことも、アイデア次第ではオンラインで気軽に行えます。
ただし、パソコンやタブレットを自宅に持ち帰ると、破損したり、学校に来る日に忘れてしまったりするなど、アフターGIGAならではのトラブルもあります。さまざまな可能性に備えて、学校に貸し出しできる予備を置いておくなどの対策も必要です。
アフターGIGAにおいて環境が変わるのは、児童や生徒、先生だけではありません。学校の通信環境が整備されることで、オンラインでの三者面談や保護者会などが実施されるケースもあるでしょう。保護者としても、パソコンや通信方法について、ある程度の知識を身につけておく必要があります。
職員会議などがオンラインで開催されるケースも増えるでしょう。オンライン会議を導入することで移動時間を節約できるため、忙しい教育現場のストレス軽減も期待できます。一方で、オンライン会議に慣れておらず、進行に時間がかかったり、通信が途切れてしまったりするケースもあるため、臨機応変に対応できるスキルを習得することも大切です。
ここまで紹介したように、新しい形の授業や教育現場の効率化など、GIGAスクール構想によって多くのことを実現できますが、パソコンやタブレットを設置すればよいという単純な話ではありません。教育現場のICT化を成功させるためには、学校側のさまざまな努力が必要です。
ITリテラシーが不足している先生が多いことは、教育現場のICT化を進めるうえでの大きな課題です。パソコンやタブレットを活用した授業は、児童や生徒だけではなく、先生にとっても新しい取り組みです。デジタルネイティブ世代の児童や生徒とは異なり、年齢によっては、パソコンやインターネットなどに苦手意識をもっている先生や、使い慣れていない先生もいるでしょう。先生に対する研修や勉強会などを実施して、ITリテラシーや基本的なパソコンスキルを向上させる取り組みも重要です。
教育現場に配布された機器や通信環境を有効活用するためには、便利なシステムを導入することも必要です。Web会議システムや業務連絡を効率化するツールなど、さまざまなシステムが開発されているため、状況に応じて導入を検討が必要です。
校内で解決しきれないGIGAスクール構想の課題解決のためには、問い合わせ業務を効率化するヘルプデスクの活用も検討しましょう。校内にICT担当者を設けている場合であっても、さまざまな問い合わせが集中してしまい、本来の業務の進捗を阻んでしまう恐れがあります。
このような状況に陥らないためにも、専任メンバーにおけるヘルプデスクの強化やツールの導入、ヘルプデスクのアウトソースの検討も必要になってきます。
今回は、GIGAスクール構想の概要や、アフターGIGAにおける教育環境の変化などについて解説しました。GIGAスクール構想によりパソコンやタブレットが配布され、学校の通信環境が整えば、オンライン授業やオンラインワークショップなど、新しいタイプの授業を実現できます。離れた場所の講師とも気軽につながれるため、子どもたちの学びの可能性も大きく広がります。
ただし、教育現場のICT化を成功させるためには、先生のITリテラシーを高めることも必要です。パソコンを配布して終わりではなく、ヘルプデスクの活用をはじめ子どもが積極的に学べる環境を長期的に整えていく必要があります。
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