BPM(ビジネスプロセスマネジメント)というのは戦略面や組織・制度面の考慮も包含した結構広い概念ですが、やっぱりその中心には「モデリング技法」を駆使した物事の可視化が位置づけられます。ネタが続くかどうか自信がありませんが、「モデリング講座」(不定期シリーズ)と銘打って、このブログ上で企業モデリングのノウハウを共有してゆきたいと思います。初回は「モデリングって、そもそもどういう事?」
そもそも、BPM(ビジネスプロセスマネジメント)って何ということを詳しく知りたい方は、以下の記事でその目的や課題などを詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。
子供のプラモデル、空力を解析する風洞モデル、統計学の非線形モデル、ファッションショーのモデルさん・・・ いずれも「モデル」です。モデルとは、現実の”物”や”事”を何らかの目的のために、何かの視点に絞って抽象化し、不必要な要素を捨てた、謂わば「模型」です。モデルさんは模型と言っては不適切かもしれませんが、ファッションを際立たせるため(=目的)のプロポーション(=視点)を体現した役者であり、その人の声や性格や出自などについては捨象されています。
BPMにおけるモデリングは企業の資産や行動をモデル化するものです。前に挙げたモデル達と違って、どんな目的で作るのか? どんな視点に絞るのか? が自明ではないため、出来上がりにかなり差が出てしまうという課題があります。目的と視点を事前にしっかり定義することがとても重要です。そのために参考になるのがザックマンやTOGAF等に代表されるEA(エンタープライズ・アーキテクチャー)のフレームワークなんです。EAというと昨今では「大変な割に効果が見えにくい」と敬遠されがちですが、確かにEAを頭から網羅的に実行しようとするのは実践的なアプローチではありません。みなさんが何かの目的で何らかの視点にフォーカスして企業の資産や行動を可視化したいと思ったときに辞書のように使えるガイドラインだと捉えると良いでしょう。きっと参考になる箇所があります。みつけられなかったら弊社にご相談下さい。
より具体的な技法の話をしたいので、モデリングの対象を「業務プロセス」に絞りましょう。「うちの業務フローは業務領域によって細かさ(粒度)がバラバラで、過去に作られたものは使い物にならない・・・」という話をよく耳にします。拝見してみると、確かに細かさも異なりますが、使い物にならない理由は細かさの違いよりも目的と視点の違いであることが多いんです。業務フローが書かれる代表的な目的と視点を整理してみると・・・
以上の4例は互いに目的と視点が異なるので、他の目的に再利用しようとしても使いまわしが効かないのは当然の結果です。業務フローを企業の資産としてさまざまな目的のために活用しようとするならば、これらの視点の和集合となるような記述ルールを決める必要がある訳です。業務フローでは一連の業務をツブツブに区切って描きますが、この粒の単位が財務リスク、IT機能やデータ、ISO規程、業務改善のために「ちょうど良い」大きさで且つ、抜け漏れがなければ目的を果たすことができそうです。
次回は「仕事の切り方」に焦点をあててみます。
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